著者
呉 承彦 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J97-B, no.10, pp.849-860, 2014-10-01

構造化P2Pネットワークでは,各ノードが保持する経路表を用いてルーティングを行い宛先ノードに到達する.既存の多くの構造化P2Pネットワークでは,経路長はノード数nに対してO(logk n)であるが,対数の底kはP2Pネットワークの運用中に変更できるものは知られていない.本論文では,構造化P2Pネットワークの一つであるChord#の経路表(finger table)を拡張することでkの値を動的に変更可能な経路表構築手法を提案する.また,拡張したfinger tableを用いて,最大経路長が指定した任意の値を上回らないようにする方式(経路長優先方式)と,経路表サイズを指定した任意の値とする方式(経路表サイズ優先方式)を実現した.これらの方式により,定数ホップ及び対数ホップルーティングが可能である.提案手法の有効性はシミュレーションにより確認した.
著者
播磨 裕太 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2014-IOT-24, no.18, pp.1-6, 2014-02-20

現在実装中の P2P ネットワークを用いた分散型マイクロブログサービス KiZUNA の設計について述べる.KiZUNA はサーバを必要としない Pure P2P 型のシステムとして実現する.メッセージの購読と配送には構造化 P2P ネットワークの 1 つである Skip Graph を用いた ALM(Application Level Multicast) を用いる.また,ハッシュタグ,全文検索,検索ストリーム,複製管理などの方式についても述べる.
著者
石橋 勇人 山井 成良 安倍 広多 大西 克実 松浦 敏雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.4353-4361, 1999-12-15
被引用文献数
10 7

計算機の小型軽量化にともなって,モバイルコンピューティングが急速に普及してきている.大学などの教育機関においては,これらの計算機に対してネットワークサービスを提供するために,図書館などのパブリックスペースに情報コンセントを設置するところが増えている.しかしながら,このような環境下では,利用者の計算機の設定を限定することは事実上不可能であるため,ネットワークの不正利用を防止することが困難であった.本論文では,事前に登録された正規利用者のみが情報コンセントを利用することができ,かつ,IPアドレスやMACアドレスを偽造することによる不正なネットワークアクセスを防止する方法を提案する.本方式では,利用者が登録されていればIPアドレスやMACアドレスの事前登録は不要である.本論文で提案した方式を実装し実験を行った結果,利用者認証なしにネットワークにアクセスすることやMACアドレスやIPアドレスを偽って不正にネットワークにアクセスすることは不可能であり,安全な情報コンセントの構築に役立つことが確認された.Personal computers are getting much smaller and easier to carry about in these days.LAN sockets providing network accessibilityfor those mobile computers are often set in public places like libraries, computer centers, and so on.However, it is difficult to prevent illegal access to networks in such cases.In this paper, we propose a protection method to cope with illegalaccess.Our method provides the following functions: (1) only validusers can access to the network, (2) preventing malicious users frominvalid use of the network by IP and/or MAC address spoofing, and(3) no need for pre-registration of IP and/or MAC addresses.We have implemeted this method as a system named LANA.The design and implementation of LANA are also discussed.
著者
寺島 芳樹 安本 慶一 東野 輝夫 安倍 広多 松浦 敏雄 谷口 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.116-125, 2001-02-15
参考文献数
13

