著者
天谷 祐子
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.17-31, 2007-03-31

本研究は、Leeによる恋愛類型理論に基づき松井・木賊・立澤・大久保・大前・岡村・米田(1990)が作成した恋愛観尺度(LETS2)とAron(1992)による一体感尺度(IOS)と天貝(1995)による信頼感尺度を大学生にたずねたものである。研究1では200名の大学生を対象に恋愛観尺度と一体感尺度を質問した。結果として(1)全ての大学生(全ての群)が恋人よりも将来の結婚相手により親密さを感じていた。(2)恋人のいる人は、そうでない人よりもエロス得点の高さが恋人との一体感と関連していた。恋人はいないが恋愛経験のある人はすべてのLETS2得点と一体感と関連していなかった。恋愛経験のない人は、エロス、アガペ、マニア、ストーゲイの高さと一体感が関連していた。研究2では379名の大学生が恋愛観尺度と信頼感尺度に回答した。結果として(1)恋愛経験のある人はそうでない人よりも信頼感得点が高かった。(2)恋人がいてその恋人と結婚したいと考えている人は、他の群よりもエロス得点が高かった。
著者
天谷 祐子
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 心理発達科学 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.9-19, 2005
被引用文献数
1

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
天谷 祐子 AMAYA Yuko
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.29-47, 2003-12-25 (Released:2006-01-05)

The purpose of this study was to overview and analyze ego-experience based on children's questions about themselves. Such questions as "Why am IT ?," "Why do I exist?," "Where did I come from?," and "Why was I born at this particular time rather than at a different point in time?," along with the feeling that one's appearance is strange, all were determined to reflect egoexperiences. In the first part of the study, the various "I"s were discussed grammatically, philosophically, psychologically and developmentally. Then previous studies of ego-experience were reviewed. As a result, a new aspect of " I" was suggested, and ego-experience was defined from this new aspect. Ego-experience, then, refers to questions about " I" that are independent of a person's physical and psychological identity. The three aspects of ego-experience were found to be as follows: "questions about one's existence," "questions about one's origin or situation," and "a sense of incongruity with oneself". Finally, we considered a method for examining ego-experience and the meanings of ego-experience.
著者
天谷 祐子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.221-231, 2002-12-20 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
3

「私はなぜ私なのか」「私はなぜ存在するのか」「私はどこから来たのか」「私はなぜ他の時代ではなくこの時代に生まれたのか」といった問い等,純粋に「この私」,世界も身体も剥ぎ取った純粋な「私」といった意味での「私」についての「なぜ」という問いが発せられる現象-自我体験-を解明することが本研究の目的である。自我体験が一般の「子ども」に見られるという仮定のもと,先行研究や哲学の存在論的問いを参考に,自我体験の下位側面を「存在への問い」「起源・場所への問い」「存在への感覚的違和感」と仮定した。そして中学生60名を対象として,半構造化面接法により自我体験の収集を行った結果,38名から51体験の自我体験が得られた。そして自我体験の3つの下位側面がそれぞれ報告され,小学校後半から中学にかけてを中心としたいわゆる「子ども」時代に初発することが示された。自我体験は子どもにとっては身近なものであることが示された。
著者
天谷 祐子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.197-207, 2005 (Released:2005-06-15)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

公的・私的自己意識と自我体験――「私」への「なぜ」という問い――の関連を検討した.自我体験とは,「私はなぜ私なのか」,「私はどこから来たのだろう」といった水準の「私」への問いである.この点について,中学生239名・大学生228名を対象に,質問紙調査を行った.その結果,中学生においては,公的・私的自己意識の分化はあまり見られなかった.しかし,自我体験を報告した群の方が未体験群よりも公的・私的自己意識間の相関が低く,より分化が見られた.そして,公的・私的自己意識双方と自我体験の間に関連が見られ,中学生においては,公的・私的自己意識と自我体験の間に密接な関連があることが示された.一方大学生では,私的自己意識だけに自我体験との間に関連が見られた.また自我体験については,118名の中学生と108名の大学生から自我体験が報告され,体験率は中学生が49.4%・大学生が47.4%であった.
著者
天谷祐子 谷伊織
雑誌
日本教育心理学会第59回総会
巻号頁・発行日
2017-09-27

