著者
下井 俊子 牛山 博文 観 公子 斉藤 和夫 鎌田 国広 広門 雅子
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.77-82, 2007-06-25
被引用文献数
5

ジャガイモ中のグリコアルカロイド(ポテトグリコアルカロイド,PGA)について,青果27品種および市販そう菜に含まれる皮付きジャガイモ31試料の含有量調査を行った.ジャガイモ青果27品種についてPGA含有量を調査した結果,品種間で差が見られた.高い値を示したのはメークインおよびシェリーであり,Mサイズ(100 g程度)のPGA含有量はそれぞれ180および320 mg/kgであった.低い値を示したのはインカレッドで,MサイズのPGA含有量は21 mg/kgであった.また,PGA含有量はどの品種でもサイズが小さいものほど高かった.市販そう菜に含まれる皮付きジャガイモについてPGA含有量を調査したところ,その値は48~350 mg/kgであった.
著者
小林 武志 長島 裕二 木村 凡 藤井 建夫
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.76-80, 2004-04-25
参考文献数
14

フグ毒テトロドトキシンを滅菌したぬか漬けに添加すると毒性が低下することを見いだし,この原因を明らかとするために,テトロドトキシンを添加した滅菌無機培地を弱酸性下に放置し,経時的にマウス試験を行ったところ,マウス致死活性が消失した.このことから,無機培地中にテトロドトキシンの毒性を低下させる要因があると考え,高速液体クロマトグラフィーと併用して検討したところ,培地成分の無機塩溶液を除去したとき,毒性の減少が抑制された.そこで,無機塩溶液に含まれる各成分の影響を検討したところ,ホウ酸がテトロドトキシンの毒性減少に深く関与していることが判明した.
著者
新藤 哲也 牛山 博文 観 公子 安田 和男 斉藤 和夫
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.277-282, 2004-10-25
被引用文献数
1 8

5種の市販ジャガイモ(メークイン,男爵,ワセシロ,レッド,パープル)中のα-ソラニンとα-チャコニンを衛生試験法に基づいて抽出,固相抽出カラムによるクリーンアップを行い,C<sub>18</sub>カラムを用いてHPLCにより分析を行った.回収率はα-ソラニンおよびα-チャコニンともに 96% と良好であり,本法における定量限界は試料1 g当たりいずれも2μgであった.ジャガイモの皮層部中のα-ソラニンとα-チャコニンはすべての試料で検出され,それらの含有量はメークイン,男爵,レッド,パープル,ワセシロの順で多かった.ジャガイモの髄質部中のα-ソラニンとα-チャコニンはメークインおよび男爵のみから検出され,その含有量はいずれも皮層部の1/10以下であった.ジャガイモを90日間室温暗所で貯蔵した場合のα-ソラニンとα-チャコニン含有量は多少の増減はあったものの5種のジャガイモのいずれの部位においても顕著な増加傾向は見られなかった.
著者
天倉 吉章 堤 智昭 飯田 隆雄 中川 礼子 堀 就英 飛石 和大 内部 博泰 中村 宗知 柳 俊彦 河野 洋一 豊田 正武 佐々木 久美子 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.148-152, 2005-08-25
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

市販ベビーフード中のダイオキシンレベルを評価するために,2001~2002年に入手した102品目(102試料) のベビーフード中のダイオキシン類〔ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDDs),ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)およびコプラナーポリ塩化ビフェニル(Co-PCBs)〕の分析を行った.その結果,各試料の毒性等量(TEQ)は湿重量当たり<0.001~0.135 pg-TEQ/gで,102試料中,26試料が0.010 pg-TEQ/g以上であった.最高濃度は,おかず類"いわし,野菜"(0.135 pg-TEQ/g),次いで"いわし,大根" (0.080 pg-TEQ/g)であった.傾向として,魚類や乳製品のような動物性食品を含むものにダイオキシン検出が認められたが,それらは低い汚染レベルであった.
著者
野口 玉雄 高谷 智裕 荒川 修
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.146-149, 2004-06-25
被引用文献数
5 12

1990年から2003年にかけて,日本各地の囲い養殖(網生簀養殖,陸上養殖)場から養殖トラフグ計4,515尾を採取し,肝臓,ならびに一部の個体については筋肉,皮,内臓,生殖巣などの毒性を調査した.食品衛生検査指針・理化学編のフグ毒検査法に準じてマウス毒性試験を行ったところ,いずれの検体からも全く毒性は検出されなかった.また,一部の肝臓につき,フグ毒(tetrodotoxin, TTX)〔(M+H)<sup>+</sup>=<i>m/z</i> 320〕を対象として液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を行ったが,いずれの個体からもTTXは検出されなかった(0.1 MU/g未満).この結果,囲い養殖で無毒の餌を用いて飼育された養殖トラフグは無毒であることがわかった.
著者
菅野 慎二 河村 葉子 六鹿 元雄 棚元 憲一
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.196-199, 2006-08-25
参考文献数
9
被引用文献数
3

