著者
高岩 義信 九後 太一 早川 尚男 棚橋 誠治 金谷 和至 五島 敏芳 小沼 通二 伊藤 憲二 伊藤 和行 九後 太一 受川 史彦 平田 光司 小長谷 大介 田中 希生 田中 正 難波 忠清 西谷 正 吉川 直志 坂東 昌子
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

日本の素粒子論研究が世界的に評価される礎を築いた湯川秀樹・朝永振一郎・坂田昌一の遺した資料を活用してその学問の系譜を研究することを目標とし、その資料の利用環境整備を行った。史料データベースを充実させネットワーク上のサーバーを介して一般に公開している。このサーバで稼働するオープンソフトウェアの検討およびカスタマイズ、さらにその後継ソフトウェアの検討を行った。またこれらの資料を科学史研究に利用するのに有益な史料作成者データのデータベースを、史料カタログと連携するものとして構築することによって、史料の有効利用に資することができるようにすることを検討した。また今後へ向けての課題の検討を行った。
著者
坂東 昌子 和田 隆宏 真鍋 勇一郎 角山 雄一 中尾 麻伊香 尾上 洋介
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

社会調査G:アンケート項目を作成し、491人の放射線の研究者(10の学会、6のML)にアンケートを実施し、結果の分析を行った。その結果、交流人数が多い人は放射能汚染のリスクを低く評価していることが認められた。交絡因子によるものかどうかを精査することによって、これらの関係がより明確になるが、これはH30年度実施予定の項目を改善し、大規模で実施するアンケートで確かめていきたい。また、異分野交流の人数が多い人は放射線に関する知識量も多い傾向がみられた。参与観察G:環境科学研究所、ノースウエスタン大学に赴き、研究所(室)の概要についてのインタビューを実施した。また分野を横断する試みを行っている研究会(iCEM リトリート研究会等)に参加し、分野横断の試みについて調査した。歴史研究G:分野横断研究を行った研究者(和田昭允・永宮正治・安斎育郎))のインタビュー調査を行い、文章化し、推敲を行い、発表できる目処が立った。
著者
真鍋 勇一郎 衣川 哲弘 和田 隆宏 田中 聡 角山 雄一 中島 裕夫 土岐 博 坂東 昌子
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.243-252, 2020-07-15 (Released:2020-07-15)
参考文献数
30

放射線の生体影響は様々なデータが蓄積している。しかしながらそれらの定量的,体系的な理解が不足している。我々は数理モデルによる理解を進めて来た。現在までの研究の進展と今後を展望したい。また,分野横断研究の必要性についても述べたい。
著者
坂東 昌子 田中 司朗 今井 匠 真鍋 勇一郎 和田 隆宏
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.122-134, 2017 (Released:2020-02-19)
被引用文献数
1

従来の低線量被ばくの影響評価そして放射線防護の枠組みを一新する可能性のある理論が開発されている。その名をモグラたたき(WAM)モデルと言う。このモデルが導く最も重要ことは,低線量被ばくの影響はモグラたたきのように潰されていって,時間経過とともにその影響が蓄積してはいかないということである。これは現行の放射線防護の基盤であるしきい値なし直線(LNT)モデルが70年にわたって築いてきた枠組みにチャレンジするものである。ここでは,このことを議論した2016年秋の大会企画セッションの内容を紹介する。
著者
和田 隆宏 坂東 昌子 真鍋 勇一郎
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

放射線の生体影響について、修復効果を取り入れた数理モデル(WAMモデル)によって低線量率長期被ばくの影響について定量的に解析した。特にオークリッジ国立研究所におけるマウスの突然変異の線量・線量率依存性に関する実験を詳細に検討し、WAMモデルの有効性を示した。また、ショウジョウバエにおいても線量率効果を考慮することで長期照射データが説明できることを示した。福島県の県民健康調査で発表されている市町村ごとの小児甲状腺がんの発生数と、震災から数ヵ月後に測定された放射線量のデータの相関関係を定量的に調べ、論文として発表した。また、マウスの長期照射実験における寿命短縮に関する数理モデルを構築した。
著者
高岩 義信 九後 太一 伊藤 憲二 五島 敏芳 金谷 和至 棚橋 誠治 小沼 通二 坂東 昌子 受川 史彦 伊藤 和行 田中 正 山脇 幸一 難波 忠清 西谷 正 吉川 直志
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

