著者
市川 伸一 南風原 朝和 杉澤 武俊 瀬尾 美紀子 清河 幸子 犬塚 美輪 村山 航 植阪 友理 小林 寛子 篠ヶ谷 圭太
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.333-347, 2009 (Released:2010-09-10)
参考文献数
15
被引用文献数
8

COMPASS is an assessment test based on the cognitive model of mathematical problem solving. This test diagnoses components of mathematical ability which are required in the process of understanding and solving mathematical problems. The tasks were selected through the case studies of cognitive counseling, in which researchers individually interview and teach learners who feel difficulty in particular learning behavior. The purpose of COMPASS is to provide diagnostic information for improving learning process and methods of class lessons. Features of COMPASS include: The time limitations are set for each task to measure the target component accurately; questionnaires are incorporated to diagnose orientation toward learning behavior. The present paper aims to introduce the concept and the tasks of COMPASS to show how cognitive science contributes to school education through the development of assessment tests.
著者
平部 正樹 小林 寛子 藤後 悦子 藤本 昌樹
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.167-178, 2016

<p><b> </b> 本研究では通信制高校の生徒を対象とし、入学前・後の心の問題に関わる体験や、精神健康の実態把握のための調査を行った。対象は、私立の広域通信制高校2 キャンパスに所属する全生徒1,086 人であった。調査票については、基本項目に、通信制高校入学前の体験や通信制高校入学理由が含まれていた。 精神健康関連項目として、現在の悩みに加えて、K6 を用いて精神健康度を尋ねた。結果として、入学前には友人関係や不登校、親との問題を経験した生徒が多かった。通信制高校入学の主な理由については、学力や学習上の理由や、前校での不適応となっていた。現在の悩みについては、将来の進路が高かった。精神健康については、K6 による比較で、日本の同年代の精神健康度よりも低くなっていた。通信制高校生徒の精神健康の維持・向上のためには、それまでの学校体験や、生活背景を考え対応していくことが必要であることが示唆された。</p>
著者
平部 正樹 小林 寛子 藤後 悦子 藤本 昌樹 藤城 有美子 北島 正人
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.135-144, 2017-03-31 (Released:2018-12-03)

本研究では、通信制高校の生徒を対象として質問紙調査を行い、入学形態と入学理由の関連、およびそれらと精神健康の関連について明らかにした。対象は、私立の広域通信制高校2キャンパスに所属する全生徒1,086人であった。調査票については、入学形態や通信制高校に入学した理由、精神健康を測る指標としてKessler-6が含まれていた。結果として、男女ともに「学力上の理由」は新入学で、「年齢上の理由」は編入学で、「前校での不適応」は転・編入学で高かった。女性では、転入学で「友人関係上の理由」が高かった。精神健康との関連では、男性で「学力上の理由」、「友人関係上の理由」、「前校での不適応」、「心の病気」等の入学理由や入学形態が精神健康に関わっていた。女性では、「友人関係上の理由」、「心の病気」等の入学理由が関わっていた。これらの情報は、生徒への支援の際に、重要な情報になりうることが示された。
著者
小林 寛子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.149-166, 2019-03-30 (Released:2019-09-09)
参考文献数
107

科学技術の発展は目覚ましく,それに対応できる資質・能力を育むことは,自然科学を対象とする理科教育において喫緊の課題と言えよう。本稿は,理科教育が果たすべき役割について心理学の観点から検討しようとするものである。折しも,2017年3月に公示された学習指導要領,及び,それに先立って発表された中央教育審議会の答申には,心理学的観点が数多く含まれた。本稿では,そうした観点の1つである,学習者の立場で「何ができるようになるか」を考えるという点を取りあげ,心理学研究を概観する枠組みとして用いた。具体的には,学習者が学習の過程で抱える困難を明らかにする研究,及び,困難の克服を目指す指導法を提案し,その効果を検証しようとする研究に特に焦点をあてた。さらに,それらを,理科教育を通して「できるようになること」,すなわち,育成が目指される資質・能力の3つの柱(知識及び技能,科学的に探究する力,科学的に探究しようとする態度)ごとに整理して示した。そうしてまとめた研究の知見を受け,最後に,これからの理科教育と心理学研究における課題について論じた。