著者
高野 祐一 宮代 隆平
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.343-362, 2021-03-05 (Released:2021-03-05)
参考文献数
57

回帰モデルの変数選択は,統計分野で古くから重要な課題として認識されており,扱うデータ量の増大を背景として,近年はデータマイニングや機械学習などの分野でも盛んに研究されている.この変数選択問題に対して,数理最適化問題として定式化し分枝限定法を用いて求解する,混合整数最適化によるアプローチが新たな注目を集めている.混合整数最適化の最大の利点は,目的関数として設定した回帰モデルの評価指標に関して,最良の変数集合を選択できることにある.筆者らはMallowsのCp規準,自由度調整済決定係数,情報量規準,交差確認規準などの各種の統計規準に基づいて,線形回帰モデルの選択変数の集合と基数を同時に最適化する定式化を考案してきた.本論文では,線形回帰モデルの最良変数選択問題に対する,混合整数最適化による各種の定式化を解説する.
著者
宮代 隆平 葛西 隆也
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.15-20, 2004-01-01
参考文献数
8
被引用文献数
2

最長片道切符とは, JRで買うことができる片道切符のうち, 経路の長さが最も長いもののことである. 最長片道切符のルートがどのようなものになるかは昔から議論があったが, 決定的な解答は得られていなかった. 筆者らは, 整数計画法を利用してこの問題に対する厳密な最長ルートを与えた. さらに,実際に最長片道切符を購入し, 最長ルートを鉄道で旅行した. 本稿では, 最長片道切符のルートを求めた手法の紹介, および「最長片道旅行記」をお届けする.
著者
宮代 隆平 矢野 洋平 村松 正和
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.3463-3469, 2007-11-15

囲碁の盤上において,縦または横に連結している同じ色の石の極大集合を連と呼ぶ.連数最大化問題とは,「囲碁のルールの下でn 路盤上に最大でいくつの連が存在できるか」という問題である.この問題はごく最近に提起され,これまでは16 路盤までの連数の最大値しか求められていなかった.本論文では,連数最大化問題を整数計画問題として定式化し,問題の特徴を利用した制約条件を追加することにより,19 路盤における連数の最大値とその盤面を求めた結果を報告する.
著者
住川 裕岳 宮代 隆平 中森 眞理雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.64, pp.5-8, 2007-06-25
参考文献数
9

本研究では、スポーツスケジューリング問題の一種である巡回トーナメント問題を扱う。巡回トーナメント問題とは、ホーム&アウェイ形式の二重総当りリーグ戦を行うスポーツにおいて、各チームの移動距離の総和を最小化した試合日程を構築する問題である。この問題では、巡回セールスマン問題の難しさに加え、あるチームの対戦順序が他チームの対戦順序に影響を与えており、問題の難易度を増している。これまでの研究により、巡回トーナメント問題に対してはシミュレーテッド・アニーリングが有効であることが示されていたが、本研究ではタブーサーチを用いて最適化を行った。計算機実験の結果、既存のアルゴリズムによる結果に匹敵する質の良い解が得られた。The traveling tournament problem is a well known benchmark problem in sports scheduling. This problem has both an optimization aspect like the traveling salesman problem and a feasibility aspect as in many scheduling/timetabling problems. Since the traveling tournament problem was established, a number of researchers have tackled the problem with various optimization techniques. Recent researches indicated that simulated annealing algorithms are effective for the traveling tournament problem, and few results by tabu search are reported so far. In this manuscript, we propose a tabu search algorithm for the traveling tournament problem. Our computational experiments show that the proposed algorithm generates good solutions, which are competitive with solutions by simulated annealing algorithms.
著者
佐藤 俊樹 高野 祐一 宮代 隆平
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.57-58, 2016-03-10

本研究では,逐次ロジットモデルの変数選択問題を考える.変数選択とは,候補となる説明変数の集合から,有用な部分集合を選択することである.この問題に対してTanaka and Nakagawa (2014) は,ロジスティック損失関数を二次近似し混合整数二次最適化問題として定式化して解く方法を提案した.しかし,この手法は近似の誤差が大きく,良い変数集合を選ぶことは難しい.そこで本研究では情報量規準に基づく変数選択問題に対して,ロジスティック損失関数を区分線形近似し混合整数線形最適化問題として定式化する手法を提案する.また,二次近似を用いた変数選択手法と性能を比較する数値実験を実施し,提案手法の有効性を検証する.
著者
宮村(中村) 浩子 宮代隆平 七夕高也 品野勇治 斎藤 隆文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.19, pp.45-48, 2007-03-03
参考文献数
8

大規模な階層データを,限られた空間内へ効率的に表現する適応的表示法を提案する.階層データは属性値をもつノードと親子関係を表わすリンクから構成されており,それぞれをプリミティブで表すことで構造を視覚的に捉えられる.しかし,大規模階層データを表示する際に,隣り合うノードやリンクが重なり合ってしまう問題がある.そこで本論文では,大規模階層データを木構造で表す際に,ノードの密集具合に応じて木の表現方法を選択する適応的表示を提案する.さらに本提案手法を大規模分枝限定木に適用し,その効果を検証する.We propose an adaptive visualization technique for a large-scale hierarchical dataset within limited display space. A hierarchical dataset has nodes and links that represent the parents/child relationship. These nodes and links are described using graphics primitives. When the number of these primitives is large, it is difficult to recognize the structure of the hierarchical data, because many primitives are overlapped within a limited region. In this context, we propose an adaptive visualization technique for hierarchical datasets. The proposed technique selects an appropriate graph style based on the density of the nodes. In addition, we demonstrate the effectiveness of the proposed method by applying it to the growing process of a large branch-and-bound tree
著者
松井 知己 吉瀬 章子 宮代 隆平 宮本 裕一郎
出版者
中央大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1.一様な巡回トーナメント問題に関する近似法 本拠地間の距離が一様な巡回トーナメント問題に対し、移動距離(回数)最小化問題に対するトーナメントスケジュールの作成法を、平成18年度国際会議の論文特集号(Lecture Notes in Computer Science)に本年投稿し、採択された。本手法は,カークマンスケジュールと呼ばれる特殊なスケジュールを改変することで,2重総当たり戦の移動回数最小化問題の良質な解を構築する.本手法によって、最適解に非常に近い解が得られることを,理論的に保証した.提案手法により,2重総当たり戦の移動回数最小化問題について,チーム数22,28,34,40,46の場合には既存の世界記録を凌駕する新たな解が得られ,さらに得られた解は最適解であることを保証することに成功した。2.半正定値計画緩和に基づく試合場決定問題の解法試合場決問題について、半正値計画緩和と、形計画緩和に基づく解法の提案を行った。(この結果は、Pacif1c Joumal of Optimizationに採択されている。)両手法について、1重と2重総当たり戦の両方の問題に適用する計算実験を行った。その結果、1重総当り戦では、線形計画緩和に基づく方法は、殆どの問題例において最適解を生成する事が確認された。2重総当たり戦では、線形計画緩和に基づく方法では、劣悪な解しか得られないことが判明した。これに対し半正定値計画緩和に基づく方法は、どの問題例でも高品質の解を生成することが確認された。半正定値計画緩和は、計算時間の短縮が検討課題として残されている。