- 著者
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野村 大成
中島 裕夫
本行 忠志
杉山 治夫
梁 治子
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2000
1.ヒト臓器・組織の長期継代維持:手術、検査後の残余ヒト甲状腺組織、骨髄細胞の譲渡を受け、改良SCID(重度複合免疫不全)マウスに移植、長期維持し、放射線照射を行った。2.放射線誘発ヒト甲状腺障害:頭頚部癌患者(約60才)由来ヒト正常甲状腺では、照射線量の増加とともに濾胞の消失と壊死がみられた。k-ras,p53,c-kit,β-catenin,RET遺伝子の変異は、非照射、10-20Gy照射では認められず、24-65Gy照射で、11例中6例にp53,c-kitの突然変異が誘発された。(1)若年者高感受性:Graves病若年患者(20才)由来の甲状腺100片を移植し、^<137>Csガンマ線(1Gy)を毎週照射した。病理的変化に加え、ヒト甲状腺ホルモン分泌は、9Gy以上照射で有意に低下した。^<131>I(0.5MBq)投与群でも同じであった。遺伝子変異は、6-16Gy照射で、p53およびc-kitに突然変異が計27.3%に発生した。^<131>Iを投与した20例では、1例にのみβ-catenin遺伝子の突然変異が誘発された。(2)線量率効果:^<137>Csガンマ線を高線量率(1.1Gy/min)照射で18例中6例にc-kit、p53遺伝子の突然変異が検出されたのに対し、低線量率(0.4mGy/min)照射群14例には、突然変異は全く検出されなかった。また、GeneChipを用い、8500個の遺伝子の発現異常についても、線量率効果が認められた。(3)核分裂放射線:原子炉中性子線0.2Gy照射で、多くの遺伝子の発現異常が検出された。3.放射線誘発骨髄障害と治療:^<137>Csガンマ線2Gyを照射した改良SCIDマウスにヒト正常骨髄細胞を移植することにより長期生存(不死)を得た。ヒト骨髄移植1ヶ月後に^<137>Csγ線0Gy、0.5Gy、1.0Gy、2.0Gyを照射し、マウス骨髄中ヒトCD3陽性細胞は、それぞれ38.0、32.3、25.4、2.7%と減少した。CD20、CD33陽性細胞も同じ傾向を示した。