著者
黒澤 茶茶 清水 直樹 宮嵜 治 中川 温子 阪井 裕一 宮坂 勝之
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.27-31, 2009-01-01 (Released:2009-07-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

【目的】小児心肺蘇生での至適な胸骨圧迫の深さ(強さ)について検討した。【対象】1歳以上8歳未満の小児で,胸部CT検査を行った66例と,蘇生後に死亡し,病理解剖された10例。【方法】CT画像から胸郭前後径と胸骨後面-椎体前面間距離を計測し,胸骨圧迫時に残存する胸骨後面-椎体前面間距離を推計した。病理解剖所見から,胸骨圧迫による有害事象の有無を検討した。【結果】胸郭前後径の2分の1ならびに3分の1で胸骨圧迫したと仮定した際の残存距離は,各々1.5±3.4 mm,22.6±4.4 mmであり,2分の1で胸骨圧迫した際には98%で10 mm未満,30%でマイナス値となった。病理解剖所見上,有害事象は皆無であった。【結論】小児心肺蘇生での適切かつ安全な胸骨圧迫の深さは,「胸郭前後径の3分の1」と考えられた。小児の心肺蘇生法の指導にあたっては,この結果を正しく理解し,至適指標に準じた充分な強さ(深さ)の胸骨圧迫が実施される指導が肝要である。
著者
宮坂 勝之 鈴木 康之 阪井 裕一
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.187-193, 1999-03-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
11

不可逆的な臓器不全に対しては, 十分な代替人工臓器が開発されるまでは, 臓器移植が最終的な治療選択である. とくに先天性の臓器奇形への対応が医療の中心ともいえる小児医療では, しばしば臓器移植医療が唯一の選択肢となる. しかし, わが国での移植医療は, 生・死体腎移植, 生体部分肝移植が臨床的に実践されているものの, 小児医療で最も重要だと考えられる心臓移植や肺移植に関しては, 海外へ出向いての移植医療に頼っているのが現状である.小児患者が臓器提供を受ける場合, 臓器提供源として臓器のサイズや機能の面では成人患者とはきわめて異なった要素や条件の関与が考えられる. 提供臓器の物理的サイズの影響のみを考えても, 移植臓器によっては臓器提供者自身も小児である必要があるなど, 小児医療特異の諸問題がある. しかし6歳未満の脳死判定基準が存在せず, 15歳未満の小児での臓器提供が実質的に困難な現状は医療関係者にも十分に理解されていない. 海外への移植患者の搬送の実際面も含め我々が考えるべき問題点をまとめた.
著者
宮坂 勝之 三股 亮介 秋吉 浩三郎 渡部 達範
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.734-736, 2021-07-01

カテーテル針留置目的の穿刺では「逆流を確認したらまずカテーテルを進める」LiSA 2021年4月号の『ブラインド穿刺の理窟:末梢血管(静脈・動脈)穿刺』は,カテーテル針の外筒(カテーテル)と内筒(針)先端間のギャップ(図2)の存在認識の重要性を指摘している有用な論文である。しかし,378ページの「確実な留置のためには,外筒先端よりも手前まで内筒を引いて,外筒の先端から逆血があることを確認する必要がある」とする記載は,文脈的に誤解を呼ぶ可能性があり,コメントしたい。
著者
宮坂 勝之
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.569, 2020-06-01

パルスオキシメータの発明者である青柳卓雄博士(日本光電工業 青柳研究室室長)が,2020年4月18日にご逝去されました。怜悧な84歳であり,数か月前にパルスオキシメータの理論の確立と実証,そして精度の向上への不撓の決意を伺ったばかりの私は惜別の念に堪えません。麻酔科での応用から,日常生活の安全にまで及ぶその発明の恩恵は,人類の歴史に残る偉大な業績です。 患者モニター機器の開発にかかわる医療者や科学者の国際団体であり,IEEE*1 Medal for Innovations in Healthcare Technologyの受賞(2015年)に大きな役割を果たしたIAMPOV*2の関係者から,一斉にノーベル賞目前であった青柳博士の逝去を残念がる声が寄せられ,博士が世界に与えた貢献の大きさが偲ばれます*3。
著者
藤田 道郎 織間 博光 清水 幹子 本好 茂一 片山 正夫 宮坂 勝之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.749-751, 1991-08-15
被引用文献数
1

麻酔下の猫に対し, 10cmH_20時の容量から肺胸郭コンプライアンス(Crs)を求めた. その結果, Crsと体重および体長との間には正の相関を認め, また雌雄差も危険率1%未満で認められた.