著者
秋山 翔太 大栗 聖由 山田 博之 斎藤 義朗 池口 拓哉 佐藤 研吾 廣岡 保明 小河 佳織 樋本 尚志 前垣 義弘
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.121-126, 2020-06-01 (Released:2020-06-01)
参考文献数
19

不思議の国のアリス症候群 (Alice in Wonderland syndrome; AIWS) は, 特殊な視覚症状を生じる症候群であり, 片頭痛や感染, てんかんなどに併発することが多く, ヒステリーなどの精神疾患と誤って診断されやすい。今回われわれは, 定型小児欠神てんかん寛解後に異常な視覚症状を呈しAIWSと診断された10歳女児に対して視覚誘発電位 (VEP) を行い, giant VEPの所見を記録できた症例を経験した。本症例は朝方の視野の歪み, 目のぼやけ, ものが大きくまたは小さく見えるといった視覚症状を有し, てんかんの既往歴を認めた。パターンリバーサルVEP検査において潜時は正常であったが, Cz–Oz誘導においてN75–P100およびP100–N145に高振幅なgiant VEPを認めた。また, SPECTにおいて右頭頂葉に軽度血流低下を認めた。これらのことから, giant VEPはてんかん既往による皮質興奮性上昇を反映した結果と考えられた。AIWSに特異的な視覚症状を認めた場合, 精神疾患と鑑別するための補助的診断法としてVEPやSPECTを併用することで, より正確な診断を導き出すことができるのではないかと考えた。
著者
山田 博之 近藤 信太郎 花村 肇
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.75-84, 2004 (Released:2004-12-24)
参考文献数
87
被引用文献数
2 3

人の第3大臼歯は最も発生が遅く,形態変異も大きく,欠如率も高い。環境要因の影響を最も受けやすく,小進化を反映しやすい歯である。そこで,日本人集団の歯牙形態の小進化を考察する目的で,第3大臼歯の先天的欠如率を時代順に調べた。その結果,縄文時代人は欠如頻度が低く,ほとんどの第3大臼歯は発生していたが,弥生時代人になると急激に欠如頻度が高くなっていた。この急激な変化は,外来集団からの遺伝的影響によって生じたと考えられる。弥生時代人以降,欠如頻度はさらに高くなり,昭和初期にはピークに達した。その後,先天的欠如頻度は急激に減少し,第3大臼歯が存在する人は多くなっていた。昭和時代以降の変化は高栄養物の摂取と,それに伴う高身長化や性成熟の加速化によるものと思われる。
著者
山田 博之 濱田 穣 國松 豊 中務 真人 石田 英實
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
pp.150917, (Released:2015-11-05)
被引用文献数
1

