著者
塚田 全彦 眞鍋 千絵
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.12-17, 2002-01-31 (Released:2011-04-19)
参考文献数
2
著者
塚田 全彦 岡本 美津子 田中 眞奈子 貴田 啓子 小椋 聡子
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

日本国内ではこれまでに多数のセル・アニメーションが制作され、その過程で制作されたセル画は膨大な数に上る。近年アニメーションの文化的価値が認知され、セル画を含む中間制作物の保存の重要性が認識されている。しかし、合成樹脂を含む複合材料で制作されたセル画の保存に必要な各構成材料の劣化の機序、各材料が劣化した際の他の材料への相互影響については十分に検証されているとは言い難い。本研究ではセル画の保存に関する現況を調査するとともに、各材料に対して周辺環境がおよぼす影響と材料間の相互影響を評価し、セル画の長期保存に最適な環境の条件の解明を目指す。これを基にセル画を保存する際の環境の指針の提案を試みる。
著者
佐々木 彩乃 桐野 文良 塚田 全彦 高木 秀明
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.46-58, 2017-05-31 (Released:2021-05-08)
参考文献数
15

本研究ではエオシンとそれをレーキ化したゼラニウムレーキ顔料について,レーキ化が耐光性に及ぼす影響を検討した.X線回折,電子顕微鏡観察より,どちらも結晶構造をもつが,ゼラニウムレーキ顔料の方が,粒子が微細であることを確認した.また紫外-可視分光分析で両者に吸収端波長の違い等がみられたのに対し,赤外分光分析,ラマン分光分析では差異は認められなかった.エオシンとゼラニウムレーキ顔料を用いた油絵具の耐光性試験では,ゼラニウムレーキ顔料の変色はエオシンの4分の1程度であった.ゼラニウムレーキ顔料ではアルミニウムイオンとの結合により電子状態の変化が生じ,耐光性の向上に寄与していると考えられる.光による変色の機構を赤外分光分析で検討した結果,いずれの絵具もC-Brの分解とキサンテン環の構造に変化が確認された.また試料の断面観察,顕微赤外分光分析から,どちらの試料にも表面に薄い層が形成されており,光劣化は表面層にのみ生じていることが明らかとなった.
著者
小椋 聡子 赤沼 潔 桐野 文良 塚田 全彦
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

研究の概要美術工芸、特に「金属工芸(金工:鋳金技法、鍛金技法、彫金技法)」の分野において、着色技法は作品表面を色彩豊かに表現する手法として重要な役割を担う。そのひとつに各地で伝承されてきた「おはぐろ(お歯黒)(鉄漿)」着色がある。現在も美術金工作品の色調表現として使用されているだけでなく、文化財美術品の保存修復や復元においても重要な要素となる。本研究では、各地の 「おはぐろ」着色液の組成および着色工程を系統的に調査するとともに、分析技術を用いて着色層の色調発現機構を解明する。さらに得られた知見を活用し、銅合金試料への着色再現を実施する。
著者
神庭 信幸 荒木 臣紀 土屋 裕子 和田 浩 塚田 全彦
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

センサーサブシステム、データ管理サブシステム、分析サブシステム、意思決定サブシステム、最適化管理サブシステムを備えた臨床支援システムが完成し、合わせて既存のデータベースであるプロトDBとの接続も完了した。これによって、文化財の保全に向けた実空間での活動と、その結果をデータとして確認・分析・評価・判断する情報空間とが高度に統合された包括的保存システムが構築され、文化財に及ぶ様々なリスクの軽減に対して有効であることが確認された。
著者
河口 公夫 塚田 全彦
出版者
国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1.美術品が曝される温湿度変化の実データ収集国立西洋美術館からの作品貸出の際に、輸送・展示期間の温湿度の連続計測を行い、実際に作品が曝される温湿度変化に関する知見を得た。貸与先での温湿度管理は必ずしも貸す側が求める範囲内で適正に管理されるとは言えないことが明らかとなった。2.温湿度変化に伴い絵画作品におこる変化の計測輸送・展示中に起こる温湿度変化に作品(特に紙を支持体とするもの)が曝された場合に生じる、作品の形状、水分量の変化について、基礎実験データの収集を行った。その結果、一般的な傾向として相対湿度の変化に合わせて速やかに紙試料の形状、'水分量は変化し、相対湿度が高くなると試料の変形、含水率は大きくなり、相対湿度の変化幅が大きい方が変形、水分量の変化幅も大きいことがわかった。また、これらの変化の傾向に高い規則性が見られるもの、場所によるバラツキが大きいもの、等、相対湿度変化の影響が紙の種類によって異なることがわかった。3.マイクロクライメイトボックスの素材と構造の検討ボックスの素材と構造についていくつかのパターンを製作して性能の評価実験を行った。その結果、マイクロクライメイトボックスの特徴として、熱伝導率が低い素材を用いても、薄い材料を使う限り、外部の温度変化が内部に伝わるのを緩衝する効果はあまり期待できないが、相対湿度変化についてはボックス外部の変化が比較的早い場合には内部の環境を十分安定化できることがわかった。その度合いは素材により多少の差はあるものの、密閉を確保すれば大きな違いはないことがわかった。しかし長期間では外部と平衡に向かう変化が緩やかに生じるため、注意を要することがわかった。4.マイクロクライメイトボックスの基本構造の決定と評価上記よりボックスの基本構造を決定するとともに、作品の寸法・状態により個々に仕様を検討する必要があることを確認した。