著者
佐藤 健司 小原 秀一 塚口 功 安井 浩一 中田 健 玉井 正彦 小林 芳夫 小塚 隆弘
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.239-244, 1977-03-01 (Released:2013-05-24)
参考文献数
16

正常な房室大血管関係をもつ両房室弁交叉症(criss-cross heart)の1例を報告する.心室中隔欠損,左肺動脈低形成,動脈管開存を合併していた.特徴ある心血管造影所見を呈し,右下側に形態学的左室,左上側に形態学的右室があり,心室中隔は上下の心室間にほぼ水平方向の陰影欠損として認められ,大動脈は右前方に,肺動脈は左後方に位置し,見かけ上は{S,L,D}であるが心房心室関係および心室大血管関係はいずれも正常で,両房室弁を流れる血流が交叉する両房室弁交叉症となっていた.形態発生学的にbulboventricular loopが心臓長軸を中心にして心基部に向って時計方向に,さらに心臓前後軸の回りに後方からみて時計方向に異常回転した結果と考えられ,Andersonの命名法によれぽ,Solitusconcordant(l-rotated)-normalと表現できる.
著者
唐 力 大矢 宗樹 佐藤 嘉伸 田村 進一 内藤 博昭 原田 貢士 小塚 隆弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.1009-1017, 1994-05-25
被引用文献数
1

標準MRI撮影中の体動により画像上に生じるアーチファクト(偽像)の除去手法について述べる.臨床診断においてしばしば問題となる呼吸に伴う頭部の上下移動を想定して位相エンコード軸(Y方向)のみの剛体平行移動を扱う.従来の発見的な繰返し処理による除去法と異なり,本論文では,MRI撮像過程と画像の特性の解析に基づき,MRI信号中の体動成分と画像成分を単純な代数演算により分離できる新しい拘束条件を導出する.MRI信号に対して読出し方向(X方向)の1次元フーリエ変換を行った後のY方向スペクトルの位相値は,画像自身の成分と体動の成分の和になっている.一方,頭部などの断層像において周囲の皮下脂肪部分の密度はほぼ均一であることが知られており,その上のY方向の1ラインの密度分布は対称とみなせる.密度関数が対称の場合には,スペクトルの位相は位置に対して,線形的に変化する.従って,その線形関数からずれた成分を体動として分離できる.この拘束条件に基づき,根拠の明確なアーチファクト除去手法を提案する.更に,体動の変動が激しい場合や,対称性がくずれる場合における影響を解析し,それに対する対応策も検討する.シミュレーションにより,本手法の有効性を明らかにする.