著者
山野 裕美 倉渕 隆 安岡 正人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.80, no.712, pp.535-541, 2015 (Released:2015-07-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1

The aim of this study is to propose pollen prevention measures in buildings by examining the mechanisms of indoor concentration decay theoretically with pollen grains as the main target, and estimate indoor concentration using theoretical formulas. We first analyzed the mechanism of the indoor pollen concentration, and verified predictive formulas based on actual measured values. Next, assuming the outdoor pollen concentration, the indoor concentration was estimated. It was shown that by making assumptions for the outdoor concentration and conditions, the indoor concentration could be estimated using a theoretical formula.
著者
秋田 剛 平手 小太郎 安岡 正人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.68, no.567, pp.79-86, 2003-05-30 (Released:2017-01-27)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

Effects of attention on visual perception are investigated by means of analysis of visual evoked potentials that reflect visual information processing in brain. For the purpose, an experiment is carried out on two experimental conditions. The first condition requires subjects to watch visual stimuli that are presented to them repeatedly, and the second requires them to do auditory tasks while watching visual stimuli. Results of the experiment show that response quantity of visual information processing is diminished when auditory tasks that attract subject's attention to hearing are imposed on them, even if they see visual stimuli using their central vision.
著者
望月 菜穂子 宇治川 正人 平手 小太郎 安岡 正人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.479, pp.17-25, 1996-01-30 (Released:2017-01-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1 5

An experimental study to evaluate task-ambient lighting systems was carried out in a laboratory which varied in 4 types of lighting. After experiences for a total of 40 days ; ten days at a time, in a room for each type of lighting, fourteen subjects were asked to fill out a questionnaire relating to the visual satisfaction and six activities observed in the room. The evaluation of the task-ambient lighting depended on the work being performed. With increasing ambient illuminance, subjects were satisfied for reading and writing, or meetings. At an ambient illuminance of 200 lux, over 60% of the subjects were satisfied for accomplishing creative work. The low illuminance ambient lighting thus enabled them to concentrate on their creative work.
著者
安岡 正人 土田 義郎 平手 小太郎
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

近代文明の発展と共に、我々の身の廻りにインセンシブルな環境因子が生成され、様々な環境改変を生じ、人間を含む自然生態系に大きな影響を与えている。このような現状認識に立って、超音波や超低周波等の聴覚では直接捉えることのできない環境刺激の人体影響を、脳波、筋電、心拍、マイクロバイブレーションなどの生理量を検出することによって、明らかにするための基礎研究を進め、検出の可能性を確認できた。一方、情報化社会の申し子ともいうべき電磁波について、利用面のみならず環境因子としての視点から、既往の研究を調査し、問題の所在を明らかにした。それによれば居住環境における電磁波の実態、特に人体影響や建築空間、部位という側面では、ほとんど研究が行われていないことから、今回測定機器を導入して実測に着手した。本年度に得られた実績は、微々たるものであるが、今後継続的に建築環境の調査を進め、予測計算手法の確立につなげて行く予定である。また、人体影響についても前段の研究をベースとした被験者実験を進め、評価基準を見い出して行きたい。電磁環境については、日本建築学会に設置された安岡が主査の同名の小委員会で、広く、研究成果を持ち寄り、建築における電磁環境学の体系化を図り、諸外国との連携も深めている。これらの研究をスタートさせる上で、研究助成によって導入された装置による基礎的研究の寄与する処は大であった。
著者
川井 敬二 平手 小太郎 安岡 正人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.62, no.496, pp.9-13, 1997
参考文献数
10
被引用文献数
3 1

Recently, the research field of human - sound environment system tends to be diverse including community noise, neighborhood noise and the newly advocated concept of "soundscape". But the study field seem to be confusing for lack of a framework by which studies in the field could be described totally from one viewpoint. With the framework, the direction and significance of each study could become more clear. In this paper we construct a framework for description of human-sound environment system by assembling findings from cognitive psychology. As examples of application of the framework, we make descriptions on some topics of sound environment.
著者
安岡 正人 橘 秀樹 田中 洪 田村 明弘
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.345, pp.218-225, 1984-11-30
被引用文献数
1

