著者
蔡 義民 藤田 泰仁 村井 勝 小川 増弘 吉田 宣夫 北村 亨 三浦 俊治
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.477-485, 2003-12-15
被引用文献数
29

飼料イネサイレージ調製用乳酸菌をスクリーニングするため, ホモ発酵型で耐酸性が強く, 発酵過程において旺盛に増殖できる乳酸菌「畜草1号」菌株を選抜した。 16S rRNA遺伝子の解析やDNA-DNA相同性試験に基づいて畜草1号菌株はLactobacillusplantarumと同定した。畜草1号菌株を添加したはまさりとクサホナミの飼料イネロールベールサイレージでは無添加サイレージに比べ, サイレージのpH値, 酪酸およびアンモニア態窒素含量が低下し, 乳酸含量が高まった。また, 1年間の長期貯蔵を行っても, 糸状菌の増殖がなく, その品質が良質に保持された。
著者
増田 崇 田平 一行 北村 亨 東村 美枝 鴨川 久美子 吉村 淳
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.308-312, 2008-12-20
参考文献数
13
被引用文献数
3

【目的】本研究の目的は開腹手術後の咳嗽時最大呼気流速(peak cough flow:PCF),肺活量(vital capacity:VC),創部痛の経時的変化とこれらの関係を明らかにすることである。【方法】待機的に開腹手術を行った30症例を対象にPCF,VC,安静時痛,咳嗽時痛を術前および術後13日目まで測定した。PCFはピークフローメーターを,VCはライトレスピロメーターを,疼痛はvisual analog scale (VAS)を用いて測定した。各項目間の関係はPearsonの相関分析を用いた。項目ごとの経時的変化の比較は一元配置分散分析を行い,多重比較はTamhane法を用いた。【結果】術後のPCFは術前値に対し術後1日目に46.4%まで低下し,術後5日目まで有意に低下していた。VCは術後1日目に47.8%まで低下し,術後6日目まで有意に低下した状態が続いた。術前PCFに対する回復率とVCの回復率,安静時・咳嗽時痛との間に有意な相関関係を認めた。またPCFとVCの間にも有意な相関が認められた。【結論】開腹手術患者に対しては,肺活量を上昇するような呼吸練習や痛みを軽減するための咳嗽介助など,周術期における理学療法士の積極的な関与の必要性が示唆された。
著者
増田 崇 鴨川 久美子 北村 亨 東村 美枝 田平 一行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.D3O3073, 2010

【目的】腹部外科手術により、肺活量、咳嗽力などの呼吸機能が低下することが知られている。手術後低下した呼吸機能は徐々に回復し、術後一週間で約80%まで回復することが報告されている。これらのことを踏まえ、当院では術前術後の肺活量、咳嗽力を継続的に評価している。今回、術後肺合併症を起こした症例2例を経験し、肺活量の回復過程で合併症を起こさなかった群と特徴的な違いがみられた。術後肺活量の変化をとらえることで肺合併症の早期発見につながる可能性があるのではないかと考えたので、報告する。<BR>【方法】対象:全身麻酔下で待機的に開腹手術を行い合併症を起こさなかった30症例(男性22例、女性8例、平均年齢73.5±7.4歳)と肺合併症を起こした2症例を対象とした。合併症を起こさなかった群をコントロール群とし、合併症を起こした2症例をコントロール群と比較した。コントロール群の診断名は胃癌13例、S状結腸癌3例、直腸癌3例、上行結腸癌2例、下行結腸癌2例、胆管癌2例、腸閉塞2例、総胆管結石、膵頭部癌、胃癌とS状結腸癌の併発がそれぞれ1例ずつであった。合併症を起こした2症例(86歳女性、76歳男性)はいずれも胃癌で、合併症は肺炎であった。<BR>方法:対象者の手術前後に肺活量(vital capacity:VC )及び咳嗽力の指標として咳嗽時最大呼気流速(cough peak flow:CPF)、安静時痛、咳嗽時痛のvisual analog scale(VAS)を測定した。測定は手術前と手術後1日目から9日目までと13日目に実施し、測定に同意した日のみ行い、疼痛や発熱、倦怠感などの理由で対象者の同意を得られない日は測定を行わなかった。<BR>解析方法:術前・術後のVC、CPF、安静時痛、運動時痛を比較した。<BR>【説明と同意】全症例に対しこの検査の意義・目的を説明し同意を得た。<BR>【結果】<BR>1)術前値の比較<BR> コントロール群の術前値はVC:2652±738ml、CPF:297±110L /minであった。症例1は術前VC:2200ml、CPF:300 L/min、症例2はVC:3750ml、CPF:350L /minと大きな違いは見られなかった。年齢は平均よりも高齢であった。<BR>2)VC、CPF、疼痛の経過の比較<BR> コントロール群のVC・CPF・疼痛の経時的変化(理学療法学35巻7号,p308~312)は術前値に対するVCの回復率で術後1日目には47.8%まで低下し、9日目で85.5%まで順調に回復した。一方CPF回復率は術後1日目に46.4%まで低下し、9日目で90.5%、13日目では90.7%まで順調に回復した。疼痛は術後1日目に大きく上昇しその後徐々に低下する傾向があった。<BR>症例1:86歳女性、胃部分摘出術施行術後12日目に肺炎と診断。(前日)11日目の理学療法施行時、それまで順調に回復していたVCが低値となっていた(術後8日目1970ml→11日目1260ml)。CPFも術後8日目310L/min→11日目280L/minと若干低下した。翌12日目胸部X-P撮影後肺炎と診断された。<BR>症例2:76歳男性、胃全摘出術施行、術後7日目に肺炎と診断。(前日)6日目理学療法施行時、それまで順調に回復していたVCが低値となっていた(術後5日目2600ml→6日目2200ml)。CPFは術後5日目225L/min→6日目230L/minと大きな変化は見られなかった。翌7日目胸部X-P撮影後肺炎と診断された。疼痛は2症例ともコントロール群と大きな違いは認められなかった。<BR>なお肺炎は医師によりレントゲン所見、発熱、自覚症状などによって診断された。<BR>【考察】今回の2症例は術前の呼吸機能検査では異常値は示しておらず、術前の段階で呼吸器合併症を予測することは困難であった。一方、VC、CPFは、コントロール群の術後のトレンドと比較すると症例1、症例2共に肺炎の診断がつく前にVC回復率が低下する傾向が見られた。特に症例2では発熱の症状が発現する前にVC回復率の低下が確認できた。VCの変化が肺炎の症状の発現とほぼ同時期あるいはそれより前に見られたことから術前から継続して評価を行うことで発症を感知できる可能性が推察される。このVCの低下は、肺炎により一部無気肺を起こししたことなどが原因として考えられた。一方で咳嗽力の指標となるCPFは特徴的な変化を示さず、肺炎を感知するには適さないと考えられた。しかし、症例1、2共に肺炎の発症時には感染時に去痰不全になる可能性があるとされる270 L/minを下回っており、去痰不全を引き起こしていることが伺えることから、CPFの測定は去痰不全のリスクを管理する上では有用な検査であると考える。<BR>【理学療法学研究としての意義】本症例報告では、ベッドサイドで比較的簡便な方法で術後の肺合併症を早期に感知できる可能性が示唆された。非侵襲的な検査であり、比較的容易に測定できることから、今後症例を重ね、一定の傾向が確認できれば術後肺合併症を疑う上での指標の一つになるのではないかと考える。
著者
北村 亨
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.210-214, 2017-05-31 (Released:2019-11-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1