本論文では,種々の機能拡張に柔軟に対応できるQoS制御機構の実装法を提案し,SMILへの適用例を示す.提案手法では,仕様記述言語E-LOTOSのサブクラス(時間拡張LOTOSと呼ぶ)を中間言語として用いる.QoS制御機能は,システムを動画,音声の再生動作などを記述した主プロセスと,メディアスケーリング,メディア同期など追加したい機能のみを記述した制約プロセスとで構成し,それらを並列に同期実行させるという,制約指向スタイルを利用して実現する.またSMILに動的メディアスケーリング,メディア同期の精度指定の機構を追加したQOS-SMILを定義し,実装方法の適用例として示す.QOS-SMIL記述は対応する時間拡張LOTOS仕様に変換され,我々が開発している時間拡張LOTOSコンパイラを用いて実行される.いくつかの実験結果から,提案手法はQoS制御機能の開発コストに優れ,実行効率の点でも十分な性能を持っていることを確かめた.In this paper, we propose a flexible implementation technique forQoS control mechanisms and apply it to SMIL language.In the proposed technique, we use a subclass of E-LOTOS (calledreal-time LOTOS).We implement QoS control mechanisms using the constraint orientedstyle where a system is composed of a main process(e.g., video/audio playback) and several constraint processes (e.g.,media scaling, inter-media synchronization and so on). Usingthe multi-way synchronization mechanism of real-timeLOTOS, those processes run in parallel satisfying the specifiedconstraints.We define QOS-SMIL as an example extension of SMILwhere it has dynamic media scalingand explicit inter-media synchronization amongobjects, and show the applicability of our implementation technique.QOS-SMIL documents are converted to executable programs with ourreal-time LOTOS compiler. Through some experiments, we have confirmedthat the proposed technique has some advantages w.r.t. developmentcost for QoS control mechanisms and the derived programs haverelatively good performance for practical use.
著者
鄭 焱祖 川井 悠司 李 佼柯 安倍 広多
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-39, no.9, pp.1-8, 2017-09-22

Web ブラウザ同士を直接 P2P 接続する WebRTC 技術を用いたブラウザ間構造化 P2P ネットワークの実現手法について述べる.WebRTC には,相手ノードを直接指定してコネクションを確立できない,コネクションの確立にはシグナリングが必要,といった特性がある.本研究では,これらの特性を考慮したブラウザ間コネクション確立方式を提案する.提案するブラウザ間コネクション確立手法はシグナリングに特定のサーバを用いないため,耐故障性とスケーラビリティに優れている.提案手法はコネクション管理ライブラリ WebRTC-Manager として実装した.さらに WebRTC-Manager を用いて,Web 環境で動作する双方向リング構築アルゴリズム DDLLweb とキー順序保存型構造化 P2P ネットワーク Kirin を実現した.本稿ではこれらの詳細について述べる.
著者
上田 達也 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄 藤井 裕史 坂下 秀
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.21(2009-IOT-4), pp.143-148, 2009-02-26

近年,携帯端末の小型化・高性能化ならびに携帯電話回線の高速化・低価格化が進んでいる.また,GPS(Global Positioning System)やビデオカメラを搭載した携帯端末も普及しつつある.これによって,移動端末から位置情報を伴ったストリーミング映像の発信が可能になってきた.本稿では,携帯端末で撮影した映像を位置情報を伴う形でストリーミング配信し,また,その映像を検索,視聴できるシステムを提案する.このシステムでは,映像が撮影された時刻や位置,撮影端末の密度などに基づいて検索を行うことができる.映像は配信されている時点でリアルタイムに視聴することも,蓄積された過去の映像を視聴することも可能である.さらに,将来のある時点においてたまたま映像が撮影された場合にそれを視聴するための視聴予約も可能である.本システムはスケーラビリティを考慮して P2P 方式で実現する.本稿では,このために必要となる映像の配信方式や位置情報管理方式,耐故障性の確保などについて検討を加える.
著者
安倍 広多
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.21, pp.131-136, 2009-02-26
被引用文献数
10

