- 著者
-
土居 元紀
- 出版者
- 大阪電気通信大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2003
本研究の目的は皮膚構造の光学的モデル化と質感の高い皮膚画像生成であり,平成16年度は特に皮膚の分光スペクトル推定手法の検証と,そのモデルに基づく人体部分の3次元CGの生成を行った.平成15年度にKubelka-Munk理論を用いて皮膚内に存在する色素数や皮膚の厚みのパラメータをコントロールして反射光の分光スペクトルを推定する手法を確立したが,この手法では補正関数を導入していた.今回,その補正関数なしで推定できるように改良した.また,推定結果を用いて,皮膚内色素のパラメータをコントロールすることにより,日焼けや炎症などの生じた皮膚や,色素の少ない皮膚などの分光スペクトルを推定した.そして,推定した皮膚の分光スペクトルを用いて,3次元計測した人体部分の3次元CGを生成した.人体部分としては,手を対象とした.光源色と推定した皮膚の色および光源位置と手の3次元形状から,2色性反射モデルに基づいて手の上の各点における光の反射スペクトルを計算し,CG生成を行った.2色性反射モデルには,実際の2色性反射に最も適合する,Torrance-Sparrowモデルを用いた.さらに,テクスチャについて,テクスチャが顕著に現れる手のひらについて成分を解析し,フォトリアリスティックな皮膚画像の生成を行った.また,化粧肌の色についても,Kubelka-Munk理論を用いて解析を行った.これらの成果について、学会等で研究報告を行った。また,皮膚の光学的モデルとそのモデルに基づく3次元CGの生成について,成果をまとめ,現在学術論文誌に投稿中である.