近年,長寿命化や高齢者のみの世帯の増加が進む中で,遺族にとって遺品整理が困難な状況が増えていると考えられ,それとともに遺品整理ビジネスが事業化されてきている。本稿では,遺品整理業者をめぐる状況および遺品廃棄物の運搬・処分と廃棄物処理法における業の許可との関係について述べるとともに,遺品廃棄物の運搬・処分を自治体の一般廃棄物処理計画の中に位置づける必要性を指摘した。その上で,対応の可能性として,① 直営による運搬・処分,② 一般廃棄物収集運搬許可業者による家庭系一時多量廃棄物の収集・運搬についての特例容認,③ 遺品廃棄物の収集・運搬に対する限定許可の付与,④ 一定の条件の下で,遺品整理事業者による遺品の収集運搬を例外的に容認する国のガイドラインの策定,の 4 つを示した。そして ④ のガイドライン素案を提案した。最後に高齢者の立場から,生前整理を容易にするための廃棄物行政上の課題について述べた。
著者
花岡 一雄 井手 康雄 角田 俊信 田上 惠 北村 亨之 関山 裕詩
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1.カルシウムチャネル拮抗集ジルチアセムやα2アドレナリン作動薬クロニジンがネコの脊髄後角Rexed第V層型単一細胞に対する作用を研究した。約3kgの成ネコを用いて、両側中脳網様体の除脳を行い、脊髄を露出し、L1-L2で脊髄を横断した。Rexed第V層単一細胞活動を細胞外微少電極誘導法にて記録した。実験は自発発射及ピンチ法による誘発発射の発射数の対照値を測定した後、微少電極刺入付近の脊髄表面にジルチアゼム10mg/ml(D10mg群)20mg/ml(D20mg群)を1ml投与し、自発発射及誘発発射を測定した。クロニジンについても同様の実験を行った。5マイクロg(1ml)(C5群)50マイクロg(1ml)(C50群)を投与した。その結果、いずれの群も単一細胞の自発発射及ぴ携先見射が減少した。ジルチアゼム実験では用量依存的な反応が見られたが、クロニジン実験では見られなかった。この結果、カルシウムイオンチャネルとα2アドレナリン受容体が疼痛制御機構に関与しており、慢性難治性疼痛患者への疼痛治療に応用され得る可飽性を示した。2.クロニジン軟膏を帯状痘疹後神経痛の患者に適応して、痛みの程度への影響を検討した。クロニジン軟膏(60mlcrogrom,150microgram,300microgram/軟膏1gramの3種類)を作成し、疼痛部位に塗布を行い、検索した。その結果、有効率は90%であった。濃度的には、150microgramが最も多く使われた。いずれも副作用は、認められなかった。クロニジンの作用は脊髄レベルのみならず、神経終末レベルにおいても疼痛効果が期待された。これらの一連の研究からも血管作動薬が疼痛制御に大きく関わっていることが明確となった。またこれらの一連の薬物の臨床への応用が期待された。