著者
早水 悠登 合田 和生 喜連川 優
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.104-116, 2014-06-30

アウトオブオーダ型クエリ実行とは,動的タスク分解と非同期入出力発行に基づくクエリ実行方式であり,従前の同期入出力発行・逐次処理に基づく実行方式と比べて,大規模データに対する選択的クエリ実行において高い性能を発揮することが知られている.本論文では,既存データベースエンジンにおけるクエリ実行の挙動を変えることなく,その処理性能をアウトオブオーダ型クエリ実行と同水準まで向上させるために,アウトオブオーダ型クエリ実行に基づくデータベースエンジン加速機構を提案する.当該機構は既存エンジンのクエリ実行と並行して当該クエリを協調的にアウトオブオーダ型実行し,バッファプールを介して先行的にデータベースページを供給することで,既存エンジンの入出力待ち時間を縮減し,大幅な高速化を実現する.本論文ではオープンソースデータベース管理システムPostgreSQLを対象とした加速機構の試作実装PgBoosterの構成法を示すとともに,ミッドレンジ級のサーバ・ディスクストレージからなる環境において評価実験を行い,その高速性を明らかにする.
著者
早水 悠登 合田 和生 中野 美由紀 喜連川 優
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.328, pp.67-72, 2010-11-29

昨今、データセンターにおけるサーバの消費電力増加が著しい。これらサーバのなかでも、データセンターの中でもメジャーなアプリケーションであるオンライントランザクション処理(OLTP)の省電力化が重要である。OLTPシステムはサービスレベル契約(SLA)を満たすことが求められるため省電力化が難しく、これまでのところ有効な省電力手法はほとんど提案されていない。本論文では、OLTPにおけるアプリケーション指向省電力を提案する。我々の手法では、OLTPアプリケーション性能の測定にもとづきプロセッサの動作周波数を動的に調整する。これにより、SLAを満たしつつOLTPシステムの消費電力を削減できる。TPC-Cと実サーバの負荷データを利用した実験では、最大でサーバ全体の消費電力における11%の消費電力削減効果があることが確認された。
著者
満武 巨裕 石川 智基 佐藤 淳平 合田 和生 喜連川 優
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.189-194, 2020-04-20 (Released:2021-04-26)
参考文献数
8

OECD,WHO,国連等の国際機関は,保健医療分野における政策立案に資する国際統計報告として様々な保健医療指標の迅速な提供を各国に求めている.2015年に日本がOECDに提出した保健医療指標の数は35加盟国中最低で,改善が望まれる. 本研究は日本の保健医療指標の提出項目数の増加を目的として,既存の公的統計やレセプト情報・特定健診等情報データベースを活用して未報告の保健医療指標の推計を行う.さらに,今回の推計から得られたわが国における手術および画像検査の実施状況について考察する.最後に,保健医療指標推計にレセプト情報・特定健診等情報データベースを利用する際の課題について述べる.
著者
合田 和生 喜連川 優
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.211-221, 2010-03-01

本論文では,グリーンレプリケーションと称し,業務継続を目的としたレプリケーションシステムにおける二次系ディスクストレージの省電力化方式を提案する.提案手法は,サービス復旧にかかる時間を意識した制御系のもとで,二次系に転送された更新情報をコンパクト化し,更新の反映操作を集中化することによって,ディスクドライブを長時間アイドル化する.商用データベースシステムを用いた実験により,30秒から100秒程度のサービス停止時間のオーバヘッドのもとで,二次系ディスクストレージの消費電力のうち80〜85%を削減可能であることを示す.
著者
山田 浩之 合田 和生 喜連川 優
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J97-D, no.4, pp.774-792, 2014-04-01

