著者
坂本 忍
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

精巣腫瘍の増加、精子数の減少、不妊の増加、乳癌の増加、子宮内膜症の増加などが「内分泌撹乱物質」との関連を懸念されている。我国の約13万人の女性が内膜症治療を受け、患者数は100万人を越えるとまで言われている。内膜症の発生と進展に与える内分泌撹乱物質の影響は、PCB、DDT、ビスフェノールAなどのように直接エストロゲンレセプターを介するものが先ず第一に考えられるが、ダイオキシン類のようにサイトカイン制御異常から免疫防御機構の破綻が原因することも大いに考えられる。流産防止の目的でジエチルスチルベストロール(DES)を投与された妊婦から生まれた子に、膣癌、子宮形成不全、精巣萎縮などが発生し大きな社会問題に成ったことは余りにも有名な話しである。本科学研究費補助金の援助を得て、イソフラボン、ビスフェノールAなど内分泌撹乱物質のマウス子宮腺筋症と乳癌の発生と進展に与える影響を、子宮腺筋症と乳癌が自然発生してくるSHNマウスを用いて検討した。SHNマウスは商業的には購入不可能な閉鎖系のために、当該実験動物施設内でのみ自己繁殖が可能であり、繁殖作業と実験作業を平行して行っている。そのために研究計画は未だ終了しておらず、現在も進行中であるが、一応の結果は得ている。また、本研究中に派生的に生じた興味ある実験結果を報告した。すなわち、血管新生阻害因子がこのマウス子宮腺筋症の進展を抑制するというものである(Fertil Steril 80 : 788-794,2003)。
著者
石戸谷 滋人 青木 大志 櫻田 祐 菅野 裕樹 坂本 忍 千坂 和枝 小池 喜代子
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.207-211, 2013 (Released:2013-10-31)
参考文献数
5
被引用文献数
1

泌尿器科医は内分泌外科領域の手術において,腹膜外アプローチを頻用してきた。副腎領域では,後腹膜をバルーンで拡張して操作腔を作成,後腹膜鏡下副腎摘出術を盛んに施行している。種々のエネルギー源(電気メス,超音波凝固切開装置,シーリングデバイス)を用いての低侵襲かつ安全な手技である。また,一部の施設ではさらに整容性に優れた“単孔式副腎手術”も行われている。前立腺手術では,レチウス腔を展開しての前立腺全摘術を施行している。出血し易いサントリニ静脈叢の処理にはバンチング操作で対応,勃起神経の温存操作では,ファインな手術器械を吟味して慎重な操作で臨んでいる。最近では手術支援ロボット「ダヴィンチ」(daVinci)を用いた“ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術”が急速に広まっている。
著者
杉浦 利江 高橋 由佳 坂本 忍 稲森 美穂 山田 浩昭 米積 信宏 森下 博子 前田 美都里 川合 智之
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, 2018

安城更生病院(以下当院と略す)は,病院のスタッフ全員が,将来ビジョンを見据えた地域の病院となるためのプロジェクトに取り組んでいる。医事課を担当する病院職員は,「地域住民の健康と幸福」というスローガンの下,このプロジェクトに関わっている。達成に向けて3つの目標,すなわち1.未収金管理における回収の改善,2.委託金削減,3.委託取引件数の減少,を設定した。具体的な内容は,1.コンビニ決済の利用による未収金の回収,2.限度額適用認定証の周知および国民健康保険対象者の高額療養費貸付制度の推進による高額療養費の回収,3.無戸籍者への戸籍取得支援並びに健康保険の給付支援である。コンビニ決済の利用による未収金の回収額は約9万円/月であり,無戸籍者への戸籍取得支援並びに健康保険の給付支援により約8万円の回収が可能であった。さらに,限度額適用認定証利用の周知および高額療養費貸付制度の利用の推進は,年間約1,700万円の回収額を生みだした。今回の取り組みにより2016年の4月から8月の委託金の平均月額は890,188円で,委託件数は12件,2017年にはそれぞれ305,615円,10件へと削減することができた。本プロジェクトは,患者の自主的な医療費の支払いを促し,回収額の増加並びに委託金や委託取引件数の削減をもたらした。
著者
高木 省治郎 須田 啓一 小松 則夫 大田 雅嗣 加納 康彦 北川 誠一 坪山 明寛 雨宮 洋一 元吉 和夫 武藤 良知 坂本 忍 高久 史麿 三浦 恭定
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.2274-2280, 1986

Five patients with malignant lymphoma in whom primary chemotherapy had failed were treated with high-dose chemotherapy using AAABC regimen, total body irradiation, and transplantation of cryopreserved autologous marrow. Complete remission was achieved in all five patients. In these patients, the recurrence of malignant lymphoma did not occur during the follow up time of 2 to 59 months after autologous bone marrow transplantation. Three of them are alive in continuous remission for 33, 49, and 59 months, respectively. In one of these three patients, acute lymphoblastic leukemia developed 44 months after bone marrow transplantation. However, successful chemotherapy resulted in a complete remission of leukemia, he is alive in remission. The remaining two patients died of pneumonia and respiratory failure 72 days and 82 days after bone marrow transplantation, respectively. Our results show that intensive chemoradiotherapy and autologous-marrow transplantation can produce a prolonged remission in patients with malignant lymphoma in whom conventional chemotherapy has failed.