著者
高橋 梓帆美 増田 卓矢 大平 裕子 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第56回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.P03, 2009 (Released:2009-06-16)

電子ペーパーはハードコピー(印刷物)とソフトコピー(ディスプレイ表示)の長所を両立した媒体として開発されている。書き換え可能でありながら、省エネルギーで扱いが容易である事から、新しい表示媒体として期待されている。また、電子ペーパーに期待される機能は多く、使用状況に合わせた特徴が特化した様々な電子ペーパーの開発が求められている。しかし、電子ペーパーにおける読みやすさ研究は、現在、そのほとんどが電子書籍などの場合に限られている。その為、本研究では、デジタルサイネージとして公共空間で使用されると予想される大型電子ペーパーにおける最適な文字表示について検討を行った。電子ペーパーに表示した文章の行間隔、文字間隔を変化させ、読みやすい文字配列の評価を行った。その結果、行間隔が文字サイズの50%~75%、文字間隔が、文字サイズの25%以下の場合が最適である事が明らかになった。また、この結果は、今までに検討されてきたCRT等の別媒体での読みやすい文字配列の結果が電子ペーパーにも使用できる可能性を示していると考えられる。
著者
良知 耕平 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.211, 2012 (Released:2012-06-11)

本研究ではレビューのフォーマット中に含まれる情報の種類が消費者に与える印象を評価した。実験刺激としてノートパソコンに関する4種類のレビューを使用した。4種類のレビューは、レビューを書いた人間、評価、コメントが同じであり、含まれる情報フォーマットのみが異なっていた。レビューA:満足度、名前、コメントのみ。レビューの最低限の要素(基本情報)で構成されたもの。レビューB:レビューAにレビュー制作者の人物像がわかる要素(人物情報)を加えたもの。レビューC:レビューAにレビュー作成者の商品熟知度がわかる要素(商品熟知度情報)を加えたもの。レビューD:基本情報、人物情報、商品熟知度情報の全てを含んだもの。被験者(学生24名)はひとつの実験刺激を見ながら8種類の印象評価(信頼性,親しみやすさ等)を行った。結果、人物情報を含んだレビューBよりもレビューAの方が信頼できるという評価になった。一方、商品熟知度情報を含んだレビューCはレビューAよりも親しみを感じさせていた。ノートパソコンのレビューでは「どんな人がレビューを書いたか」よりも「どれくらい商品に詳しいか」の方が信頼や親しみに強く影響することが示唆された。
著者
大竹 美緒 山田 博之 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.444-445, 2018

他者からの視線は人に様々な影響をもたらすが、それは本物の人間の目に限ったことではない。イラストや作り物など、人工的な目をも人は他者からの視線だと認識する傾向がある。人工的に作られた目は状況や使い所によって、不快・恐怖などの負の印象から、愛らしさなどの正反対の印象を与えることも出来る。目単体に対する不快感を検証した例として、人間の目の写真を利用した研究は存在するものの、人工物の目を主題とした研究は今のところ見られない。また、実物・人工物に限らず、顔や身体全体の印象評価を行う為に目を主題として扱う研究は多数存在するが、目のみを対象とした研究は少ない。本研究の目的は、人工的な目が配置された空間が、そこに置かれた人々にどのような影響や効果をもたらすかを明らかにする事である。しかし本研究に関連する事象は未だ解明されていない事が多く、要因をひとつずつ検証していく必要がある。本実験では、先行研究である目の写真に対する不快感を検証した実験を、イラストの目に置き換えて実験を行った。その結果、実写の目とイラストの目が与える不快感には差があるという事が示された。
著者
高山 翔矢 向井 志緒子 Norasakkunkit Vinai 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