大型類人猿における犬歯形態と性的二型を明らかにすることを目的に研究を行った。資料は各博物館・研究所に所蔵されている大型類人猿(オランウータン,ゴリラ,チンパンジー,ボノボ)の頭蓋骨に植立している犬歯の超硬石膏模型である。大型類人猿の犬歯の歯冠サイズはオスが大きく,メスは小さい。舌側面からみた歯冠概形は4種とも上顎がオスで底辺の広い二等辺三角形,メスで正三角形を,下顎は雌雄とも不正四辺形を呈す。雌雄とも近心shoulder の位置は上顎のほうが下顎よりも歯頸寄りに,また浮彫像では上顎犬歯で近心半部に近心舌側隆線が,下顎では遠心舌側へ遠心舌側面隆線が走行する。4種で比較すると,オランウータンはオスで歯表面に皺が多いこと,また歯冠と歯根がスムーズに移行し,歯頸部にくびれがないことが特徴的である。ゴリラではオスの上顎犬歯の歯頸隆線の発達が弱いこと,および下顎犬歯の近心舌側面窩にある切痕が強いことが特徴であり,Pan属の2種で雌雄とも上顎犬歯の遠心shoulderが近心shoulderの位置と同等か,それより尖頭寄りにあること,ボノボでは雌雄とも上顎犬歯の遠心舌側面隆線が歯頸隆線と合流してL字状の形態を呈すことが特徴的である。大型類人猿4種では犬歯の性差は大きさだけでなく,歯の形態や歯冠構造でも明らかである。メスの犬歯は以下の特徴でそれぞれの種のオスの犬歯と違いがみられた:1)全体的に小さい,2)表面の浮彫は発達が弱く,全体的に丸みを帯びた形態をしている,3)下顎犬歯の近心shoulderは相対的に尖頭寄りにある,4)歯頸隆線は発達が良い。歯冠の計測値ではゴリラが最も大きく,次いでオランウータン,チンパンジーが続き,ボノボが最も小さい。オスの方が歯冠高を含め歯冠サイズは大きい。とくに尖頭と近心shoulder間距離が最も性差が強い。一方,歯頸部エナメル質の膨らみ具合はメスの方が絶対的にも相対的にも値が高い。類人猿の社会構造との比較では,単独生活者のオランウータンと単雄複雌群のゴリラは強い性的二型を,複雄複雌群のチンパンジーやボノボではサイズはこれよりもやゝ弱い性的二型が認められた。
著者
山本 莉沙 山田 博之
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-22-00028, (Released:2022-10-20)
参考文献数
12

In this study, we compared and evaluated whether different facial expressions on the package resulted in different evaluations of the confectionery by presenting participants in the experiment with different facial expressions on a fictitious package and conducting a pairwise evaluation. In the result, it revealed differences in the evaluation of “visual taste” and “familiarity” depending on differences in facial expression, although the effects of the combination and individual differences in preference were also observed. As for the influence of each part of the face, it was found that the mouth part influenced “familiarity,” while the eye part had a significant influence on the “visual taste” evaluation. This suggests that having a face on the confectionery package with an appropriate facial expression for the product itself will help people feel more comfortable with the product and understand information such as the type and strength of the product’s flavor.
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
1

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
山田 博之 岩波 健 島宗 亮平 佐々木 裕泰
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
交通・物流部門大会講演論文集 2016.25 (ISSN:24243175)
巻号頁・発行日
pp.2109, 2016 (Released:2017-06-19)

Large overshoot sometimes occurs during use of air-spring car-body tilting by which a car-body is tilted using inflated or deflated air-springs. The large overshoot causes the contact loss between the pantograph and the contact wire. Therefore, we developed a controlling method of the overshoot by using the vertical motion damper equipped in parallel with the air-spring. The detail of the vertical motion damper, the controlling effect of the damper on the overshoot, and the overview of the running test is described in this paper.
著者
森本 耕三 土方 美奈子 Guo Tz-Chun 宮林 亜希子 山田 博之 慶長 直人
出版者
COSMIC
雑誌
呼吸臨床 (ISSN:24333778)
巻号頁・発行日
vol.4, no.6, pp.e00103, 2020 (Released:2022-10-22)
参考文献数
10

原発性線毛機能不全症候群(PCD)は主に常染色体潜性またはX連鎖性遺伝形式をとる先天性疾患の1つで,気道上皮細胞などに存在する運動性線毛や精子鞭毛の機能的障害を来し,臨床的には副鼻腔気管支症候群の特徴や不妊症,内臓逆位など呈する症候群をいう。気道クリアランスの障害により進行例では気管支拡張の進展により呼吸不全を来す。原因遺伝子はこれまでに40以上が知られており,近年新たな遺伝子異常の報告が続いているが,推測される全遺伝子異常の70%までしかカバーできていないとされている。診断には電子顕微鏡(electron microscopy:EM)検査や鼻腔NO測定など専門的な検査を必要とするため,診断が難しく,多くの患者が未診断の状態にあると考えられている。システマティックレビューから本邦ではこれまで主にEMのみを用いた診断が行われており,その解釈も欧米とは異なることが明らかとなった。われわれはPCD専門外来を開設した。これまでにびまん性汎細気管支炎でマクロライド療法不応例とされていた症例にDRC1の広範囲欠失をもつPCDが存在していることを報告した。アジア人に最適化した遺伝子パネルの開発を含め診断体制の確立により本邦の実態を明らかとし,患者支援活動に繋げることが望まれる。
著者
平竹 進 中西 洋一 山田 博之 吉田 浩二
出版者
大同特殊鋼株式会社
雑誌
電気製鋼 (ISSN:00118389)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.74-81, 1984

