著者
坂東 昌子 和田 隆宏 真鍋 勇一郎 角山 雄一 中尾 麻伊香 尾上 洋介
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

社会調査G:アンケート項目を作成し、491人の放射線の研究者(10の学会、6のML)にアンケートを実施し、結果の分析を行った。その結果、交流人数が多い人は放射能汚染のリスクを低く評価していることが認められた。交絡因子によるものかどうかを精査することによって、これらの関係がより明確になるが、これはH30年度実施予定の項目を改善し、大規模で実施するアンケートで確かめていきたい。また、異分野交流の人数が多い人は放射線に関する知識量も多い傾向がみられた。参与観察G:環境科学研究所、ノースウエスタン大学に赴き、研究所(室)の概要についてのインタビューを実施した。また分野を横断する試みを行っている研究会(iCEM リトリート研究会等)に参加し、分野横断の試みについて調査した。歴史研究G:分野横断研究を行った研究者(和田昭允・永宮正治・安斎育郎))のインタビュー調査を行い、文章化し、推敲を行い、発表できる目処が立った。
著者
真鍋 勇一郎 衣川 哲弘 和田 隆宏 田中 聡 角山 雄一 中島 裕夫 土岐 博 坂東 昌子
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.243-252, 2020-07-15 (Released:2020-07-15)
参考文献数
30

放射線の生体影響は様々なデータが蓄積している。しかしながらそれらの定量的,体系的な理解が不足している。我々は数理モデルによる理解を進めて来た。現在までの研究の進展と今後を展望したい。また,分野横断研究の必要性についても述べたい。
著者
坂東 昌子 田中 司朗 今井 匠 真鍋 勇一郎 和田 隆宏
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.122-134, 2017 (Released:2020-02-19)
被引用文献数
1

従来の低線量被ばくの影響評価そして放射線防護の枠組みを一新する可能性のある理論が開発されている。その名をモグラたたき(WAM)モデルと言う。このモデルが導く最も重要ことは,低線量被ばくの影響はモグラたたきのように潰されていって,時間経過とともにその影響が蓄積してはいかないということである。これは現行の放射線防護の基盤であるしきい値なし直線(LNT)モデルが70年にわたって築いてきた枠組みにチャレンジするものである。ここでは,このことを議論した2016年秋の大会企画セッションの内容を紹介する。
著者
和田 隆宏 坂東 昌子 真鍋 勇一郎
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

放射線の生体影響について、修復効果を取り入れた数理モデル(WAMモデル)によって低線量率長期被ばくの影響について定量的に解析した。特にオークリッジ国立研究所におけるマウスの突然変異の線量・線量率依存性に関する実験を詳細に検討し、WAMモデルの有効性を示した。また、ショウジョウバエにおいても線量率効果を考慮することで長期照射データが説明できることを示した。福島県の県民健康調査で発表されている市町村ごとの小児甲状腺がんの発生数と、震災から数ヵ月後に測定された放射線量のデータの相関関係を定量的に調べ、論文として発表した。また、マウスの長期照射実験における寿命短縮に関する数理モデルを構築した。
著者
友野 絢子 佐溝 政広 松本 晶子 大坪 出 光辻 理顕 和田 隆宏 木崎 智彦
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.512-517, 2020-06-01 (Released:2020-06-30)
参考文献数
13

症例は76歳の女性で,心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した.白血球およびアミラーゼ,リパーゼの上昇が見られ,腹部CT上,左腎下極に腸間膜脂肪織濃度上昇を認めた.異所性膵膵炎を疑われて入院となり,保存的加療が開始された.入院2日後から腹痛の最強点は右側腹部に移動し,炎症反応の増悪を認めた.CT上,腸間膜脂肪織濃度上昇は右側腹部に移動し,腹水も出現したため,急性腹症の診断で当科紹介となり,同日緊急手術を施行した.Treitz靭帯より20 cm肛門側の部位から30 cm長にわたる,小腸間膜の色調変化と血腫形成を認めた.小腸憩室炎による腸間膜穿通を疑い,小腸部分切除および腸間膜内血腫切除術を施行した.病理学的には空腸憩室近傍に発生して憩室内に開口部を持ち,急性出血性膵炎を発症した異所性膵であった.