在来工法による木造試験家屋を用いた今回の実験的検討の結果の概略は, 以上に述べたとおりであるが, これらを要約すると, (1)外壁については, 外装材の下地に合板など板材料の挿入や内壁の多層化(板材料二重張り, あるいは遮音シートの挿入など), あるいは中空層内部に多孔質吸音材料を挿入することなどにより, 中高音域では大きな遮音性能の増大が期待できる。しかし, 低音域(125Hz帯域)については, 中空層厚が100mm程度となる一般の軸組構造壁では, 二重壁の低域共鳴透過現象により, 遮音性能の改善には限界(125Hz帯域で内外音圧レベル差20dB程度)がある。それに対して, W/5(二重軸組壁)のような構法をとれば, 125Hz帯域でも30dBに近い内外音圧レベル差を得ることができ, 特に低音域についても大きな遮音性能が必要とされる場合に有効である。また平面計画上, 外壁に押入などの収納部分を組合せることができれば, 全帯域にわたって高い遮音性能を得ることができる。(2)窓などの開口部を含む外周壁の遮音性能は, 開口部の性能によって決る。中空層が外壁の厚さ(約100mm)と同程度の二重窓では, 気密性を高めることにより, 高音域の遮音性能は十分大きくすることができるが, 低域共鳴透過現象により, 低音域での遮音性能の改善には限界がある。したがって道路に面した場所など, 低音成分が優勢でレベルも大きな騒音環境下では, 出窓形式の二重窓などを採用し, 中空層をできるだけ大きくすることが必要である(図-10, 11参照)。その際, 気密性の高いサッシを二重窓の少なくとも一方に使用することにより, 高音域においても高い遮音性能とすることができる。面積が大きく, 遮音上の弱点となりやすい掃出し窓についても, 大きな中空層をもつ二重構造とすることが望ましい。その場合, 中空層を前室として空間的にも利用できる程度とし, 気密性の良好なサッシを用いることにより, 外壁と同程度の遮音性能(D35〜40以上)を得ることができる。このような点からみると, 我が国の伝統的な縁側形式のプランは, 内部建具にもガラス障子などを用いた場合には遮音上きわめて有利と言える。(3)屋根-天井部分については, 天井ふところの空間を利用し, その間に断熱も兼ねて十分な吸音材を付加することにより, 外周壁にくらべてはるかに良好な遮音性能が得られる。その際, 天井面を遮音層と考えて, 石膏ボード等の遮音材料を下地材として使用することが望ましい。(4)遮音性能の向上のためには, 音響的には気密性を高めることが必要であるが, 当然のことながらそれと同時に室内の換気についても十分な考慮が払われなければならない。その場合, 図-13に示した結果からも明らかなように, 在来の簡易な換気設備を不用意に設置すると, 外周壁の遮音性能を特に中高音域で著しく損なう結果となるので, 防音型住宅を考える場合には, 少なくとも熱交換型あるいは減音効果の大きいダクト引き形式の換気設備が必要である。また今後, 遮音効果の大きい住宅用換気設備あるいは換気口などの開発・普及が望まれる。
著者
佐久間 哲哉 岩瀬 昭雄 安岡 正人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.63, no.505, pp.1-8, 1998
参考文献数
15
被引用文献数
6