An industrial scale new melting process, named Plasma Progressive Casting Furnace (PPC-F) was designed and constructed by Daido Steel Co., in Daido's Hoshizaki Plant. This process is suitable for making a titanium primary ingot (VAR electrode) directly from grain sponge and/or various shapes of scraps without requirement for compaction and electrode fabrication. The furnace has six plasma torches circling around the water cooled crucible. Plasma arcs are controlled by magnetic field which also makes molten pool rotate. Materials are fed and melted continuously and solidified ingot is withdrawn progressively.<br>This process has a distinctive advantage of efficient utilization of small sized scraps which is difficult to remelt in usual VAR process and a high reduction of the melting cost is accordingly expected.
著者
寺田 信幸 山田 博之 吉田 善一
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.785-789, 2005 (Released:2007-01-19)
参考文献数
5

Many studies have been carried out in order to understand the real effects of space environment on the human body. Our aim is to create a very small, energy-saving vital signs monitoring device capable of facilitating simple and precise blood tests in an orbiting vehicle where harsh technical conditions experienced. The device also has the potential to be used portable and ubiquitous diagnostics systems for medical care at home or bedside. In this study, we developed a micro-fluid device using laser-processing and resin-lamination methods. A number of heat-hardening resin films are layered on a soda glass. A laser is used to fabricate part of the channel on each film for every lamination. The channels are 45 μm in depth and 50-150 μm in width. The components we have currently produced were : 1) a trident channel structure ; 2) a solid-body flow channel with a micro-pipe, both of which were designed to make blood cells flow in a single line in the channel for cell counting ; and 3) a micro-flow channel simulating a capillary vessel for measuring blood coagulation, platelet aggregation, and transformation of red blood cells. We have successfully observed blood cells flowing in these micro-fluid devices.
著者
山田 博之 濱田 穣 國松 豊
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.122, no.2, pp.133-143, 2014 (Released:2014-12-19)
参考文献数
50
被引用文献数
1

小型類人猿シロテテナガザル(Hylobates lar)について犬歯形態の詳細な記載と大きさの性的二型性を明らかにすることを目的に研究を行った。テナガザルの犬歯は従来いわれているように性的二型性が小さく,雌雄間で形態が非常によく似ている。歯冠頬側面の概形は上顎犬歯でサーベル形,下顎犬歯は不正四辺形を呈する。オスに較べてメスの形態特徴を挙げると,1)サイズが小さい,2)歯冠浮彫像の発達が弱く,全体に丸みを帯びている,3)下顎犬歯の近心shoulderの位置が歯冠高の約1/2にある,4)歯頚隆線がよく発達していることである。歯冠サイズによる犬歯の性差では,上・下顎の歯冠基底部のサイズや歯冠高でオスの方が有意に大きい。一方,下顎犬歯では歯冠近遠心径に対する歯頚部エナメル質の膨らみはメスの方が大きく,有意に強い性差を示す。歯冠の高径,とくに下顎犬歯の尖頭から近心shoulderまでの距離が最も強い性差を示す。犬歯の形態やサイズに性的二型がみられることはペア社会を構成するテナガザルでもある程度雌雄の違いが大きさや形にも存在することを示す。
著者
吉田 裕俊 中井 修 黒佐 義郎 鵜殿 均 山田 博之 大谷 和之 山浦 伊裟吉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.247-252, 1994-03-25

