著者
小川 真里子
出版者
一般社団法人 日本産業精神保健学会
雑誌
産業精神保健 (ISSN:13402862)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.15-20, 2023-03-30 (Released:2023-03-30)
参考文献数
13

近年,更年期障害による労働損失が莫大なものであることが明らかになり,“更年期ロス”と呼ばれている.更年期ロスとしては離職や昇進の辞退が多いとされ,そこに至った原因としては,更年期によくみられる精神的症状が関与している可能性がある.更年期障害は,更年期に現れる症状の中で,器質的変化に起因せず,日常生活に支障をきたす病態と定義される.その症状は,血管運動神経症状に加え,精神的症状,泌尿生殖器症状,その他に大別される.また,女性において更年期はうつ病の好発時期でもある.更年期障害に対する薬物療法としては,漢方療法,ホルモン補充療法(HRT),抗うつ薬が用いられる.更年期障害では一人の女性が同時に多くの症状を訴えることが多く,漢方薬やHRTの有効性も高い.当事者だけでなく周囲も含めて更年期障害についての理解を深め,適切に治療を行える環境を作ることが,更年期ロスを減らす足がかりになると考えられる.
著者
小川 真里子 髙松 潔
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.455-461, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
26

心療内科医と産婦人科医の双方の対応を要する疾患は多い. また, 心身症患者が産婦人科を初診受診することも日常的にみられる. 例えば, 摂食障害の女性は, しばしば無月経を主訴に産婦人科を最初に受診する. 月経前症候群は, 月経前である黄体期にさまざまな症状をきたすが, 心理・社会的因子が背景にあることも少なくないため, 心身医学的アプローチが有効である.しかし, 実際の臨床現場で心療内科と産婦人科が密に連携し協働している場面はまだまだ多いとはいえない. 考えられる問題点としては, まず, 産婦人科医における心身医学的知識の欠如, 次に, 患者の心療内科受診へのハードル, そして, 心療内科と産婦人科が併設されている病院は少ないため, 物理的に連携することが難しい点などが挙げられる.そこで本稿では, 心身症患者への産婦人科的対応について述べ, 今後どのように協働して治療にあたっていくかを考察した.
著者
兼子 智 高松 潔 吉田 丈児 小川 真里子
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は精子側技術の向上、媒精環境の効率化によりICSIに依存することなく受精胚を得ることを目的として、授精に供するDNA断片化陰性精子の高精度分画、2. DNA断片化初期像、頭部空胞、先体反応誘起能観察による精子品質管理、3.卵管様微少流路内で運動精子分離、先体反応誘起、受精を同時に行う人工卵管法により、媒精に要する精子の質的向上と量的な下限値の低下を図ることに成功した。本法を顕微授精反復不成功例(250例、406周期)施行し57症例が妊娠し、49例が分娩に到った。ICSI反復不成功例が本研究で確立した高効率媒精システムにより妊娠に至る可能性があることが示された。