著者
植松 光夫 平 啓介 奥田 章順
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.517-527, 2003-07-05 (Released:2008-04-14)
被引用文献数
2

我が国の独自技術で開発したUS-1A大型飛行艇(水陸両用)は,波高が3m以上の荒天下においても離着水が可能な世界一の性能を有している。飛行艇の最大の魅力は,航空機でありながら海上に着水でき,短時間で広範囲の海域の観測が可能な点にある。シンポジウムでは,海洋にかかわる各分野(海洋物理,海洋生物,海洋化学,水産海洋,衛星海洋)での飛行艇を利用した観測やそれに必要とされる観測装置の開発などについて議論し,飛行艇による大気・海洋観測の実現に向けての具体的な提案を行った。また,多くの研究者が船舶と同様に利用できるように飛行艇の性能や特徴を説明した。お互いの特徴を補完した船舶との同時観測や,飛行艇にしか出来ない観測などについての運用についてなども含め,本報告にまとめた。
著者
植松 光夫 平 啓介 奥田 章順
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.517-527, 2003-07-05

我が国の独自技術で開発したUS-1A大型飛行艇(水陸両用)は,波高が3m以上の荒天下においても離着水が可能な世界一の性能を有している。飛行艇の最大の魅力は,航空機でありながら海上に着水でき,短時間で広範囲の海域の観測が可能な点にある。シンポジウムでは,海洋にかかわる各分野(海洋物理,海洋生物,海洋化学,水産海洋,衛星海洋)での飛行艇を利用した観測やそれに必要とされる観測装置の開発などについて議論し,飛行艇による大気・海洋観測の実現に向けての具体的な提案を行った。また,多くの研究者が船舶と同様に利用できるように飛行艇の性能や特徴を説明した。お互いの特徴を補完した船舶との同時観測や,飛行艇にしか出来ない観測などについての運用についてなども含め,本報告にまとめた。
著者
植松 光夫
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.35-45, 2013-03-15 (Released:2019-03-22)
参考文献数
44
被引用文献数
1

大気と海洋間での生物地球化学的相互作用や,その応答は,気候や環境の変化を引き起こしたり,引き起こされたりする.私は地球規模の物質循環の観点から,海洋大気エアロゾルの化学組成変動とその挙動,そして海洋への影響について研究してきた.アジア大陸に起源を持つ鉱物粒子や人為起源エアロゾルが,北太平洋上へ春季を中心に広く輸送され,地球規模の気候変化の放射収支に影響を与えていることを示唆した.またエアロゾルが輸送されている間に海洋大気境界層内で生じている化学的,物理的変質過程や除去過程を明らかにした.海洋に沈着するこれらの物質が,海洋表層での化学的,生物的過程を通して,海洋生物活動に影響を与えていることを確かめた.一方,海洋大気エアロゾル化学組成が,海洋生物や物理環境によって変化することを示した.海洋と大気と気候間でのリンケージの定量的な理解を,さらに深化させるためには,海洋科学と大気科学の連携が不可欠である.
著者
中村 篤博 成田 祥 金澤 啓三 植松 光夫
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.4-13, 2017-03-20 (Released:2017-04-03)
参考文献数
30

Chemical compositions and particle number densities of atmospheric aerosols were measured continuously in the coastal area of Seto Inland Sea during the spring of 2015. The mean concentrations of NH4+, NO3-, and water soluble organic nitrogen (ONws) were 1.6, 0.85, and 0.28 μg N m-3, respectively in total sampling mode. NO3- existed in both fine and coarse modes, while NH4+ and ONws existed primarily in fine mode. On the days of normal atmospheric conditions, the amount of ONws contributing to the total nitrogen was about 14% N in both fine and coarse sampling modes. This ratio was equivalent to the amount of NO3- content in fine mode and NH4+ in coarse mode. On the days with polluted atmospheric conditions, the amount of ONws contributing to total nitrogen was about 9.3% N in fine mode and about 5.0% N in coarse mode. This ratio was equivalent to the contributions of NO3- in fine mode and NH4+ in coarse mode. Dry deposition fluxes of particulate NH4+, NO3-, and ONWS in the area were 280, 660, and 83 μg N m-2 day-1, respectively. The flux of NO3- was more effective than any other nitrogen compounds, since the deposition rate depends upon a size distribution. The dry deposition of ONws accounted for about 8.1% of the total nitrogen dry deposition. Thus, ONWS cannot be ignored when considering the nitrogen budget and cycles in this area.
著者
山崎 敦子 渡邊 剛 川島 龍憲 小川 奈々子 大河内 直彦 白井 厚太朗 佐野 有司 植松 光夫
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.406-406, 2008

