8 0 0 0 OA シュー生地

著者
大喜多 祥子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.392-397, 1997-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
渡辺 豊子 大喜多 祥子 福本 タミ子 石村 哲代 大島 英子 加藤 佐千子 阪上 愛子 佐々木 廣子 殿畑 操子 中山 伊紗子 樋上 純子 安田 直子 山口 美代子 山本 悦子 米田 泰子 山田 光江 堀越 フサエ 木村 弘
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.288-295, 1999
参考文献数
15
被引用文献数
5

腸管出血性大腸菌O157食中毒を予防するためには,牛ひき肉を用いたハンバーグの焼成においては、内部全体が75℃に到達する必要がある。しかしその到達を判断する方法は明確ではない。そこで,焼成中のハンバーグ内部の最低温度と,流出する肉汁の状態との関係を明らかにすることによって,一般家庭の調理において,食品衛生上安全なハンバーグを焼くことが出来るよう,ハンバーグの焼き終わりを検討した。1個100gのハンバーグ3個をガスオーブン230℃で焼成し,焼成中にハンバーグ内部6点の温度を測定した。また6分・9分・12分・15分・18分間の焼成後,直ちに一定の厚さ圧縮して肉汁を採取し,その色や濁りを観察して以下の結果を得た。1) ハンバーグの最低温度は6分間の焼成では44℃,9分間の焼成では55℃と低く,両者の汁液は赤みが強く濁りもあった。2)12分間焼成したハンバーグの最低温度は66℃であり,その汁液は茶褐色を呈したが,透明な油脂と混じって流出するため濁りを見定め難く,透明と判断される可能性があった。しかし注意深く観察すると濁りが確認された。なお,内部には余熱によっても75℃に達しない部分があり,食品衛生上安全であるとは言えなかった。3) 15分間焼成したハンバーグは食品衛生上安全(最低温度は75℃)であると判断された。その汁液は黄色みを帯びて透明であった。従って透明な肉汁の流出は75℃到達の指標になることが確認できた。4) ハンバーグを軽くおしたときに流出する肉汁の量・ハンバーグ表面の焼き色・断面の色・硬さで75℃到達を判断するのは難しいと思われる。5) 官能検査において,15分間焼成したハンバーグの焼き加減は適切であるとされた。以上より,おいしさと安全性の両面からみて,ハンバーグの焼き終わりは「肉汁の赤みが完全に消失して,透明になったことを確認した直後」が適切である。オーブンの種類やハンバーグの大きさなど焼成条件が異なると,焼成時間と内部温度の関係も変化する。しかし、内部温度と肉汁の色や濁りとの関係は変わらないので,「肉汁の色や濁りを見て焼き終わりを判断する」と言われることは,牛ひき肉ハンバーグに対しては有効であると思われる。
著者
大喜多 祥子 山田 光江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.214-232, 1980-10-30
被引用文献数
1

家庭用ガスオーブンの予備加熱の必要性について,イースト醗酵の食パンやロールパンと,天板に直接薄く並べて焼き上げるクッキー類について,パン切片を用いたこげ方の基礎実験も含めて検討した結果,1.食パンでは同じ焙焼時間で,ロールパンではやや長いめの時間で,予備加熱なしは予備加熱ありと形や味など総合的に差なく焼き上る。2.パン切片を焙焼した結果,予備加熱は焙焼の温度や時間によって影響があったりなかったりする。3.クッキー類は高速オーブンでは同じ時間で,普通オーブンでは時間を少し長くするだけで差のないものが得られた。特に薄く焼き上げたいラングドシャは予備加熱なしの方が好ましい製品が得られる。4.ガス使用量からみても予備加熱なしの方が少ないガス量ですんだ。以上より,前報のケーキ,シューに加えてパン類やクッキー類でも,予備加熱は必ずしも必要とは言えなかった。但しパン切片の焙焼実験から,より高温短時間加熱のものの場合や,ラングドシャの結果から逆に形がかわらないうちに焼き固めねばならないものの場合などについては,予備加熱を考慮する必要があることが示唆された。
著者
八木 千鶴 大喜多 祥子 奥山 孝子 樋上 純子 細見 和子 山本 悦子 米田 泰子 渡辺 豊子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.112-121, 2015
被引用文献数
1

