著者
田辺 昇 内田 俊樹 大西 一功 藤原 義久 田中 正夫 堀田 知光
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.115-120, 1992-02-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
12

MDSの治療としてビタミンD3投与は分化誘導療法の一つとして確立しているが, 今回我々はビタミンD3投与による血小板減少をきたしたMDSの症例を経験した. 患者は78歳男性, 汎血球減少のため他院より紹介入院, 入院時現症では, 肝脾腫, リンパ節腫脹も認めず, 検査所見ではWBC 8100/μl, Hb 10.49/dl, Plt 6.6×104/μlで末梢血に3%の芽球を認めた. 骨髄所見と多彩な染色体異常よりRefractory Anemia (RA)と診断しビタミンD3を0.75μg/日より投与開始し3μg/日まで増量したが汎血球減少, ことに血小板の減少が進行した. 末梢血, 骨髄とも細胞成分に質的変化は見られなかった. D3を中止したところ1週間以内に血小板増加が見られ治療前値に回復した. provoking testによる汎血球減少の再現が見られたが, ビタミンD3投与前後においてGおよびGMコロニーの生成はともにみられなかった. ビタミンD3のMDSにおける作用機序を解明する上で重要な症例と考えられた.
著者
大西 一功
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.37-45, 2004-01-25 (Released:2018-01-31)

微細加工技術の進展とともに,半導体素子の高密度高集積化が進み,パーソナルコンピュータから携帯電話,デジタルカメラと,今や社会のあらゆるところで当然のように使われるようになった.これは低消費電力,小型,高機能というだけでなく,非常に高い信頼性(故障し難い)を有しているためである.地球上のあらゆる環境で高信頼性を発揮する半導体素子であるが,原子炉周辺や宇宙放射線環境では非常に故障しやすい.本稿では,半導体素子の放射線から受ける影響について,物質との相互作用として,電離と変位損傷があり,これらが素子内部でどのようなメカニズムで故障や劣化を引き起こすのかを概説した.また半導体素子は宇宙応用には欠かせない部品であり,地上とは異なり故障すれぱボードを取り替えればよいというわけにいかないため,半導体素子の耐放射線性が如何に重要であるかを広く認識していただければとの願いを込めた.
著者
宮脇 修一 恵美 宣彦 三谷 絹子 大屋敷 一馬 北村 邦朗 森下 剛久 小川 啓恭 小松 則夫 相馬 俊裕 玉置 俊治 小杉 浩史 大西 一功 溝口 秀昭 平岡 諦 小寺 良尚 上田 龍三 森島 泰雄 中川 雅史 飛田 規 杉本 耕一 千葉 滋 井上 信正 濱口 元洋 古賀 大輔 玉置 広哉 直江 知樹 杉山 治夫 高久 史麿
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1279-1287, 2005 (Released:2009-07-28)
参考文献数
12

急性骨髄性白血病(Acute myeloid leukemia: AML) 191症例の末梢血のWT1 mRNA発現(Wilms tumor gene 1: WT1)量を定期的に測定し臨床経過との関連を検討した。初発未治療のAML症例におけるWT1の陽性率は93.9% (107/114)であった。寛解が得られ寛解を継続した症例66例の全例でWT1量は寛解に伴い低下し50 copies/μgRNA未満(陰性)となり,84.8% (56/66)の症例が1年後の経過観察終了時陰性であった。非寛解症例54例のうち87.0% (47/54)の症例のWT1量は,経過観察期間中50 copies/μgRNA以上(陽性)であった。寛解後再発した29例の全例において,寛解に伴い低下したWT1量は再発に伴って上昇に転じた。寛解後再発症例の79.3% (23/29)の症例のWT1の値は再発の43日(中央値)前に200 copies/μgRNAを超えて上昇していた。再発診断率,寛解継続診断率および診断効率を考慮するとAMLの早期再発診断のための基準値としては200 copies/μgRNAが妥当と考えられた。WT1量は,微小残存病変(Minimal residual disease: MRD)を反映しAMLの臨床状態に対応して変動していた。今回,WT1測定に使用したキットでは末梢血を用いたことからこのキット検査は患者への負担が少なく,定期的検査に適していると考えられた。
著者
大西 一功
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.37-45, 2004-01-25

微細加工技術の進展とともに,半導体素子の高密度高集積化が進み,パーソナルコンピュータから携帯電話,デジタルカメラと,今や社会のあらゆるところで当然のように使われるようになった.これは低消費電力,小型,高機能というだけでなく,非常に高い信頼性(故障し難い)を有しているためである.地球上のあらゆる環境で高信頼性を発揮する半導体素子であるが,原子炉周辺や宇宙放射線環境では非常に故障しやすい.本稿では,半導体素子の放射線から受ける影響について,物質との相互作用として,電離と変位損傷があり,これらが素子内部でどのようなメカニズムで故障や劣化を引き起こすのかを概説した.また半導体素子は宇宙応用には欠かせない部品であり,地上とは異なり故障すれぱボードを取り替えればよいというわけにいかないため,半導体素子の耐放射線性が如何に重要であるかを広く認識していただければとの願いを込めた.