著者
本間 元康
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.761-770, 2010 (Released:2011-06-06)
参考文献数
37
被引用文献数
5

In the rubber hand illusion (RHI), individuals misattribute the tactile sensations felt by their own hand, which is kept hidden from view, to a rubber prosthetic hand that they see being tactilely stimulated in synchrony. The phenomenon covers the multisensory integration between vision and touch, with body image as reference. The investigation of RHI has increased in recent years, and the interest has not been restricted to cognitive science. A large number of case studies associated with the RHI have been reported in psychiatric research. With advances in virtual reality, practical applications of RHI have witnessed rapid growth in the technological field. Furthermore, the RHI is closely related to body theory, including the self-other boundary. Indeed, the phenomenon is broadly relevant across a number of domains. This paper reviews the RHI phenomenon and focuses on its interdisciplinary perspective.
著者
本間 元康 栗林 大輔 長田 佳久 栗山 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.393, pp.11-14, 2012-01-13
参考文献数
21

視線一致(アイコンタクト)は対人交流を促進する上で重要であるが,アイコンタクトの知覚精度に関する研究は乏しい.本研究では,対面する二者におけるアイコンタクトの知覚範囲体積および瞳孔径を測定し,個人特性との関連を調べた.アイコンタクトの知覚範囲は非常に広く,アイコンタクトへの注意は瞳孔径を拡大させることが明らかとなった.さらにその知覚範囲は性格の外向性および社交性不安障害傾向と関連が認められ,外向性が低く社交性不安障害傾向が高い個人ほどより広い範囲で視線が一致したと過大視する傾向があることを示唆した.
著者
本間 元康 加藤 進昌 河村 満 小野 賢二朗 糸井 千尋 緑川 晶 寺尾 安生 政岡 ゆり 二村 明徳 黒田 岳士 杉本 あずさ 太田 晴久
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.PD-131-PD-131, 2020

<p>自閉症スペクトラム障害(ASD)はコミュニケーション能力障害が主な症状として知られているが,視野や注意の範囲が狭いという報告もある。空間幅や時間幅の把握・表出などの原始的な能力にも異常が見られ,それらがコミュニケーション能力の低下と関連している可能性がある。本実験ではASD患者20名および健常者20名のデータを取得した。ペンタブレット装置を用い,実験者の指示のもと,ペンを右側へ10センチ動かす課題および心の中で10秒数える実験条件課題を行った。コントロール条件課題として定規を見ながら10センチ動かす課題およびアナログストップウォッチを見ながら10秒数える課題を行った。ASD患者はコントロール条件課題においてほぼ正確に表出することができたが,実験条件課題では時間幅および距離幅を極端に短く表出する傾向があった。さらに自閉症スペクトラム指数のサブスコアである「細部への注意」項目と相関があった。本研究は,空間的にも時間的にも収縮した表出機能と注意機能の異常が関連していることを示唆し,それらの傾向はASD患者のコミュニケーション能力を阻害する一因になっている可能性がある。</p><p> </p><p>連名発表者追加</p><p>(正)</p><p>小野 賢二朗#(昭和大学)</p>
著者
本間 元康 小山 慎一 長田 佳久
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.52-52, 2007

本研究では、ラバーハンドと自身の手の向きが不一致の場合(例えばラバーハンドは甲が上向きで自身の手は平が上向きの場合)、視知覚が触知覚にどのように反映されるかを検討した。参加者の左手を自身から見えないように置き、鏡映された右手のラバーハンドを観察させた。ラバーハンドと自身の手の向きが一致している場合、視覚刺激(赤色光)を提示した部位に触知覚が体験され、視覚刺激のみで触知覚が生じることを確認した。しかし不一致の場合、例えば自身の左手平側を上にした状態でラバーハンドの右手甲側の親指に視覚刺激を与えた場合、参加者は平側の小指に触知覚を感じるという奇妙な現象を体験した。すなわち、鏡の中で刺激されている部位と空間的に対応する部位に触知覚が生じた。これらの結果は視覚情報によって触知覚が引き起こされる際、視覚的な位置情報と実際の手の体性感覚的な位置情報(手の指、平・甲)が統合されていることを示唆する。
著者
長田 佳久 西川 泰夫 鈴木 光太郎 高砂 美樹 佐藤 達哉 鷲見 成正 石井 澄 行場 次朗 金沢 創 三浦 佳世 山口 真美 苧阪 直行 藤 健一 佐藤 達哉 箱田 裕司 鈴木 光太郎 櫻井 研三 西川 泰夫 鈴木 清重 増田 知尋 佐藤 隆夫 吉村 浩一 鈴木 公洋 椎名 健 本間 元康 高砂 美樹 仁平 義明 和田 有史 大山 正 鷲見 成正 増田 直衛 松田 隆夫 辻 敬一郎 古崎 敬
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, 国内で行われてきた実験心理学研究に関連した機器や資料の現状の把握, 保管方法の検討及び活用方法に関して検討した。本研究活動の成果として,1) 国内の研究機関で保管されている機器の状態の把握,2) 廃棄予定の機器の移設,3) 機器・資料のデジタルアーカイブ化,4) 機器・資料の閲覧方法の検討の4つが挙げられる。これらの成果を通じて, 日本の実験心理学の歴史的資料を残し, 伝えるための手法に関する基盤を築いた。