微細米粉を用いたスポンジケーキ生地とスポンジケーキの物理的特性を,小麦粉を用いた場合と比較することによって明らかにした。<br> 1. DSC曲線では糊化エンタルピー変化は米粉の方が大きく,デンプンを充分に糊化するための熱量は,米粉の方が小麦粉より多く必要であった。<br> 2. 米粉スポンジケーキ生地の粘度は小麦粉スポンジケーキ生地より小さかった。<br> 3. 焼成時の内部温度は,加熱初期には米粉スポンジケーキ生地の方が小麦粉スポンジケーキ生地より高かったが,加熱後半には低くなり,米粉スポンジケーキの焼成時間は小麦粉スポンジケーキより長くかかった。<br> 4. 米粉スポンジケーキは小麦粉スポンジケーキより,質量は軽くなったが形状はほとんど差がなかった。また,米粉スポンジケーキの内部は軟らかかったが上面端部は硬かった。<br> 5. 官能評価の結果,米粉スポンジケーキは上面端部が硬く甘いため好まれなかったが,米粉スポンジケーキの内部は小麦粉スポンジケーキに比べ劣るものではないと考えられる。
著者
大喜多 祥子 石村 哲代 大島 英子 片寄 眞木子 阪上 愛子 殿畑 操子 中山 伊紗子 中山 玲子 樋上 純子 福本 タミ子 細見 和子 安田 直子 山本 悦子 米田 泰子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.224-233, 2004-05-20
被引用文献数
3

O157食中毒予防の観点から,ハンバーグ焼成方法の実態および問題点を把握するために,一般家庭の調理担当者を対象としたアンケート調査を行った。また,料理書などの文献の記載について調査した。その結果,1)一般家庭におけるハンバーグは,手作りする者が圧倒的に多く,肉は牛掻き肉が用いられる機会が多かった。2)加熱器具はフライパンを用いる者が圧倒的に多かった。しかし,蓋無しや加熱時間10分など,明らかに加熱不充分と推測される焼成を行っている者が相当数存在した。オーブンを用いる者は少ないが,設定温度や時間から見て,加熱不充分と推測される者が少なくなかった。3)焼き終わりの判断の指標は,「透明な肉汁」とする者が最も多かった。しかし,濁った肉汁や赤い肉汁を指標とする者,切り口の状態,加熱時間や押した感じなど,明らかに安全性に問題のある判断方法に頼っている者がかなり存在した。4)「O157による食中毒の発生以来食品の扱いや調理方法に注意している」と回答した者は約79%あったが,O157に対して75℃以上1分間の加熱が必要であることの認識は低かった。実際の調理においてはO157への関心の強さが安全性の高い調理操作に反映していることが確かめられた。5)ハンバーグの焼き方を学校の調理実習で教わったものが,必ずしも安全性の高い調理操作を行っているとはいえなかった。6)上記の調査結果(1999年)に対し3年後の2002年に実施した追跡調査においては,澄んだ肉汁を焼き終わりの指標とする者は増加傾向にあった。しかし,依然として不適切な方法をとる者が多い。フライパンで焼成する場合の蓋使用についても普及していない状況が確かめられた。7)文献調査の結果,焼成方法については記載が曖昧であり,特に焼き終わりの判断方法については触れていない文献がほとんどであった。以上,今回実施したハンバーグの調理方法の実態調査結果,および現在出回っている数多くの料理書などの記述などから見て,一般家庭で調理されているハンバーグは食品衛生上問題がないとは言い切れない実情が明らかとなった。O157による食中毒は大発生をみた1996年以降も例年発生し死者も見られている(厚生労働省2003)。そこで筆者ら焼く分科会としては,現在までに得られた一連の実験結果から,以下の点を全体的なまとめとして,一般の注意を促したいと考える。1.ハンバーグの焼成にあたっては,食品衛生上,内部温度が75℃以上,1分間加熱されることが不可欠であることを認識する必要がある。焼く分科会による実験結果によれば,これをクリアできる焼成条件は,1OOg大の場合ガスオーブンでは230℃で15分以上である。なお,フライパンについての詳細は次報に報告する。2.ハンバーグの焼き終わりを透明な肉汁で判定する方法は,内部温度が75℃に到達していることを確認するうえで有効な方法と言える。焼き色,弾力性,加熱時間,断面などで判定する方法は,内部温度との関連性から見て,必ずしも安全性の指標とは成り得ないことに留意する必要がある。3.現行の学校教育で用いられている教科書や,市販の料理書の記述においては,従来,おいしさの追求が主体であり,食品衛生上の安全性に言及したものはほとんど見当たらない。これらの内容が一般の調理担当者に及ぼす影響の大きさを考えた時,今後は,安全性を視野に入れた焼成方法や焼き終わりの判定方法についての正しい記載が徹底されることが望まれる。
著者
大喜多 祥子 山田 光江
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.38-45, 1982