わが国の市販瓶詰の金属キャップに塗布されたシーリング103検体について,形状,材質,エポキシ化大豆油(ESBO)含有量,共存可塑剤などを調査した.シーリングの材質は 97% がポリ塩化ビニルであり,ごく一部がポリエチレンおよびアクリル樹脂であった.ESBOは全検体から 0.006~42.4% の含有量で検出され,ベビーフード,ジャムなどでは高く,飲料などでは低かった.また,ラグキャップやプレスオンツイストキャップでは高く,ピルファープルーフキャップでは低く,スクリューキャップではばらつきが大きかった.スクリューキャップおよびラグキャップの一部からフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP),フタル酸ジイソデシル(DIDP)などの可塑剤が検出され,これらのシーリングのESBO含有量はESBOのみの1/10以下と低かった.今回の調査により,わが国で流通するほぼすべてのキャップシーリングがESBOを含有し,80% が主可塑剤として使用していることが判明した.
著者
穐山 浩 五十鈴川 和人 張替 直輝 渡邊 裕子 飯島 賢 山川 宏人 水口 岳人 吉川 礼次 山本 美保 佐藤 秀隆 渡井 正俊 荒川 史博 小笠原 健 西原 理久香 加藤 久 山内 淳 高畑 能久 森松 文毅 豆越 慎一 村岡 嗣朗 本庄 勉 渡邉 敬浩 坂田 こずえ 今村 知明 豊田 正武 松田 りえ子 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.120-127, 2004-06-25
参考文献数
16
被引用文献数
2 12

特定原材料である牛乳タンパク質測定のELISA法の確立のために10機関による検証評価試験を行った.カゼイン,β-ラクトグロブリンおよび牛乳タンパク質を測定する3種類のELISA法とも同時再現性はおおむねCV値10%以下と良好であった.10機関で牛乳標準溶液を添加した5食品の各食品抽出液を分析した際の平均回収率は,3種類のELISA法とも数種類の食品抽出液を除きおおむね40%以上であった.しかしカゼインキットでは,回収率が極端に低いソースの抽出液の場合,抽出液のpHを中性に調整した後に測定すると回収率が改善された.また牛乳エライザキットでは,クッキー,シリアル,パスタソースの抽出液において,回収率が低かったが,プレート上の抗体量を増加させることにより改善された.3種類のELISA法の検出限界は,測定溶液の濃度で1 ng/mLであった.
著者
石川 精一 苗床 江理 川村 誠二 山口 理香 樋口 雅之 小嶋 勉 大和 康博 高橋 正規
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.87-94, 2004-04-25
参考文献数
14
被引用文献数
1 5

北九州市域に流通している食品116種類715検体について,160種類の農薬の残留実態調査を行った.食品55種類204検体から0.002~22 mg/kgの濃度範囲で60種類の農薬が検出された.食品衛生法による残留基準値が設定されていない農薬の検出割合は,国産品が27.8%,輸入品が33.0%であった.検出率が高かった農薬は,国産品ではイプロジオン>ジコホール>ジエトフェンカルブ>プロシミドン>クロルフェナピルなどで,輸入品では総臭素およびベノミルをはじめ,クロルピリホス>ジコホール>フェンバレレート>シペルメトリン>ジメトエートなどであった.輸入果実類や輸入冷凍食品類,輸入加工食品類から農薬が検出されやすい傾向にあった.
著者
石川 ふさ子 大石 充男 木村 圭介 安井 明子 斉藤 和夫
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.150-155, 2004-06-25
参考文献数
18
被引用文献数
27

キャピラリー電気泳動(CE)を用いて我が国の許可色素12種の分析法を検討した.食品中の色素を水および0.5%アンモニア-エタノール(1 : 1)混液で抽出し,色素抽出液をSep-Pak Plus tC18による固相抽出法で精製した.CE条件はキャピラリーにバブルセルキャピラリー,泳動液に20%アセトニトリル含有10 mmol/Lリン酸二水素カリウム-5 mmol/L炭酸ナトリウム緩衝液(pH 10.0)を用いた.各色素の移動時間および面積値の変動係数はそれぞれ0.28~0.62%,1.84~4.30%であり,吸収スペクトルによる確認限度は5~10 &mu;g/mLであった.各色素の清涼飲料水,キャンディーおよび漬物からの添加回収率(10 &mu;g/g)は70.0~101.5%であり,本法を市販食品に適用した.
著者
田中 健治 小林 秀誉 永田 忠博 真鍋 勝
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.63-66, 2004-04-25
被引用文献数
15

