著者
土居 利光
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.39-48, 2017-03-15

動物園及び水族館の評価に関して取り上げられることが多い利用者数は,利用者の関心を示す一つの指標とされることから,10年間にわたる利用者数の変動やその理由などを調査し,利用者数の評価について考察した。年間の総利用者数は,園館によって大きく異なるが,基本的には立地する場所の人の集積度合いで決まってくる。一方,年度によって大きな違いがある場合においても,各年度の総利用者数に占める月別利用者数の割合は,連休などの時期を反映したパターンを示した。これは,動物園などを利用することが「その場所に行くことが望ましい」という規範の下での選択の結果であることを示していると考えられるため,評価において利用者数は,利用者の関心度合いを示す補助的な指標としてとらえるべきである。
著者
土居 利光
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.6, pp.61-76, 2013-03-30

動物園及び水族館は,動物を収集し展示し公開することによって利用される施設であり,関係者の間ではレクリエーション,自然保護,教育,研究の四つ役割を持つとするのが定説となっている。本論では,野生動物との関わり,都市における資源,組織などの視点から動物園及び水族館を捉えるとともに,立地環境である都市の課題を解決するための手段に位置づけて,その意義及び役割の検討を行った。結果として,動物園及び水族館は,人工エネルギーを利用する現代的な存在であるとともに,その組織は人的システム,物的システム,交換システムから構成されており,現代の社会生活とそれを支える社会組織を成り立たせるための空間である都市において,自然への共感を呼び起こす場及び地域の核としての意義を持ち,その役割は教育や普及啓発を含めたメッセージの発信にあるとした。