P2Pシステムでは,ピアが予告なく離脱することに対する対策が必要であり,サーバクライアント方式よりも実装が難しい.本稿では,耐故障性を確保するための新たなアプローチを提案する.提案手法では,複数のピアをグループ化し,1つの仮想ピアを構成する.仮想ピアの各ピアは冗長系を構成し,一部のピアが離脱しても仮想ピアの動作を継続できる.各ピアの間で一貫性を保つために,Paxos同意プロトコルを用いる.ピアが離脱した場合にはプロセス移送技術を用いて別のピアに動作中のプロセスを複製することでピアの数を保つ.提案方式は開発中のP2P基盤ソフトウェアmusasabiに実装した.musasabiの概要と,実装したJavaプログラムのプロセス移送機能についても述べる.Since P2P systems must handle unexpected peer leave, P2P systems are hard to implement compared to server-client systems. In this paper, a new approach to achieve fault-tolerance for P2P systems is proposed. In the proposed method, multiple peers are grouped as one virtual peer. Each peer serves as a part of redundant system and virtual peers can survive even if some peers leave unexpectedly. To keep consistency in multiple peers, Paxos consensus protocol is used. To replace a failed peer, process migration technique is used to copy a running process to a remote peer. The method is implemented in musasabi P2P platform. Overview of musasabi and its implementation of process migration for Java programs are also described.
著者
石橋 勇人 山井 成良 安倍 広多 阪本 晃 松浦 敏雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.79-88, 2001-01-15
被引用文献数
14

昨今では,小型で軽量な計算機の普及とともに,自分の所有する計算機を持ち歩き,つねに自分用の環境で仕事をしたいと考える利用者が増えている.これにともなって,大学などにおける情報コンセント(ネットワーク接続用ジャック)設置への要求度はきわめて高くなっている.このような環境では,利用資格を持つものと持たないものが混在しており,さらに,利用資格にもいくつかの種類があることが一般的である.たとえば,学生と教員,事務職員では利用を許可されるサービスやアクセス範囲が異なるであろう.また,利用資格がないものによる利用やネットワーク上で使用する識別子を偽造して身元を偽った形での利用などの不正な行為は防止できなければならない.したがって,単なる利用資格の有無だけではなく,利用者ごとに許された利用範囲をも考慮したアクセス制御と不正利用防止の機構が必要となる.ところが,従来このような利用者ごとのアクセス制御と不正利用防止をともに可能とするようなシステムは存在しなかった.そこで,本論文では,これらを実現する情報コンセントのための制御方式を提案する.本方式は,利用者ごとの柔軟なアクセス制御を可能としているため,オープンな場所に設置された情報コンセントに限らず,利用者によって異なるアクセス制御が必要な環境において有効に適用可能である.我々は本方式を実装し,制御のために用いているフィルタリング機構が十分な性能を発揮できることを確認した.Personal computers are getting much smaller and lighter these days.Since many users carry their own PCs and prefer to use them wherever they go,there exists large demand of using LAN sockets.LAN sockets are often set up at public facilities like libraries,terminal rooms and so on.In such cases, some are allowed to access a network via LAN sockets but some are not.And all those who may use LAN sockets are not granted to access all of the network resources.For example, students, faculties,and officers are not equally allowed to make use of the network resources in general.Also, unauthorized access via LAN sockets including address spoofing should be eliminated.It indicates that we need an access control method regarding each user's qualification,though no systems can achieve this goal so far.We have proposed a new access control method that achieves the goal.Our method is well fit for not only LAN sockets but also networks which require user-based access control.We have implemented an experimental system and confirmed that its filtering performance is sufficient for 100\,Mbps LAN environments.
著者
石橋 勇人 松浦 敏雄 安倍 広多 郭 仕祥
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,3G/LTE/WiMAXのような遠距離向けの通信方式と,Wi-FiやBluetoothのような近距離向けの通信方式の両方が使用可能な携帯端末(スマートフォンなど)を対象とし,近隣に存在する携帯端末間で自律的に協調動作を行うことによって,通信回線やバッテリなどの携帯端末のリソースを全体として効率的に利用可能とする方式を提案している.
著者
秋山 大輔 細川 和宏 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.9, pp.1-6, 2010-02-22
被引用文献数
2