日本における素粒子物理学の発展への道を開いた湯川秀樹・朝永振一郎・坂田昌一の遺した資料を保存する記念史料室等で、その資料を近年のアーカイブズ学の知識によってカタログ情報を国際標準に準拠する史料記述の形式で統一的にデータベース化することにより、史料整理と保存の体制整備と利用促進を図った。それにより、未整理であった資料を含め記念史料の全体について把握が可能になり、その管理について見通しが良くなった。さらにそのデータベースは、ネットワーク経由で相互参照(横断検索)が可能なオンライン検索システムを採用して一般向けに提供するための環境づくりを行ったので、当科研費事業の終了後にもその整備と運用の継続が可能になり、様々な研究課題に利用できるようになり、現実にこれらの史料の参照の要求にこたえることが可能になった。
著者
坂東 昌子 真鍋 勇一郎 澤田 哲生
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.252-258, 2015 (Released:2020-02-19)
参考文献数
1
被引用文献数
1

2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故。引き続き事故の余波は,福島県浜通りなどから今なお避難を強いられている12万人の皆さんに止まらない。福島に住み続けること選択した多くの人々をも心配させている。事故後4年を経ても「いつまで続くのかも分からない事故の影響」のことが多くの人の心にひっかかっているという状況である。そんななか,それまで放射線被ばくの生体影響というテーマに取り組んだことのなかった物理学者が,“なにかしなければいけない”との思いで学の境界線を気に留めず,乗り込んで来た。学術の越境が知の統合を生み,ここに新たな叡智が生まれようとしている。80年以上続いて来た放射線防護の基本概念が覆される可能性を秘めた研究成果である。
著者
真鍋 勇一郎 中村 一成 中島 裕夫 角山 雄一 坂東 昌子
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.705-708, 2014 (Released:2020-02-19)
参考文献数
15

マラーのショウジョウバエの実験以後,放射線のリスクは,総線量で決まることが示され,LNT(直線しきい値なし(仮説))が放射線防護の基礎となった。しかしながら,後にラッセルらによって,線量率効果の存在が示された。これらの異なった種に対する結果を,統一的に理解し,それをヒトまで援用する手法として数理モデルを提案する。更にスケーリング則を導入すると,様々な種の実験データを統一的に理解できる。これは放射線リスク評価に新しい知見を加えるだろう。
著者
クイン ヘレン 坂東 昌子
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.881-885, 2005-11-05

ヘレン・クイン(Helen Quinn)さんは, 2004年の米国物理学会の会長だった方である.その前年も女性(Myriam Sarachik)が会長だったので, 米国物理学会では2年連続して女性が会長だった.ヘレンさんは, 昨年10月7日東大駒場で開かれた男女共同参画学協会連絡会設立2周年記念シンポジウムで講演されるはずだったが, 折悪しくお父上を亡くされ, 来日が不可能になってしまった.そのため当日は急遽, 筆者が講演内容を紹介することになった.ここに紹介するのはそのときの予稿ともいうもので, シンポジウム当日参加者に配布された資料集(品切)に原文とその訳が並べて収録されていたものである.今回, 男女共同参画学協会連絡会(http://annex.jsap.or.jp/renrakukai/)の許可を得て, ここに再録することにした.日本語訳は坂東が担当したが, 男女共同参画推進委員会の委員の方々や, コメンテーターの方に, わからないことを教えてもらった.ここでお礼申し上げる.なお, 彼女は本年京大基研に来られる予定があり10月17日には京大女性教員懇話会も協力して公開講演会が開かれる.昨年の男女共同参画学協会連絡会設立2周年記念シンポジウムでのヘレンの講演原稿に勇気づけられた人は多い.物理学がより豊かな発展に向けて羽ばたくために, 女性がどのように活躍するのか, そしてそれがどのようにして可能になるのか, その一端を知ることができるのではないだろうか.世界物理年を迎えた今年, この機会に, 講演内容を学会誌に再録するのも意義深いのではないか, そう考えて, このたび紹介することとした.(坂東昌子)
著者
坂東 昌子
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.255-264, 2006-06-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。