7 0 0 0 OA 地球温暖化

著者
向井 人史
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.A2-A9, 2013-05-10 (Released:2013-08-28)
参考文献数
20
著者
向井 人史 田中 敦 藤井 敏博
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 = Journal of Japan Society for Atmospheric Environment (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.86-102, 1999-03-10
被引用文献数
8

日本各地の降雪中の鉛の安定同位体比を調査した。雪は北海道から島根県までの広い範囲で1990年と1992年に採取した。雪中の鉛は硝酸で抽出し, 濃縮, 電着による処理によって分離されICP-MSで分析した。雪が降ったときの流跡線によって同位体比をまとめ, それぞれの発生源地域の特徴を解析した。中国の北部や, 中国中部から朝鮮半島を経由して来た気塊によって降った降雪中の鉛同位体比は, 日本の都市の鉛同位体比とは明らかに異なる同位体比を持っており, アジア大陸起源の鉛の特徴と合致していた。ロシア起源と思われる気団からの降雪では, いくつかのサンプルは日本の鉛同位体比と良く似た値のものが存在した。これは, 特異的な値を持つロシアの鉛鉱山の影響か石炭起源の鉛の影響が考えられた。鉛と亜鉛の比は, 日本の影響があったサンプルでより低く, 大陸起源の気団では高い傾向があった。これらの傾向は, これまで測定されていた大気粉塵の傾向とかなり一致するものであったことから, 鉛同位体比は降雪中でも鉛の地域性を示す良い指標になると考えられた。降雪中には多くの場合石炭フライアッシュが存在し, 大陸での石炭の使用との関連が推測された。酸性成分濃度と鉛の濃度とは弱い正の相関があったが, 必ずしも一致しているというわけではなかった。
著者
米田 穣 向井 人史 蔡 錫圭
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.161-170, 2008 (Released:2008-12-27)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

本研究では,国立台湾大学医学院体質人類学教室が収蔵する人骨コレクションに関する総合的研究の一環として,人骨中に残存するコラーゲンの炭素・窒素同位体比から,彼らが利用したタンパク質源を推定した。中央山地の高地に居住するブヌンの生業は,粟に特化した焼畑農耕と狩猟を主としたとされるが,骨コラーゲンの同位体比は陸上生態系およびC4植物の雑穀に依存した個体がある一方,窒素同位体比が比較的高い水産物に依存した可能性のある個体も検出されている。しかし,戦前の民俗調査では,ブヌンの漁撈活動は社によって大きく異なることが記されており,その意義についてはさらに議論が必要である。一方,台湾各地の先史時代遺跡から出土した古人骨では,非常に多様性に富んだ食生態が示された。海産物の利用やC4植物である粟などの雑穀の利用について,時代および地域間で大きな変動があったようだ。残念ながら,今回分析した古人骨資料は,帰属する文化層などの出土状況の記録が失われているので,今後放射性炭素などで,人骨の年代決定をすすめ,あわせて出土状況が明らかな古人骨資料のデータを積み重ねることで,台湾における食生態のダイナミックな変遷を明らかにできるだろう。
著者
植松 光夫 河村 公隆 三浦 和彦 長田 和雄 鵜野 伊津志 向井 人史
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

大気・海洋表層の物質循環過程の定量的解析のため、海洋大気中の気体や粒子の分析法開発・観測・モデル計算を行った。陸起源大気粒子の沈着が含有鉄分により十分に植物プランクトンの大増殖を引き起こす可能性を観測から見出した。西部北太平洋の海洋大気粒子中の窒素や炭素の大部分は有機態であり、いずれも海洋起源であることを解明した。また、モデル、衛星データ等により黄砂が地球を一周半以上も輸送されることを発見した。
著者
向井 人史 安部 喜也
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.177-182, 1990-03-05
被引用文献数
6 11

大気粉じん中の鉛の安定同位体比を誘導結合プラズマ質量分析法を用いて測定するに当たり基礎的な測定条件や装置特性, 及びマトリックス元素からの影響などを調べ, 測定精度などについて議論した.その結果, 適当な操作条件のもとでは100μg/lレベルの鉛溶液において^<206>Pb/^<207>Pb, ^<206>Pb/^<208>Pb比で0.3%程度, 又^<206>Pb/^<204>Pb比でも0.6%程度の精度で同位体比の測定が可能であることが分かった.マトリックス元素の各200mg/lは同位体比の測定に影響を及ぼさず, 大気粉じんの試料の場合試料から鉛だけを分離精製したりせずに測定可能であることが確認された.ただし^<206>Pb/^<208>Pb, ^<206>Pb/^<204>Pb比の測定値は鉛濃度に影響され, 正確な比を求める場合は試料中の鉛濃度に近い標準を用いて補正する必要があった.