本稿では,多数の 2 次元位置情報を P2P ネットワークを用いて分散管理する一手法を提案する.提案手法では,2 次元平面を Z 曲線を用いて分割し,各領域を一つのピアが管理する.管理領域内のデータ数が一定数を越えると領域を分割することでピアの負荷を一定に保つ.範囲検索のためには構造化オーバレイネットワークの一種である Skip graph を用いる.範囲検索に要するホップ数を削減するために,領域の分割方法を工夫している.提案手法はシミュレーションにより範囲検索に要するホップ数と管理に必要なノード数を評価した.In this paper, we propose a distributed management scheme for 2D location information using Peer-to-Peer network. In the proposed scheme, a 2D plane is divided into fragments with Z-curve and each fragments is managed by a peer. Skip graphs, a kind of structured overlay network, are used for range queries. To reduce hop counts required for range queries, we devised a method to choose appropriate points on dividing. We have evaluated the method with regard to number of hops required for range queries and number of requried peers.
著者
秋山 大輔 細川 和宏 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2010-IOT-8, no.9, pp.1-6, 2010-02-22

本稿では,多数の 2 次元位置情報を P2P ネットワークを用いて分散管理する一手法を提案する.提案手法では,2 次元平面を Z 曲線を用いて分割し,各領域を一つのピアが管理する.管理領域内のデータ数が一定数を越えると領域を分割することでピアの負荷を一定に保つ.範囲検索のためには構造化オーバレイネットワークの一種である Skip graph を用いる.範囲検索に要するホップ数を削減するために,領域の分割方法を工夫している.提案手法はシミュレーションにより範囲検索に要するホップ数と管理に必要なノード数を評価した.
著者
松浦 敏雄 西田 知博 石橋 勇人 安倍 広多 吉田 智子 西田 知博 石橋 勇人 安倍 広多 吉田 智子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

プログラミングを容易にかつ短時間に体験的に習得できるプログラミング環境PENの機能拡張として, 図形描画機能, ファイルI/O機能, 関数呼出機能を設計・実装し, PENを用いた実験授業を繰り返し実施し, その有効性を明らかにした. また, PENの中国語版, 台湾語版, 韓国語版, 英語版を実装した. さらに, 授業中の個々の学生の課題進捗状況を教員が概観するためのモニタ機能を実装した
著者
上田 達也 安倍 広多 石橋 勇人 松浦 敏雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1063-1076, 2006-04-15
被引用文献数
8

インターネット上のノードを距離に基づいてクラスタリングすることができると,様々なネットワークアプリケーションで有用である.本論文では,インターネット上のノード集合をP2P 方式を用いて階層的にクラスタリングする手法を提案する.既存の手法と異なり,本手法はインターネットの構造に関する外部からの情報を必要とせず,ノード間の距離が測定できればクラスタリング可能であるため,実用性が高い.またシミュレーション実験によって,信頼性・スケーラビリティが高いこと,妥当なクラスタリング結果が得られることを確認している.Clustering Internet hosts by their network distance is quite useful for many Internet applications. In this paper, we propose a new peer-to-peer algorithm which forms hierarchical clusters of Internet hosts. Our clustering algorithm, which only requires measurability of network distance between any two hosts, is more practical than any other previously proposed one, which requires external information of the underlying Internet structure. In addition, we show simulation results demonstrating that reliability and scalability of our method are high and that our method can generate proper clustering results.
著者
中吉 功 山井 成良 松浦 敏雄 安倍 広多 村上 孝三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.71, pp.91-96, 1997-07-25
被引用文献数
1

本稿では,管理の容易な広域分散ファイルシステムPNFS(roxy/Private Network File Syste)を提案する.PNFSでは,proxyにおいて利用者情報の自動取得・変換機能を提供することにより,利用者が遠隔地にアカウントがあれば,管理者の手を煩わせることなく遠隔地のファイルを共有することができる.このファイル共有やファイルアクセスにおいては,暗号化技術によりセキュリティを高めている.また,PNFSの評価についても述べる.In this paper, the design and implementation of PNFS, a secure private network file system is introduced. On PNFS, each user who has an account on a remote machine can mount remote files without the assistance of the system administrator. PNFS also provides message encryption/authentication facilities in order to enhance the security level of NFS. The evaluation of PNFS is also discussed.