- 著者
-
益田 隆司
河野 健二
千葉 滋
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1996
本研究の目的は,近年になって注目されている次世代のオブジェクト指向技術である自己反映計算の技術を応用して,新たなソフトウェアの部品化の手法を開発することであった.本研究は,我々の研究グループで既に開発した自己反映計算に基づいた言語処理系OpenC_<++>を研究開発の基盤として利用した.まず,プログラムの部品間の依存関係をあらわすメタ情報を記述しやすくなるよう,OpenC_<++>の改良をおこなった.さらに部品化の対象となるソフトウェアの範囲を広げ,現状の自己反映計算の能力でもうまく部品化できないソフトウエアを部品化するのに必要な基礎技術の開発を行った.そのひとつとして,フランスの国立研究所LAASの研究グループと協力し,ソフトウェアの耐故障性を高める機能を部品化する研究,オペレーティング・システム(OS)のサブシステムを部品化する研究,分散ミドルウェアを部品化する研究を行った.OS機能の部品化では,実行時性能の他に,故障時の安全性が重要であり,実行時性能と安全性とを両立させる手法の開発を行った.また,OpenC_<++>のようにコンパイル時にメタプログラムを解釈実行する方式では,プログラムの実行時にしか行うことのできないソフトウェア部品間の保護を行うのは難しい.そのため,互いに保護を必要とするようなソフトウエア部品では,部品化することによって性能の劣化が起ってしまう.この性能劣化を押さえるため,部品間の保護を実現しながらも部品間の呼び出しによるオーバヘッドを削減できるような,仮想記憶機構を新たに開発を行った.