&nbsp;2020年の東京オリンピックに向けて、政府目標としてインバウンド(訪日外国人)数を2000万人と打ち立てる日本であるが、近年の観光事業の発展により目標達成はほぼ確実と言える。それに伴うインバウンド消費の増加のためにも、おみやげ事業は力を入れていくべき分野であり、更なる発展が望まれる。先行研究によると、アメリカ人は「同僚」へおみやげを買わない傾向にあることも示されており、ここに未開拓の市場が存在する。<br>本研究では、どのように日本人とアメリカ人の学生が同僚・クラスメート(以下 同僚)におみやげを選ぶのか検証した。9種のおみやげ(菓子類、雑貨類、食品類がそれぞれ3種)のうち1種をディスプレイ上で選ぶ実験を行った。その際、眼球運動測定も行った。結果として、日本人学生はどの試行においても同僚に対し菓子類を選択する傾向があり、またその選択に迷いは少なかった。アメリカ人学生は菓子類に加え雑貨類も選択する傾向が見られた。また日本人は選択肢を絞っているにもかかわらず菓子類の決定にアメリカ人よりも長い時間をかけることがわかった。
著者
河瀬 絢子 崔 庭瑞 泉澤 恵 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.4_35-4_42, 2015-11-30 (Released:2016-04-15)
参考文献数
22

本研究では,OTC 医薬品のブランドがOTC 医薬品選択時の消費者行動に与える影響について詳細に検討するため,OTC 医薬品選択時の眼球運動を計測した。被験者は,3種類のOTC 医薬品の中から最も購入したいと思った1品を選択した。課題遂行中,「製品名」,「成分」,「使用上の注意」などの12 の外箱記載項目に対する視点の停留時間と停留順序が求められた。その結果,被験者はナショナルブランド(NB)のOTC 医薬品選択時には「製品名」を最初かつ最長時間注視し,プライベートブランド(PB)では「キャッチコピー」を最初かつ最長時間注視する傾向が認められた。面積・面積比と停留時間の相関はPB の方がNB より大きく,NB・PB いずれにおいても色数と停留時間に有意な相関は認められなかった。以上の結果から,消費者はNBではブランド名,PB では詳細な情報に依存した選択を行うことが示唆された。
著者
本間 元康 小山 慎一 長田 佳久
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.52-52, 2007

本研究では、ラバーハンドと自身の手の向きが不一致の場合(例えばラバーハンドは甲が上向きで自身の手は平が上向きの場合)、視知覚が触知覚にどのように反映されるかを検討した。参加者の左手を自身から見えないように置き、鏡映された右手のラバーハンドを観察させた。ラバーハンドと自身の手の向きが一致している場合、視覚刺激(赤色光)を提示した部位に触知覚が体験され、視覚刺激のみで触知覚が生じることを確認した。しかし不一致の場合、例えば自身の左手平側を上にした状態でラバーハンドの右手甲側の親指に視覚刺激を与えた場合、参加者は平側の小指に触知覚を感じるという奇妙な現象を体験した。すなわち、鏡の中で刺激されている部位と空間的に対応する部位に触知覚が生じた。これらの結果は視覚情報によって触知覚が引き起こされる際、視覚的な位置情報と実際の手の体性感覚的な位置情報(手の指、平・甲)が統合されていることを示唆する。
著者
小山 慎一 NORASAKKUNKIT Vinai CHEN Chun-hsien AHMAD Hafiz Aziz 由 振偉 張 暁帆 若松 くるみ 商 倩 成田 佳奈美 堀端 恵一 山田 桃子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究課題の研究1~4の全てを実施し,その成果を学会および論文で報告した.研究 1では照明の第一印象に与える影響について検討し,研究2では選択肢の種類と数が消費者の選択時における満足度に与える影響について検討した.研究3・4では消費者がモノに対するこだわりと愛着を発達させるプロセスおよび飽きが生じるメカニズムについて検討した.以上の研究から,モノに対する長期的な愛着を発達させるためには「積極的に情報を収集し,複雑な評価を楽しむことによって対象物に対する愛着を発達させ,愛着が発達することによってさらに積極的に情報を収集するようになる循環的なプロセス」が重要な役割を演じていることが示唆された.