著者
友野 順章 城 裕之
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.613-618, 2008-11-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

オセルタミビルはインフルエンザウイルスの増殖に関与するノイラミニダーゼを阻害する薬剤の一つであり, 罹病期間の短縮や肺炎などの合併症を予防することが知られている. 近年, 本薬剤の内服治療中に異常行動をおこすことが言われている. しかし異常行動が感染自体によるものであれば, 本薬剤が異常行動の発生を減少させる可能性が考えられる. 今回, 我々は本薬剤がインフルエンザ罹患時の異常行動の頻度を低下させるか検討した. 2006年12月から2007年3月までに異常行動を主訴に当院を受診しインフルエンザウイルス抗原迅速検査で陽性となった1歳以上の12例を異常行動群とし, 発熱を主訴に来院し異常行動を示さずウイルス抗原迅速検査で陽性となった1歳以上の335名を対照群とした. 平均年齢は異常群では825±322歳対照群では6.09±3.74歳と有意に異常行動群で高かった. (p=0.049). 両群問で, 性別, ウイルスタイプには有意な差は見られなかった. オセルタミビルは異常行動群では50.0%の患者が内服していたが, 対照群では779%が内服していた. (p=0.024) オセルタミビルはインフルエンザに伴う異常行動を抑制する可能性が示唆された.
著者
灰谷 謙二 友定 賢治 小西 いずみ 岩城 裕之 有元 光彦
出版者
尾道市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

中国地方方言は、西日本方言の広がりにおいてそれを促進する役目をもつのか、妨げ停滞させる役目をもつのか。たとえば断定辞は中世のデアからヂャ・ジャをへてヤへ変化する流れがあり、それは現在の方言分布状況と一致する。この流れで中国地方はジャからヤへ移行するかとみると、九州がその動きを速く見せるのに比して、ここではそれが遅い。そのような変化と伝播の「淀み」の成因を明らかにし、ひいては日本語方言状況の成立において中国地方方言がどのように位置付けられるかを明らかにすることの基礎研究たらんとし、東西・南北・円環のうち東西山間部・沿岸部の2経路においてどのような伝播の速度差があるかを追跡した。
著者
武田 拓 岩城 裕之
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 仙台高等専門学校
雑誌
仙台高等専門学校広瀬キャンパス 教育研究紀要 (ISSN:24239364)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.12-16, 2017 (Released:2017-08-04)
参考文献数
2

In Japan, it is reported that in medical settings, young medical experts can not understand dialects which senior patients speak.In Taiwan, while Mandarin (Standard Chinese) is widely spoken, Taiwanese, Hakka Language and other dialects and local languages are also spoken. Especially, senior citizens speak Taiwanese in many cases. We think that the relationship between Mandarin and Taiwanese is similar to the relationship between standard language and dialects in Japan. According to our questionnaire surveys to Japanese and Taiwanese nurses, when Taiwanese nurses can not understand what patients say, they tend to “ask their colleagues on site” more often than Japanese nurses do because Taiwanese and Hakka Language are different from Mandarin in terms of language system. And as for “the fields of words which nurses should know in advance”, Japanese and Taiwanese nurses chose almost the same words and phrases. Furthermore, both in Japan and Taiwan many nureses made favorable answers to “use of dialects in medical settings”. Many languages are spoken in Taiwan. To investigate language situations in Taiwan is an important theme full of suggestions for Japan, because Japan is also becoming a multi-lingual state.
著者
岩城 裕之 友定 賢治 日高 貢一郎 今村 かほる
出版者
呉工業高等専門学校
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1 医療現場での方言をめぐる問題に地域差がみられること各地でのアンケートや臨地調査によって、方言を巡る問題に地域差があることが明らかとなった。具体的には、富山の場合、県内のごく狭い範囲で、体調を表す重要な語について使用・不使用があったり、意味が異なる場合が存在することが分かった。一方、青森では多くの語が難解であり、医療場面で想定されるすべての語彙、表現の記述が必要となることが明らかとなった。2 方言データベースの作成と公開青森、広島、富山、飛騨のデータを収録した方言データベースを作成、公開した。いわゆる聞き取りにくい方言について、検索する際に想定されるいくつかの入力パターンを調査し、いずれのパターンでも適切な候補を表示できるようなシステムを構築した。方言研究者であれば一定のルールの中で記述するが、医療関係者などの非方言研究者は、必ずしもそうではないことに配慮したためである。結果的に、使いやすい方言辞書を追求することとなった。また、現地で収録した音声を加工し、データベースの多くの語や一部の文例について、クリックすることで音声を聞くことができるようになった。揺れのある入カパターンから適切な候補を見つけ出すことのできる方言辞書やデータベースは、ほとんど前例がなく、ユニークな成果であると思われる。3 コミュニケーションマニュアルの作成青森県津軽において、いくつかの定型的問診場面を取り上げ、方言による対話例を作成した。しかし、共通語の問診と異なり、いわゆる日常の挨拶や雑談をはさむことが「方言的」であったため、マニュアルにはなじまないと考えられ、今後も研究を重ねていく必要があると思われる。