米はマイコトキシン汚染の少ない穀物である.ところが,1998年には,台風で倒伏し水に浸かったイネがあり,この米は褐色に着色していた.この年は,国内ではムギの赤かび病が大発生した年でもあったので,この米についてトリコテセン系マイコトキシンの抽出を行い,分析した.定性は,GC/MSで,定量はGC-ECDで行った.その結果,デオキシニバレノール (DON),フザレノン-X (Fus.-X),ニバレノール(NIV)のトリコテセン系マイコトキシンが検出された.米でのDONの汚染は報告されているが,現在著者の知る限りでは,Fus.-Xの汚染報告は初めてである.
著者
渡邉 敬浩 笠間 菊子 和久井 千世子 渋谷 雅明 松木 容彦 穐山 浩 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.281-288, 2003-12-25
被引用文献数
10 12

遺伝子組換え(GM)食品定性検査方法を用いて得られる測定結果の信頼性確保には,精度管理が不可欠である.そこで当該検査方法を対象とした外部精度管理方法を検討することを目的とし試験を実施した.共通未知試料を同一時期に分析するよう14検査機関に依頼し,回収した報告を基に詳細な解析を行った.その結果,検査環境の保全が不十分であることが原因と考えられる擬陽性判定が認められた.また,NewLeaf PlusおよびNewLeaf Yを対象とした検査方法においては,増幅効率の差異や検出にかかわる諸条件が要因となり,擬陰性判定が下される可能性があることが示唆された.全体としてはおおむね解析結果が予想された結果に一致したこと,また対象検査法において結果に影響を与える要因について示唆することができたことから,本研究で用いられた試験方法が外部精度管理方法として適当であると考えられた.
著者
小川 幸男 関田 清司 梅村 隆志 斎藤 実 小野 敦 川崎 靖 内田 雄幸 松島 裕子 井上 達 菅野 純
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.8-18, 2004-02-25
被引用文献数
11

雌雄のWistarラットに,0.00, 0.01, 0.10および1.00%の割合でギムネマ・シルベスタ葉の抽出粉末(GS)を基礎飼料に添加した餌を52週間与えた.試験期間中,GS投与に関連する動物の死亡はなく,体重,摂餌量,血液学,血液生化学および病理組織学的検査における変化は認められなかった.52週間のGS 1.00% 添加飼料(一日平均摂取量,雄504 mg/kg/day, 雌563 mg/kg/day)の摂取量は,ラットにおいて毒性変化の認められない用量(NOAEL)であると推論した.
著者
天倉 吉章 近藤 一成 穐山 浩 伊東 秀之 波多野 力 吉田 隆志 米谷 民雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.178-181, 2006-08-25
被引用文献数
1 11

キシメジ科スギヒラタケの化学成分に関する研究の一環として,本キノコ中のUV検出成分についてHPLC分析を行った.UV検出による主要ピークの1つを単離したところ,各種分光法の結果に基づき,共役トリエン構造を有するα-エレオステアリン酸であると同定した.α-エレオステアリン酸は,試験した他の8種の食用キノコからは検出されなかったため,スギヒラタケ特有の脂肪酸であることが示唆された.またスギヒラタケおよび他の食用キノコ中の遊離長鎖脂肪酸について,2-ニトロフェニルヒドラジドへ変換後,HPLC分析した.スギヒラタケの主要脂肪酸としてオレイン酸が検出され,α-エレオステアリン酸のほか,リノール酸,パルミチン酸,ステアリン酸などの飽和長鎖脂肪酸が検出された.
著者
斎藤 勲 上野 英二 大島 晴美 松本 浩 佐々木 久美子 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.173-177, 2006-08-25
被引用文献数
2

GC-FIDを用いるメトプレン試験法を見直すための検討を行った.試料からアセトニトリル抽出し,塩析により水層分離後,アセトニトリル層を少量のヘキサンで洗浄,次いでフロリジルカラムで精製してHPLC-UVで測定した.小麦など7種類の試料からの平均回収率は 74.6~82.8% と良好であった.さらに本法を6機関で評価したところ,5種類の試料からの平均回収率は79.4~84.6%,併行再現性および室間再現性の相対標準偏差はそれぞれ 2.3~8.8%,8.8~23.6% であった.1機関でらっかせいからの回収率が高かったために室間再現性が高くなったのを除いて良好な結果が得られた.検出限界は0.001~0.02 μg/gであった.