著者
小林 基
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.376-394, 2018-09-01 (Released:2022-09-28)
参考文献数
52

農産物産地の形成と産地間競争に関する既往の研究では,イノベーションが競争を駆動するものとして認識されていたが,その具体的なプロセスと地域的差異については必ずしも詳しく論じられていない.本稿は農業において技術の研究開発から普及を経て導入に至る過程をつなげて把握すべく,イチゴの品種の育成・普及を素材として検討した.この結果,まず,規模の大きな産地は小さな産地より速く品種が普及する傾向にあること,大きな産地ほど多くの品種が育成・登録されていることが伺えた.また,大きな産地では県内の試験場で育成された特定の品種の最終的な普及率が高かった.これらの産地では農協を通じた系統出荷率が高く,農協は,新品種への転換の方針決定と情報提供により,普及の速さと最終的な普及率を高めていた.産地におけるイノベーションは,研究の規模と蓄積,生産者の組織化の態様という各産地の事情を反映した過程であるといえる.
著者
小林 基
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.397-419, 2016 (Released:2018-01-31)
参考文献数
50

1970年代に,研究者らによって保全の必要性が主張され注目された「伝統作物」は,国内各地で農産物ブランドの形成を通じた農業振興に活用されうるものとしてあらためて注目を集め,研究が進んでいる。本稿は,兵庫県篠山市の丹波黒のブランド化を題材とし,伝統作物のブランド化過程を解明する。1970年代末以降,丹波黒は転作作物として生産が拡大され,全国的・周年的な需要が掘り起こされていった。1990年代になると西日本を中心に各地で新興産地が生じ,篠山では利益保護のためのブランド認証が必要となった。さらに,生産者と流通業者の関係をみると,他産地に先駆けて商品を出荷したい流通業者と収穫に時間と手間をかけざるをえない農家との間に葛藤が生じ,その調整がなされていた。このように,生産・供給システムの広域化による需要獲得と利益保護の両立,高品質性と早出しの両立といった諸方策により,丹波黒の全国ブランド化が展開したことが分かった。
著者
永田 智大 鈴木 俊博 小林 基成 カーン アシック 趙 晩熙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.31, pp.79-84, 2008-05-08

本論文では,我々が新世代ネットワークとして提案する仮想ネットワーク技術を実現する際,単一ノードが支援する技術について検討を行う.仮想ネットワークはリンク資源,処理資源を統合的に扱うため,単一ノードでは仮想マシン技術を応用することで,効率的な資源割当てを実現できると考える.資源割当が正しく行われた仮想マシンが相互に連携して仮想ネットワーク全体の資源分割を支援する.そこで,我々はまず仮想マシンの資源利用状況を監視し,単一ノード内で実際に使われていない資源を,資源が足りていない仮想マシンに割当てることで,資源の利用効率やサービスのスケーラビリティ向上を目指す.また,その応用例として,仮想マシンの再起動に対する冗長性について検討を行う.再起動の原因に応じて資源割当てを変化させることで,仮想マシンが提供するサービスを効率的に継続して提供できる.