- 著者
-
原田 慎一
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.1, pp.65, 2017 (Released:2017-01-01)
- 参考文献数
- 3
視床下部は摂食行動を司るとともに,生体内のエネルギー代謝をコントロールする中枢神経系として知られている.そして,それを担う因子の1つとして,レプチンがよく知られている.レプチンは,1994年にアメリカのフリードマンらによって同定され,脂肪細胞によって作り出され,強力な飽食シグナルを伝達し,交感神経活動亢進によるエネルギー消費増大をもたらし,摂食行動の抑制,肥満の抑制や体重増加の制御の役割を担っているタンパク質である.その一方で,視床下部においてレプチンが検知される仕組みは不明のままであった.本稿では,レプチンセンシングの過程と体重増加に関与する部位や因子を同定するために,正中隆起および第4のグリア細胞と呼ばれているNG2-グリア細胞の関与を発見したDjogoらの報告を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Djogo T. et al., Cell Metab., 23, 797-810 (2016).2) Levin B. E. et al., Int. Rev. Neurobiol., 51, 219-258 (2002).3) Wilson C. L. et al., Cancer, 121, 2262-2270 (2015).