並列データ処理系であるHadoopにおいては,近年Hiveをはじめとする上位層ソフトウェアの充実が見られ,当該処理系は大規模データの解析基盤として広く用いられるようになりつつある.同時に,元来のMapReduceなるデータ処理に特化し対象データの全走査を前提とするという設計を見直し,データ処理の効率性を高めるべく,索引やパーティショニング等の各種のデータベース技術を取り込む方向性が見られる.本論文では,Hadoopをはじめとする並列データ処理系において,関係データベースエンジンで試みられているアウトオブオーダ型実行方式を拡張して適用することにより,データ処理の一層の高速化を目指す.アウトオブオーダ型実行方式を適用することにより,並列データ処理系の各々の計算機は,並列データ処理の実行時にタスク分解を行い,分解されたタスクにおいて自らの二次記憶並びにネットワークを介した他の計算機の二次記憶への入出力を行い,入出力の完了に伴い関連する演算を実行する.すなわち,並列データ処理系全体の入出力を非同期化する.データインテンシブな並列データ処理においては,入出力に性能が律速されることが多く,当該入出力を非同期化することにより,従来型の処理系に比して,特にデータセット空間の一部のデータを対象とするデータ処理において,飛躍的な高速化が期待される.本論文では,著者らが試作を行ったHadoopをベースとするアウトオブオーダ型並列データ処理系Hadooodeの構成法を明らかにするとともに,20台の計算機からなるクラスタマシンにおいて当該試作を用いて行った性能評価実験を示し,その有効性を明らかにする.
著者
早水 悠登 合田 和生 喜連川 優
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.104-116, 2014-06-30

アウトオブオーダ型クエリ実行とは,動的タスク分解と非同期入出力発行に基づくクエリ実行方式であり,従前の同期入出力発行・逐次処理に基づく実行方式と比べて,大規模データに対する選択的クエリ実行において高い性能を発揮することが知られている.本論文では,既存データベースエンジンにおけるクエリ実行の挙動を変えることなく,その処理性能をアウトオブオーダ型クエリ実行と同水準まで向上させるために,アウトオブオーダ型クエリ実行に基づくデータベースエンジン加速機構を提案する.当該機構は既存エンジンのクエリ実行と並行して当該クエリを協調的にアウトオブオーダ型実行し,バッファプールを介して先行的にデータベースページを供給することで,既存エンジンの入出力待ち時間を縮減し,大幅な高速化を実現する.本論文ではオープンソースデータベース管理システムPostgreSQLを対象とした加速機構の試作実装PgBoosterの構成法を示すとともに,ミッドレンジ級のサーバ・ディスクストレージからなる環境において評価実験を行い,その高速性を明らかにする.Out-of-Order Query Execution is a query execution method which is based on dynamic task decomposition and asynchronous I/O operations. For selective queries on large scale data, it outperforms existing query execution methods. This paper proposes a pluggable database engine booster based on Out-of-Order Query Execution, which improves query execution performance of an existing engine to the same degree of Out-of-Order Query Execution with maintaining the compatibility of the engine. In parallel to a query execution in the engine, the booster runs Out-of-Order Execution of the query in a coordinated manner, and supplies database pages to the engine on ahead via the buffer pool. That reduces I/O waiting time of the engine and improves its performance significantly. This paper describes development of PgBooster, a prototype implementation of database engine booster, and its experimental evaluations on a mid-range class environment with a server and a disk storage system.
著者
合田 和生 喜連川 優
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.3, pp.211-221, 2010-03-01

本論文では,グリーンレプリケーションと称し,業務継続を目的としたレプリケーションシステムにおける二次系ディスクストレージの省電力化方式を提案する.提案手法は,サービス復旧にかかる時間を意識した制御系のもとで,二次系に転送された更新情報をコンパクト化し,更新の反映操作を集中化することによって,ディスクドライブを長時間アイドル化する.商用データベースシステムを用いた実験により,30秒から100秒程度のサービス停止時間のオーバヘッドのもとで,二次系ディスクストレージの消費電力のうち80~85%を削減可能であることを示す.