著者
橋本 燎 亀山 宗彦 佐藤 孝紀 小川 浩史
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2020

<p>雷放電は大気中では窒素の酸化を促し、自然起源の窒素酸化物の主要な生成要因となる(Wang et al., 1998)。雷放電は積乱雲を形成しやすい陸域で多く発生するが、海洋域でも定常的に見られていることが分かっており、気候変動等による将来の雷放電の増加が予想されている(Romps et al., 2014、Thornton et al., 2017)。本研究では、気相中・液相表面において、プラズマ放電を人工的に起こすことで、自然界における雷放電や海面への落雷を模擬し、窒素酸化物の生成・消費とその質の変化について定量的に評価する事を目的とした。本研究では、雷放電による窒素酸化物の生成を定性的に評価するための項目と定量的に評価するための項目に分けて、実験を行った。実験には、北太平洋亜熱帯域で採水されたキャリア海水を用いた。その結果、窒素酸化物は主に気相で生成され、それらの生成量は湿度、パルス長、電圧、気圧等によって変化することが分かった。</p>
著者
亀山 宗彦 佐藤 孝紀 谷本 浩志 小川 浩史 角皆 潤 山下 洋平
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では海表面への落雷に伴う物質循環が起きる可能性を検証した。実際の海水、河川水、純水に純空気及びアルゴン雰囲気下で放電を行うことで実際の落雷を模擬した。本研究では特に窒素酸化物の生成がみられ、放電に伴い硝酸・亜硝酸塩及び亜酸化窒素が生成されていることがわかった。硝酸・亜硝酸は気相中での生成が知られており、本研究でも主な生成は気相中で起こっていたが、液相中でもその生成が起きていることがわかった。また、溶存態・粒子態有機物の生成・分解も確認された。
著者
木暮 一啓 小川 浩史 砂村 倫成 河原林 裕 浜崎 恒二 常田 聡 西村 昌彦 浦川 秀敏 千浦 博 井上 健太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

近年の研究から、海洋の中心層には古細菌が広く分布することが分かってきた。1000m以深では、数的には原核生物のうちの半数近くを占めることが見出されてきたが、今のところ分離株が全くなく、その生態、系統、物質循環に対する寄与などについては殆ど未知の状況である。これらの環境は低温、高圧、貧栄養で特徴付けられるが、こうした環境は従来から知られていた古細菌の好熱性、好塩性、嫌気性などの性質からはずれがある。従ってこれらを非極限性の古細菌と呼ぶことにする。本研究はこの一群を中心とした古細菌に対する学際的研究である。本研究では様々な課題を扱ったが、最大の成果は外洋域中心層から複数の古細菌を分離し、その系統的位置づけおよび性情等についての検討を開始できたことである。これは我々の知る限り、世界で初めてのことである。さらに、それが系統的には好塩性の古細菌に近縁であることが分かったことから、非極限性古細菌群集の起源や古細菌の進化上の広がりなどについて新たな仮説を提示できる段階に至った。