抄録:腰椎椎間板内に生じる透亮像は,vacuum現象として知られているが,実際には同部は真空ではなく,ガスが存在しているとされている.その発生には,高度に変性した椎間板が関与しているとの報告があるものの,その発生の由来および病態については未だ不明のままである.そこで,腰椎椎間板内ガス像を認める椎間の画像診断上の特徴を検討し,椎間板変性との関係について言及すること,腰椎椎間板内ガスの由来及び病態を考察することを今回の研究目的とした.その結果,腰椎椎間板内ガス像を認める椎間には,椎間板腔狭小化が88%,脊髄造影で,椎間板膨隆が80%,CTで終板破壊が95%,MRI上,終板軟骨下骨輝度変化が76%に認められた.終板の破壊性変化部位に一致したガスの存在や,終板の欠損部にもガスが存在していることから,椎間板内ガスは腰椎伸展などにより生じた椎間板内陰圧部に,椎体内血液から終板を経由し発生したものと考えられた.
著者
山田 博之 川本 敬一 酒井 琢朗 片山 一道
出版者
日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.435-448, 1988
被引用文献数
3

クック諸島住民について歯の大きさを計測し,その結果をクック諸島内ならびに周辺諸地域の集団の間で比較検討した。資料として,クック諸島のラロトンガ,マンガイア,プカプカで採取した4歳から20歳までの男女397名の全顎石膏模型の中から,男性146個体のものを選んで用いた.計測は,上下顎の中切歯から第2大臼歯までの歯冠近遠心径&bull;頬舌径について1/20mm副尺付ノギスで行った。資料は両親あるいは祖父母の出生した島にしたがい次の6群に分類した.プカプカ群,N-S群(北島グループと南島グループの混血),ラロトソガ群,マンガイア群,S群(南島グループのうちラロトンガとマンガイアを除いたもの),混血群(ヨーロッパ人との混血)である。また周辺地域との比較では,クック諸島民をプカプカ群,混血群,南クック群(上記6群のうちプカプカ群と混血群を除いたもの)に分けて行った.集団比較にはマハラノビス距離を用い,これにもとついてクラスター分析,正準座標分析を行った.<br>その結果,クック諸島の中では,プカプカと南島グループの間で歯の大きさに有意差が存在し,とくにプカプカとマソガイアの間では28項目中8項目に有意差がみられた.しかし,南島グループの中では歯の大ぎさにほとんど差違は認められなかった.混血群もプカプカとの間に4項目で有意差が認められたが,南島グループとはあまり差を示さなかった.周辺地域との比較では,クック諸島とポリネシアン&bull;アウトライアーのタウマコは1つのサブクラスターを形成し,ハワイージヤワのサブクラスターと比較的近い関係を示した.一方,ニューギニアとブーゲソビルのメラネシアグループは異なった1つのクラスターを形成した.このメラネシアグルーフ.のクラスターには中央オーストラリアの原住民も含まれた(図4,5).<br>今回の結果では,歯の大きさに関してオセアニア地域では大きく分けて2つのクラスターが存在することが示された.一方はジヤワを含をポリネシア地域の集団からなり,他方はメラネシア地域のものであった.ここにみられた"dichotomy"はオセアニア地域での生体ならびに歯冠の形態特徴の結果とよく一致した.
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
1

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
江木 盛時 黒田 泰弘 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 小谷 穣治 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 志馬 伸朗 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 谷口 巧 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 鶴田 良介 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 土井 研人 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 土井 松幸 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 中田 孝明 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 中根 正樹 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 藤島 清太郎 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 小倉 裕司 細川 直登 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 升田 好樹 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 松嶋 麻子 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 矢田部 智昭 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 安宅 一晃 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井上 茂亮 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 射場 敏明 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 垣花 泰之 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 川崎 達也 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 久志本 成樹 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, 2020
被引用文献数
1

<p>日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。</p>
著者
大竹 美緒 山田 博之 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.444-445, 2018