家庭用ガスオーブンの予備加熱の必要性について,高温短時間で層状に膨化させて焼き上げるフレンチパイの,型ぬき式とパルミエ式のそれぞれ小型の基本型について,実用的な形の場合も含めて検討した結果,<BR>1.型ぬき式パイの基本型で厳密に比較すると,予備加熱ありの方が焼き縮みが小さく,よく揃って焼ぎ上るが,予備加熱なしでも加熱時間の延長でパイ製品としてはほとんど支障のない製品が得られた.<BR>2.パルミエ式パイの基本型で厳密に比較すると,予備加熱ありの方がやき縮みが少なく,特にファンなしのオーブンでは外観に加えて層のでき方や触感の点でも,加熱時間の延長のみでは解決できない有意差がみられた.<BR>3.1,2のようなことが厳密には出現するが,実用的な場合として小型のブーシェ,パルミエを焼いてみると,結局基本型より形が複雑であったり,生地量が多いので焙焼時間を長く要したりするため,予備加熱なしでも加熱時間を延長すれば予備加熱ありより特に劣るとは感じられなかった.<BR>4.ガス使用量は前報同様の結果であった.以上より,差が出やすいはずの小型・基本型のパイでは,今までに検討したケーキ,シュー皮,パン,クッキー(ラングドシャ以外)とは異なり,予備加熱の有無による影響が非常に僅かではあっても明らかにあることを確認したが,実用的な形にするとすでにそれらのことは問題にならない.<BR>1報以来の検討を通して,それ以外の場合でも結局は家庭用ガスオーブンではガスの節約という点からも予備加熱の必要はない.<BR>これは業務用の大型と異なり庫内が小さいことと,ガスという熱源に起因すると考えるが,特にファンありの高速オーブンが普及しつつある今日から将来にかけて,家庭用ガス高速オーブンである限りほとんどすべてのものを焼く場合に予備加熱の必要性は無しと判断するに至った.
著者
大喜多 祥子 山田 光江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.38-45, 1982-04-20

家庭用ガスオーブンの予備加熱の必要性について、高温短時間で層状に膨化させて焼き上げるフレソチパイの、型ぬき式とパルミエ式のそれぞれ小型の基本型について、実用的な形の場合も含めて検討した結果、1 .型ぬき式パイの基本型で厳密に比較すると、予備加熱ありの方が焼き縮みが小さく、よく揃って焼き上るが、予備加熱なしでも加熱時間の延長でパイ製品としてはほとんど支障のない製品が得られた。 2 .パルミエ式パイの基本型で厳密に比較すると、予備加熱ありの方がやき縮みが少なく、特にファンなしのオーブンでは外観に加えて層のでき方や触感の点でも、加熱時間の延長のみでは解決できない有意差がみられた、 3. 1,2のようなことが厳密には出現するが、実用的な場合として小型のブーシェ、パルミエを焼いてみると、結局基本型より形が複雑であったり、生地量が多いので焙焼時間を長く要したりするため、予備加熱なしでも加熱時間を延長すれば予備加熱ありより特に劣るとは感じられなかった。4.ガス使用量は前報同様の結果であった。以上より、差が出やすいはずの小型・基本型のパイでは、今までに検討したケーキ、シュー皮、パン、クッキー(ラングドシャ以外)とは異なり、予備加熱の有無による影響が非常に僅かではあっても明らかにあることを確認したが、実用的な形にするとすでにそれらのことは問題にならない。1報以来の検討を通して、それ以外の場合でも結局は家庭用ガスオーブンではガスの節約という点からも予備加熱の必要はない。これは業務用の大型と異なり庫内が小さいことと、ガスという熱源に起因すると考えるが、特にファンありの高速オーブンが普及しつつある今日から将来にかけて、家庭用ガス高速オーブンである限りほとんどすべてのものを焼く場合に予備加熱の必要性は無しと判断するに至った。
著者
大喜多 祥子 花﨑 憲子 和田 淑子 倉賀野 妙子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.9-17, 2015 (Released:2015-03-06)
参考文献数
28
被引用文献数
2

