著者
多山 賢二 西澤 直行
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.792-796, 1999-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

従来, 食酢がカルシウムの吸収を促進すると言われていたが, ラットを使い, 食酢と同時にカルシウムを与えるとその吸収が促進され, さらに食酢の主成分である酢酸も同様の効果を有することを動物実験で明らかにした。さらにカルシウムの大腿骨への蓄積量, 骨形成・吸収マーカーなどの測定結果から食酢とカルシウムの関係の全容を解説していただいた。
著者
多山 賢二
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.10, pp.693-699, 2002-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

食酢の機能性も, 柵数年前から他の発酵食品とともに話題になってきた。しかし, その効用については長い間の言い伝えが殆んどでその科学的裏付けが不十分であった。ここでは, 食生活習慣病予防の観点から, 動物レベルと同時に, 人体レベルでの食酢の効用を紹介していただいた。
著者
多山 賢二 岡本 洋子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.118-123, 2013-09-30 (Released:2013-11-02)
参考文献数
22

Bifidobacterium bacteria, called probiotics, have been reported to exhibit various physiological functions such as positive effects on the human digestion system. A number of products containing the bacteria have been put on the market in the form of fermented milk products.  In order to get sufficient effects in the large intestine, Bifidobacterium bacteria must be the viable form.  But the consumer cannot find products that listed the number of viable cells on the label, except for foods for specified health uses “tokuho”.  Therefore, we carried out the viable count of bacteria in yogurt and drink yogurt (12 items from 8 companies in Japan ) to find a fermented milk product having a high bacterial viable count and high viability during storage after production. As a result, the fermented milk food and drink contained 3×106 to 4×108 cfu/g or ml, and their viabilities during chilled storage were different.  Of these products, the drastic reduction in the viable cells was started in a yogurt after two weeks from the manufacture.  The improvement for maintaining a high viable cells during shelf life was completed, and in some yogurts, no decrease in the viable cells was observed for 1 month when the storage temperature was maintained at 4°C. Also, regarding the tolerance of Bifidobacterium bacteria against artificial digestive fluids in vitro, a difference existed between the manufacturers.
著者
多山 賢二 住田 初美 岡本 洋子
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.241-249, 2011
被引用文献数
1

有機酸の存在が不可欠な5種の酸味のメニュー ((1)すし飯, (2)酢の物, (3)ぽん酢醤油をかけた豆腐, (4)ハチミツドリンク, (5)飲むヨーグルト) において, 代表的な有機酸である酢酸, クエン酸, 乳酸にグルコン酸を加えた合計4種の内, どの有機酸を用いたメニューが最も美味しいか酸味度を揃えた上で評価した。その結果, グルコン酸は(5)においてクエン酸と共に最も好まれたものの,(3)でやや好まれた以外, その他のメニューでは最も好まれないグループに属した。(1)(2)(3)で酢酸が最も好まれたことは食べ慣れた味が美味しく感じることを示唆している。調理上のグルコン酸の評価を上げていくためには様々な検討や時間をかけた取り組みが必要と思われた。<br>  一般的なお寿司には多くの食塩が含まれるため, すし飯の減塩の手法を考えた。グルコン酸に着目した検討の結果, 食酢, 砂糖, 食塩の三者ですし飯を作る際, グルコノデルタラクトンを追加すれば, 食塩量を半量としても美味しさを変えることなくすし飯を味わえることが明らかになった。グルコン酸カリウムでも減塩できたものの, 食酢の酸味を緩和しすぎることから食酢使用量が多くなり過ぎ, 調理コストの点で好ましくなかった。<br>  食経験がある酢酸菌を入手しグルコースを主原料としたグルコン酸発酵を検討し, グルコースと酵母エキスの培地で酢酸が少ない条件では, 220時間でグルコン酸を9%蓄積させることができた。また, 米とアルコールからなる原料からもグルコン酸10%を含む醸造酢が試作できた。
著者
岡本 洋子 多山 賢二 古田 歩 吉田 惠子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.229-235, 2018 (Released:2018-08-17)
参考文献数
14

ミラクルフルーツは味変革物質として知られている。健康な女子学生23~27名を評価者に選び,甘味,酸味,塩味,苦味,うま味を含む代表的な食品12種類(グラニュー糖,グレープフルーツ,レモン,穀物酢,食塩,コーヒー,かつお削り節等)と日本宮崎県産ミラクルフルーツを試料として官能評価を行った。食品→ミラクルフルーツ→食品という順序で味わい,両極7点評点法を用いて呈味強度やおいしさを調べ,対応のあるサンプルのt検定を行った。酸味食品5試料では,味わった後は,味わう前に比べ,酸味強度の低下および甘味強度の上昇とともに,苦味強度の低下およびうま味強度の上昇が確認された(いずれもp<0.01)。さらに,酸味を含まない食品においても甘味強度のさらなる上昇を認めた (p<0.01)。酸味食品8試料では,「おいしさ評価」が上昇したが,甘味・塩味・苦味・うま味食品では,「おいしさ評価」には変化がみられなかった。ミラクルフルーツを味わう前と後では,我々の感じる甘味・酸味強度とともに,苦味・うま味強度にも変化がみられた。
著者
好井 久雄 多山 賢二
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.310-338, 2005-05-15

平成16年の味噌の研究業績を見ると, その約三分の一が「味噌の機能性」に関わる研究であることに注目される。つまり,「味噌の良さ」の見直し的研究成果がかなり多く報告されている。これらを前向きの研究開発として発展させ, 精力的に研究開発が進められれば一層素晴らしい果実を期待できよう。味噛の品質やその性状は, 時代とともに変わり得るものであろう。新しい時代やニーズに適応した味噌の改良・改善が積極的に行われ, 高付加価値を有する新しいタイプの味噌の出現が待たれる。本年の一層の研究開発の進展と業界の発展を期待したい。<BR>原料処理に際し副生する, 廃棄物を再利用し収率を上げると同時に, 環境汚染を防こうとの考えがある。新規の製造法としては食酢を電気分解し刺激臭の少ない食酢が得られた。以前は混合菌での発酵が主であったが, 近年は菌名の分かった菌を使用するようになった。良い例がアセトバクターとグルコノバクターを同時混合して製酢を試み, 両菌周辺の酸化能の高い遺伝子をクローニングし, その酵素の存在を確認した。昨年はバルサミコ酢の分析が行なわれたが, 食酢の機能性の報告が少なかった。