他者からの視線は人に様々な影響をもたらすが、それは本物の人間の目に限ったことではない。イラストや作り物など、人工的な目をも人は他者からの視線だと認識する傾向がある。人工的に作られた目は状況や使い所によって、不快・恐怖などの負の印象から、愛らしさなどの正反対の印象を与えることも出来る。目単体に対する不快感を検証した例として、人間の目の写真を利用した研究は存在するものの、人工物の目を主題とした研究は今のところ見られない。また、実物・人工物に限らず、顔や身体全体の印象評価を行う為に目を主題として扱う研究は多数存在するが、目のみを対象とした研究は少ない。本研究の目的は、人工的な目が配置された空間が、そこに置かれた人々にどのような影響や効果をもたらすかを明らかにする事である。しかし本研究に関連する事象は未だ解明されていない事が多く、要因をひとつずつ検証していく必要がある。本実験では、先行研究である目の写真に対する不快感を検証した実験を、イラストの目に置き換えて実験を行った。その結果、実写の目とイラストの目が与える不快感には差があるという事が示された。
著者
佐藤 睦智 佐々木 剛 山田 博之 下村 浩一 矢嶋 航 丸谷 良 山内 伸二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.293-298, 2012-04-01

司会は昨年に引き続き嵐のみなさんと連続テレビ小説「おひさま」のヒロイン役を務めた井上真央さん.出場者は55組で随所に5ヵ所の中継や企画コーナーが加わる内容である.放送時間は19時15分から4時間25分(途中ニュースで5分間中断)の生放送で,総合テレビとラジオ第一が同時放送された.舞台セットは,点と点が繋がりみんなが一つになっていくことをコンセプトとした三角形の骨組みと映像を映し出すLEDスクリーンが基本セットである.前回から始まったテレビ副音声での「裏トーク」は,NHKホールの2階席に実況席が設けられ,生のステージを見ながらテリー伊藤さんと,神田愛花アナウンサがゲストを交えながら自由に話すというコンセプトで放送された.その他,3Dやスーパーハイビジョンの制作も平行して行った.
著者
山田 博之 小木曾 力 寥 健源
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.473-479, 1986
被引用文献数
3

歯の大きさ,とくに歯冠近遠心径ならびに頬舌径に関する研究はこれまで数多く報告されている.しかし歯の大きさに関する相関係数は歯冠近遠心径と頬舌径が別々に記載されているか,あるいはある特定の歯群について報告されているもので,歯冠近遠心径と頬舌径の相関係数をすべての歯種について表記したものは少ない.<br>今回,日本人と福建系中国人の男性と女性について歯の大きさの基本統計量と相関係数とを将来の比較資料として掲載した.これらの資料は日本人については山田(1977),小木曾(1982),福建系中国人については廖(1984)の上下顎石膏模型による歯冠近遠心径と頬舌径のデータである.なお,第3大臼歯の計測値は含まれていない.ここに掲載した基本統計量と相関係数行列は上記に示した歯の大きさの28計測項目すべてを含んでいる個体を対象に算出したため,すでに報告された結果と多少数値を異にしている.
著者
山田 博之
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.223-229, 2015 (Released:2015-02-27)
参考文献数
13

In terms of research into chat interfaces, prior research includes studies applicable to the reader's side, aimed at reducing the reader's perceived waiting time. However, this paper focuses on the writer's side. Content from live video seminars typically contains greetings and salutations uttered by participants. These salutations were removed first from the data in order to eliminate noise, before starting the analysis. The sentences within each chat utterance were analyzed, and the results indicate that approximately 90% of those utterances are less than 20 characters long, and approximately 54% of them are less than 10 characters in length. In addition, this research analyzed the structure of the sentences, and the results show that utterances comprising of two or more sentences tend to include questions. However, at the same time, this has also highlighted the issue that these types of sentences tend to hinder synchronization within the webinar.