ビスケットの品質・嗜好性に及ぼすパラチノースの影響を検討するために,砂糖と置換するパラチノースの代替率を様々に変えたビスケットを調製し,生地の物性,焼成品の形状・官能評価,保存時の吸湿性を比較した。その結果,パラチノース溶液で調製した湿グルテンは砂糖に比べて圧縮時の応力値,エネルギー値ともに大きかった。ビスケット生地でも同様であった。したがって,生地調製時に形成されるグルテンの性状の相違が,生地物性に反映したと推察した。パラチノースは生地焼成時に垂直方向に大きく膨張させるため,焼成品は直径が小さく,厚さが大であった。パラチノースのみのビスケットは甘味が弱く,硬く,外観・甘味・風味が好まれず,総合的に好ましくないと評価された。パラチノースの代替率を60%にすると嗜好性が顕著に改善し,50%にすると砂糖のみの製品と変わらない嗜好性評価を得た。パラチノースのビスケットは,砂糖のビスケットに比べ水分活性が低いことから,保存性や物性変化の面で利用効果が期待できた。
著者
大島 英子 樋上 純子 山口 美代子 殿畑 操子 山本 悦子 石村 哲代 大喜多 祥子 加藤 佐千子 阪上 愛子 佐々木 廣子 中山 伊紗子 福本 タミ子 安田 直子 米田 泰子 渡辺 豊子 山田 光江 堀越 フサエ 木咲 弘
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.338-345, 1999-11-20
被引用文献数
9

本実験では,焼成条件の違いがハンバーグの内部温度に及ぼす影響について検討し,次の結果を得た。 1.ハンバーグ内部の最低温度を示す点は,焼き始めはオーブン皿に接している底面の近くにあるが,生地の焼成とともに,底面から上の方に移動し,約10分経過の後からは厚さのほぼ中心付近にあることが明らかとなった。2. ガスオーブンの庫内温度を180℃,200C,230℃と変えてハンバーグを焼成した場合,焼成温度の違いは75℃到達時間の違いにあらわれるだけでなく,余熱にも影響を及ぼした。焼成温度が230℃の場合では,75℃到達後すぐに取りだしてもなお内部温度上昇が顕著に起こるので,75℃以上1分の条件を満たすことは十分可能であり,焼成時間の短縮も期待できる。 3.焼成開始時のハンバーグ生地品温が0℃,10℃,20℃と異なる場合,75℃到達時間は0℃では22分,10℃と20℃では16分となり,有意差が認められた。このことから,チルドなどの0℃付近の品温のハンバーグは,焼成の時間設定を長めにする必要があるが,焼成後オーブンから取りだしてからの内部温度の推移に差はなかった。 4.電気オーブンとガスオーブンでの焼成を比較すると,庫内を230℃に予熱して焼成した場合,ガスオーブンの方が75℃到達時間は0.9分早く,余熱最高温度も6.5℃高くなり,75℃以上保持時間も5.7分長かった。これらの差はガスと電気の熱量の違いによるものと思われる。 5.70℃まで焼成したハンバーグと,75℃まで焼成したハンバーグとを官能検査したところ,両者の間に有意差は認められず,75℃まで焼成しても焼き過ぎとは判定されなかった。厚生省指導による75℃以上1分間加熱は,ハンバーグの焼き色,香り,触感,味などの点で十分賞味できるものであることが認められた。
著者
渡辺 豊子 大喜多 祥子 福本 タミ子 山田 光江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.308-314, 1997-11-20
被引用文献数
3

ケーキバッターにおいては,製法により生じるバッター比重の相違が焼成中の温度上昇に影響を及ぼすと言われているため,撹拌程度を規制して3種の同一比重バッターを調製した。そしてこれらのバッターの物性を検討すると共に,この物性の影響を受けないモデル加熱法を考案し,バッターの熱伝導を調べ,バッターの熱の伝わりやすさやケーキ形状に及ぼすバターの有無・製法の影響をみた結果,1.撹拌規制によりスポンジとバタースポンジの両バッターは,共に流動性が増した。また同一比重の3種バッターの物性を比較すると,卵起泡のスポンジとバタースポンジはバター起泡のパウンドに比べ,柔らかく流動性があり,バッターの流動性にはバターの有無よりも製法が大きく影響するといえた。2.同一比重バッターの流動を抑えて一方向から加熱したモデル加熱Iの結果,スポンジは温度上昇が速く,バターを含むバタースポンジとパウンドの温度上昇は同程度遅れた。従ってバッターの熱伝導は製法の違いよりもバッター構成成分(バター有無)の影響を大きく受けるといえた。また加熱特性値を求めたモデル加熱IIからも同様の結果を得た。これらのことから成分の違いがバッターの有効熱伝導度に影響を与えることが認められた。3.既報でバタースポンジの温度上昇がパウンドほどには遅れなかった原因は,バタースポンジバッターの比重が小さかったためと考えられ,バッターの熱の伝わりやすさには有効熱伝導度よりも比重の影響が大きく関与すると考えられた。4.ケーキ形状は周囲部が焼き固まる時期に中央部の膨化が進行中か終了しているかで決まり,これにはバッターの熱の伝わりやすさが影響し,この熱の伝わりやすさには比重が大きく関与した。