著者
大竹 二雄
出版者
Fisheries Research Agency
巻号頁・発行日
no.5, pp.179-185, 2006 (Released:2011-09-09)
著者
海野 徹也 清家 暁 大竹 二雄 西山 文隆 柴田 恭宏 中川 平介
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.647-657, 2001-07-15
参考文献数
40
被引用文献数
6 14

広島県太田川で捕獲されたサツキマス27個体の回遊履歴を耳石Sr/Ca比を用いて推定した。調査に用いた27個体中26尾が降海型サツキマスであり, そのうち2尾が汽水域を主な生活領域にしていた。太田川の大部分のサツキマスは1月中旬に汽水域に移動し, 2月中旬から6月中旬まで沿岸域を回遊することが判明した。
著者
塚本 勝巳 大竹 二雄 金子 豊二 井尻 成保 青山 潤
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

天然の生理生態情報を基に親魚の催熟・採卵技術と仔魚の飼育法を改善した。卵巣遺伝子の網羅的解析の結果、天然魚ではアンドロゲン受容体タイプA(ara)とアクアポリン-0および-3パラログ遺伝子が大量に発現していることを見出し、良質卵産生のための重要な指標を得た。仔魚の浸透圧調節能と栄養吸収機構の発達を調べたところ、イオン輸送体のNKCC2bとNCCbはふ化後2-3日目に消化管に発現し、水飲みの亢進と同期すること、ペプチド輸送体PEPT1は腸管上皮細胞の頂端部に局在することが分かり、飼育プロトコルが改善された。天然仔魚の体成分アミノ酸窒素同位対比分析から餌はマリンスノーと判明し、新規飼料を開発した。
著者
大竹 二雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

1993年12月27日に,種子島海岸で採集されたシラスウナギの5個体の耳石について,SIMS(二次イオン質量分析法)を用いた酸素同位体比(^<18>O/^<16>O)の微小局所領域測定を試みた。測定にはCAMECA社製IMS-6f型(東京大学理学系大学院地球惑星物理学研究室所属)を用いた。分析条件はPrimary beam:CS+,10kV,Primary beam size:〜25μmφ,Primary beam intensity:〜8x10-11A,Secondary HV:-9.5kV(Normal-incidence Electron Gun(-9.5kV)を用いる),測定時間:-10min/analysisとし,試料には金蒸着を施した。また標準試料としてCaCO_3 stdを用いた。耳石は研磨して中心面を表出させ,1μmダイヤモンドペーストを用いて鏡面を作成し分析試料とした。2個体の耳石について分析値の再現性を検討し,3個体については中心から縁辺に至る耳石中心面状の3〜4点について分析し,生息水温が既知の部位の分析値と生息水温を対応させることにより水温-酸素同位体比の関係を求め,耳石中心の水温(産卵水温)の推定を試みた。標準試料を用いた分析における再現性は,連続分析においては2∂が±1.5‰の範囲に収まり,非常に良好であった。耳石試料では,±4‰であったが技術的に再現性を向上させることは十分可能であると考えられた。本年度の分析値は測定精度の点から不十分な結果しか得られず,水温-酸素同位体比の関係を具体的に求めることはできなかった。しかし耳石中心と縁辺部の酸素同位体比の差は極めて小さいことが分かった。縁辺部にあたる水温は約20℃であったことから産卵水温もこれに近いものと推測される。今後,さらに測定法の検討を行い精度の高い分析を行う必要がある。
著者
大竹 二雄 天川 裕史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

アユ、ビワマス、ウナギを主要な研究対象に耳石のSr安定同位体比(^<87> Sr/^<86> Sr)や酸素安定同位体比(δ^<13> O)を用いて産卵場所を含む回遊履歴を明らかにした。耳石^<87> Sr/^<86> Srからアユの母川回帰性がないことを示し、ビワマスには母川回帰性があるもののその性質は弱く、母川近隣河川に遡上する傾向が強いことを明らかにした。耳石^<87> Sr/^<86> Srに基づいて、ウナギ産卵海域で採捕された親ウナギの成長場所の推定を行い、一部のウナギが日本列島太平洋岸の河川、汽水域で育ったことを示した。また、シラスウナギの耳石中心部分のδ13Oから卵の分布が水温26. 0℃、水深150-170mであることを明らかにした。この結果は2009年、2011年の学術研究船白鳳丸によるウナギ卵の採集に大きく貢献した。
著者
清家 暁 岡部 正也 佐伯 昭 海野 徹也 大竹 二雄 中川 平介
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.852-858, 2002-11-15
被引用文献数
4 5

高知県伊尾木川および物部川で捕獲されたアユの由来判別を耳石Sr/Ca比を用いて行った。両河川に放流された人工海産アユは発育初期の飼育水の塩分濃度が低く,かつ,淡水への馴致期間も天然魚に比べて短いことから耳石Sr/Ca比により天然,人工海産および湖産アユの判別が可能であった。1998年および1999年の伊尾木川の29個体,1999年度の物部川の56個体について耳石Sr/Ca比と標識痕による由来判別を行った結果,両者の結果が一致しなかったのは全体の12%,わずか10個体であった。この結果は耳石Sr/Ca比によるアユの由来判別が従来の標識方法と同等に有効であることを示唆するものである。