問題と目的 性格特性5因子モデルは,パーソナリティを包括的に表現するモデルとして多領域で使用されている。しかし5因子の各特徴について不明瞭な部分が依然あり,それらを解明する研究の蓄積が求められている。本研究では,ソーシャルメディアの中でもカスタマイズ可能性を典型的に備えている(北村,2016)ツイッター利用の動機と,ソーシャルメディアに関して社会的に問題視されやすいインターネット依存傾向を取り上げ,これらのインターネットメディア上の対人コミュニケーションのありようを,外向性・協調性をはじめとした性格特性との関連を見ることで明らかにしていく。方 法1.調査協力者:大学生201名(男性114名,女性88名)であった。平均年齢は19.05歳,SDは1.303であった。ツイッター利用者はうち151名であった。2.質問紙の構成:(1)性格特性の5因子尺度:和田(1995)による「外向性」,「神経症傾向」,「経験への開放性」,「勤勉性」,「協調性」の5因子各12項目計60項目。(2)ツイッター利用動機尺度:柏原(2011)による5因子から「交流/自己表現動機」,「既存関係維持動機」,「実況/情報探索動機」の3因子計14項目。(3)インターネット依存傾向尺度:鶴田・山本・野嶋(2014)による高校生向けインターネット依存傾向測定尺度5因子から「メール不安」,「ながら利用」の2因子計14項目。ツイッターのフォロー・フォロアー数,利用頻度も尋ねた。結 果 全ての下位尺度のα係数を算出したところ,ビッグファイブ尺度はα=.805~.916,ツイッター利用動機はα=.745~.866,インターネット依存傾向はα=.657~.876であった。それぞれの内的整合性が確認されたので,各下位尺度間の相関係数を算出した(Table1)。 「ツイッター利用動機」尺度との関連では,「交流動機」「関係維持動機」とビッグファイブ尺度における「外向性」との間に弱い正の相関が見られた。また「インターネット依存傾向」との関連では「メール不安」とビッグファイブ尺度の「神経症傾向」との間に有意な正の,「ながら利用」とビッグファイブ尺度の「勤勉性」との間に有意な負の相関が見られた。さらに,ツイッターのフォロー・フォロアー数と「外向性」との間に有意な正の相関が見られた(順にr=.224,.265,p考 察 本研究では第1に,ツイッター利用動機の交流動機・関係維持動機と,外向性との間に関連が見られた。石川(2011)は,ツイッターは「弱いつながりのSNS」として既知の対人関係との結びつきが弱く,社会的補償仮説(McKenna&Bargh,1998))を支持するものであるとしているが,本研究の結果はむしろその逆で,外向的な人がソーシャルメディア利用によってより社会的関係を強める特徴を持っていることが示された。 第2に,「ながら利用」は勤勉性の低さと関連していたが,神経症傾向とは無関連であった。ツイッターの「交流動機」の間にも正の関連が見られており,周囲の人と交流するためには,ながら利用をせざるを得ない実態があるのかもしれない。
著者
天谷 祐子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.356-365, 2004-12-20 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
2

「私はなぜ私なのか」「私はなぜ他の時代ではなく,この特定の時代に生まれたのか」といった,私そのものへの問い-自我体験-が,どれくらいの割合で,いつ頃見られ,どのような情動や行動を伴うのか,そして自我体験の内容について検討することを目的に,中学生から大学生881名を対象に,自由記述を伴った質問紙調査を行った。その結果,379名(43%)から自我体験が報告され,初発については,小学校後半を中心にややバラツキが見られることが示された。また,必ずしもきっかけがなくても生起し,他者への開示はあまり見られないことが示された。そして,自身の自我体験に意味を見出している人は少数派であったが,より年上の世代の方が,意味を見出している人が多い結果となった。本研究の結果,自我体験は一般に多くの人に共有されている問いであることが示された一方で,全ての人に見られる現象ではないことが示された。また子ども世代であっても,「私」について抽象的に考えることができる可能性が示唆された。
著者
天谷 祐子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.46-56, 2009-06-01 (Released:2009-07-24)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究は,「私はなぜ私なのか」という問い―自我体験―を経る人と経ない人の間,また自我体験を経て,それを深刻に捉えるか否かの間でパーソナリティ特性が異なるという仮説の検証を第1の目的とした(研究1)。そして自身が自我体験を経た意味を積極的に見出すか否かにより,孤独感と心理的well-beingに対する関連が異なるという仮説の検証を第2の目的とした(研究2)。その結果研究1からは,自我体験を経てそれを深刻に捉えている人が未体験者よりも神経症傾向が高いことが示された。また未体験者の方が自我体験を経て深刻に捉えていない人よりも誠実性が高かった。研究2からは,自身の自我体験に積極的な意味を見出している人は未体験者よりも「人は本来1人である」と考える傾向が強いことが示された。これにより,自我体験を経る人と経ない人のパーソナリティ特性,また自我体験の孤独感への関連が明らかにされた。