サンゴ骨格の窒素同位体比を用いて過去の海洋表層の栄養塩濃度とその起源を復元し、新たな古環境指標としての可能性を検討するため、外洋の沖ノ鳥島と石垣島轟川河口からサンゴ骨格試料を採取し、その成長方向に沿って窒素同位体比・総窒素量を1ヶ月の分解能で測定した。また比較のため、それぞれの窒素同位体比の測線に平行して沖ノ鳥島サンゴではBa/Ca比、Mn/Ca比を、石垣島サンゴではMn/Ca比を測定した。その結果、窒素同位体比・総窒素量の平均値は共に石垣島の方が高く、沿岸の方がサンゴの窒素同化が盛んであることを示した。さらに石垣島サンゴでは、河川からの流入物質の影響が窒素同位体比、総窒素量とMn/Ca比に反映し、沖ノ鳥島サンゴでは、海洋の鉛直混合や湧昇に伴う深層からの栄養塩の供給と海洋表層の窒素固定が窒素同位体比の変動要因として考えられる結果となった。今後、サンゴ骨格の窒素同位体比は海洋の栄養塩の挙動を復元する指標となることが期待できる。
著者
浦 幸帆 長田 和雄 香川 雅子 三上 正男 的場 澄人 青木 一真 篠田 雅人 黒崎 泰典 林 政彦 清水 厚 植松 光夫
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.234-241, 2011 (Released:2011-09-28)
参考文献数
25

Water-insoluble filtered residue materials of atmospheric wet and dry deposition are composed of mineral dusts and organic materials such as pollens. The number of pollens in the filter residue of deposition samples at Tottori was counted for 2 sizes at about 45 and 30 µm using a confocal laser microscope. Non-destructive X-ray fluorescence (XRF) analysis was used to measure Fe content of the filter residue. Relationship between Fe content analyzed by XRF and insoluble residue weight corrected for pollen weight assuming pollen density of 0.9 g/cm3 showed a linear relationship, suggesting that insoluble residue corrected for pollen weight contains Fe of 3.7 % by weight on the average. The average Fe content is consistent with the values reported for Asian dust (Kosa) events in Korea and China. Because Fe content of insoluble residue in filter samples is easily measured by XRF method, mineral dust amounts in the filter residue samples can be estimated from Fe content of the sample and the average fraction of Fe for Asian dust.
著者
植松 光夫
出版者
北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido University
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.49-52, 2010

西部北太平洋亜寒帯域は霧の多発する海域である. 海霧のpHは2.8-5.5と酸性を示し, 粒径分布は陸上の霧の一山型とは異なり, 霧粒の直径は7.0μmと27.5μmにピークを持つ二山型であった. エアロゾルと海霧のイオン成分の比較から, 硝酸イオンを含む粗大粒子が, 霧によって選択的に除去される事を明らかにした. これは大気経由の人為起源窒素化合物が海霧により海洋へ供給され, 海洋生態系へ影響を与えていることを示唆する.Chemical and physical properties of sea fog over the sub-arctic North Pacific regions were determined. The mean size distribution of liquid water content (LWC) of sea fog indicated two peaks, which was different from the common single modal spectra of terrestrial fog. The mean pH values of fog water ranged from 2.8 to 5.5 over the investigated regions. Nitrate existed as coarse particles acts as condensation nuclei (CN) of sea fog droplets. These results suggest that sea fog over the subarctic North Pacific is one of important scavengers of natural and anthropogenic substances transported from the Asian continent and atmospheric nitrogen deposition to the marine environment may stimulate phytoplankton growth.大気圏と生物圏の相互利用. 北海道大学低温科学研究所編
著者
植松 光夫 河村 公隆 三浦 和彦 長田 和雄 鵜野 伊津志 向井 人史
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

大気・海洋表層の物質循環過程の定量的解析のため、海洋大気中の気体や粒子の分析法開発・観測・モデル計算を行った。陸起源大気粒子の沈着が含有鉄分により十分に植物プランクトンの大増殖を引き起こす可能性を観測から見出した。西部北太平洋の海洋大気粒子中の窒素や炭素の大部分は有機態であり、いずれも海洋起源であることを解明した。また、モデル、衛星データ等により黄砂が地球を一周半以上も輸送されることを発見した。