- 著者
-
堀田 結孝
山岸 俊男
- 出版者
- 日本グループ・ダイナミックス学会
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.2, pp.169-177, 2008 (Released:2008-03-19)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
-
2
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最後通告ゲームにおいて,相手の責任や意図とは無関係に生じる不公正分配の拒否が,不公正結果に対する嫌悪によって生じる行動であるかを検討するために,137名を対象とした最後通告ゲームと独裁者ゲームを実施した。参加者は,最後通告ゲームで受け手の役割に割り当てられ,不公正分配の提案を受け入れるか拒否するかを決定した。最後通告ゲームでは,提案者が意図的に不公正分配を行う“意図あり条件”と,提案者の意図とは無関係に不公正分配が生じる“意図なし条件”の2つの条件が個人間要因として操作された。更に,参加者は最後通告ゲーム終了後,独裁者ゲームに分配者として参加し,別の相手へ分配する金額を決定した。実験の結果,意図なし条件でも拒否者が観測され,また意図なし条件での拒否者は受け入れ者よりも,独裁者ゲームで公正分配を行う傾向にあった。実験結果は,相手の意図とは無関係に生じた不公正分配の拒否が,純粋に公正結果を追求する動機に基づく行動である可能性を示唆している。