1.はじめに 現在,建材としての膜材の利用形態は多岐に渡り,その音響的利用例も少なくない。膜材の音響特性に関して無限大膜モデルに基づく理論解析1)2)3)により吸音率・透過損失の予測が行われる一方,任意音場の波動音響学的予測を目的とした音響-膜振動連成数値解析手法4)5)が検討されている。本論文では,膜材が建材として使用される場合の大半において音場に及ぼす膜の張力の影響が微小であることに着目し,張力0を仮定した無張力膜モデルに基づき,FEM音場解析における無張力膜要素を提案する。無張力膜要素を用いた解析では膜振動場に対する数値解析手法の適用が不要なことから,張力を考慮した厳密な連成解析に比べて計算に要する記憶容量・時間が大幅に低減する。さらに,無張力膜要素は従来の空気要素・吸音要素と節点音圧未知量のみを介して接続されることから,その取扱いが簡便であると同時に,更なる記憶容量・時間の低減が図られる。本方法は音響管内の理想音場における数値解と理論解との比較によりその妥当性が検討された後,室内音場への適用例として,非通気性膜を有する室内の固有周波数解析,膜を含む多層吸音構造体を有する室内の伝送特性解析を行い,模型実験との比較からその有効性を検討する。さらに,吸音構造体表面において局所作用を仮定する従来の方法との比較検討についても行う。2.無張力膜要素の理諭的導出 厚さ0・張力0および面密度・流れ抵抗を有する無張力膜モデルを想定し,膜振動方程式,流れ抵抗に関する定義式および新たに定義した膜の実効面密度により膜面上音圧と粒子速度の関係を定式化する。次に,膜と多孔質材を含む室内音場を想定し,Galerkin法の適用により積分方程式を導出した後,前述した関係式の代入および変形により膜面の寄与を膜面上粒子速度を含まない形式で表す。ここで,膜面上の節点を膜両面で対を成すように同一座標に配置し,その節点対から構成される膜部分を一種の有限要素(以下,無張力膜要素)とみなすことにより,膜両面の寄与を無張力膜要素の寄与として取り扱うものとする。3.FEMによる解析方法 空気要素・吸音要素・無張力膜要素の3種類の要素を用いて解析領域の要素分割を行い,全体マトリクス方程式を構成する。ここで,全体マトリクス方程式は膜に関する無張力膜マトリクスが従来のマトリクス方程式に加わる形式で表され,その無張力膜マトリクスは面密度に関する実数部と流れ抵抗に関する虚数部から成る。無張力膜要素の適用により膜面上粒子速度に関する適合手続きが不要なことから,各全体マトリクスは各要素マトリクスの単純な重ね合わせにより組み立てられる他,膜面上粒子速度に関する節点未知量の排除および効率的なバンドマトリクスの生成により記憶容量・時間が低減される。無張力膜要素の取扱いに関しては,要素内の膜面位置・節点対に関する情報を予め要素内節点番号の配列に付与し,各節点の内挿関数は空気要素・吸音要素と同様の内挿関数を形式的に用いることができる。4.解析方法の適用と考察 剛壁からなる音響管内に膜と多孔質材を設置した1次元的理想音場を想定し,端部振動面の比放射インピーダンスに関して数値解と理論解の比較を行った。両者は低周波数域でほぼ完全に一致したことから,本方法の妥当性が確認された。さらに,膜が音響管内音場に及ぼす影響を調べた結果,膜面における音圧分布の不連続性,膜の設置による音圧分布の変化が確認された。次に,室内音場への第一の適用例として,非通気性膜を設置した模型室内の固有周波数解析を行い,模型実験との比較検討を行った。膜の設置による室内固有周波数低下の割合に関しては計算値の方が実測値よりやや高い割合を示すものの,膜が室内固有周波数に及ぼす影響の全般的傾向という点では実測結果と計算結果の良好な対応が見られた。従って,膜を有する室内の固有周波数予測に本方法は有効であることが認められた。室内音場への第二の適用例として,膜・グラスウール・空気層から成る多層吸音構造体を有する室内の伝送特性解析を行い,模型実験との比較検討を行った。種々の吸音構造体条件における受音点音圧の周波数応答に関して実測結果と計算結果は良好な対応を示したことから,吸音構造体を有する室内の音場予測に本方法は有効であることが認められた。さらに,吸音構造体表面において局所作用を仮定する従来の方法との比較検討を行った結果,局所作用を仮定する方法によると厚い吸音構造体では大きく予測精度が低下し,今回提案する方法が計算精度においてかなり優位であることが示された。5.まとめ 室内音場のFEM解析における膜材の取扱い方法として,膜の張力0を仮定し,面密度・通気性を考慮する無張力膜モデルに基づく新種の無張力膜要素を提案した。FEM音場解析における無張力膜要素の具体的な取扱い方法が述べられ,取扱いの簡便さ,適用による数値計算の効率化が示された。理論解が得られる音響管内音場への適用から本方法の妥当性が確認され,模型室内音場への適用から膜を有する室内の固有周波数予測,膜を含む多層吸音構造体を有する室内の音場予測における有効性が認められた。さらに,吸音構造体の取扱いに関しては局所作用を仮定する方法による予測精度の低下を指摘し,本方法の優位性が明らかにされた。