著者
白鳥 成彦 大石 哲也 田尻 慎太郎 森 雅生 室田 真男
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.11-22, 2020-07-10 (Released:2020-07-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究では過去のデータを用いて中退をした大学生の状態を学期ごとに遷移する中退確率を用いて表現し,その中退確率を用いて中退までの学生の動きを類型化する手法を提示する.大学における中退は,大学にとっても,学生にとっても負の影響が大きい.本研究では過去のデータを用いて中退をした大学生の状態を学期ごとに遷移する中退確率を用いて表現し,その中退確率を用いて中退までの学生の動きを類型化する手法を提示する.大学における中退は,大学にとっても,学生にとっても負の影響が大きいため,中退を予測し,介入することで未然に防止する研究は広くなされてきた.しかし,中退予測の研究では中退を一時点のみで予測することが多く,実際に中退をする学期までに予測がどのような変遷を経るのかといった研究は少なかった.本研究ではロジスティック回帰モデルを用いて学期ごとに中退確率を算出し,X-means 法を用いて類型化することで,実際に中退をする学期までにどのような途中過程を経るのかを表現する手法を提示する.本手法を用いることで,大学において実際に中退をした学生がどのような過程を経て中退をしたのかを量的に知ることができるため,全学的な学生支援の方向性を検討し,効率的な中退防止施策につなげることができる.
著者
白鳥 成彦 大石 哲也 田尻 慎太郎 森 雅生 室田 真男
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.440-451, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
16

First-year spring semester grades are an important factor in whether or not a student will graduate within the standard academic year. It has been mentioned that the GPA in the spring semester of the first year is related to variables known before admission, placement tests, absence rate, etc. However, it is late in the process of determining grades and it is difficult to determine which students should be intervened upon and how many students should be intervened upon because the status of students within the semester is unknown. There have been few studies to clarify how many students and how their status transitions during the spring semester of the first year. In this study, we propose a method to predict how students' GPA changes week by week during the semester, capture it as a time series vector, and use the transition results of the predicted GPA to classify students. By identifying the differences between the typed groups, we can clarify how much and from which times students decline during the semester, and where and when interventions should be made.
著者
宮入 暢子 森 雅生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.206-213, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)

2012年10月にレジストリサービスの提供を開始したORCID(Open Researcher and Contributor ID)は,世界中で各種の学術情報システムやサービスに広く実装され,総登録者数は2020年末までに1,000万人を超えている。本稿では,運営組織としての非営利団体ORCIDや,研究者情報基盤としてのORCIDの特徴と提供サービスについて概観し,1,000を超える機関メンバーや23のコンソーシアムによって支えられるORCIDコミュニティの現況について解説する。
著者
高田 英一 森 雅生 関 隆宏 大石 哲也 川辺 聡史
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構(旧 大学評価・学位授与機構)
雑誌
大学評価・学位研究 (ISSN:18800343)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.67-80, 2018-03-01 (Released:2019-03-27)
参考文献数
12

本研究では,国立大学における内部質保証のためのIRによる支援の実施状況に関するアンケート調査を行った。調査結果によると,IRの内部質保証への支援は,十分に行われているとは言えない状況であった。また,IR担当の組織・人が存在する大学では,IRによる評価への支援が多く行われていた。しかし,IRによる改善への支援や支援の有用性を高める要因は明確にならなかった。このため,今後,IRの組織・人以外のIRによる支援の有用性を高める要因を検討する必要がある。
著者
高田 英一 桑野 典子 森 雅生 関 隆宏 関口 正司 高森 智嗣
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は、我が国におけるIR及び内部質保証の在り方に関する研究である。この研究で、内部質保証を支援するIRのための人材の教育カリキュラムとデータベースの活用に関する研究も行った。また、IRによる内部質保証の実質化の支援の状況を把握するために、国立大学を対象とするアンケート調査を実施した。調査の結果、IRは内部質保証の支援を十分に実施していないことが分かった。今後は、IRは、個別の課題の調査分析にとどまることなく、全学としての内部質保証システムに位置付けて活用することが重要といえよう。
著者
森 雅生
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.78-81, 2023-11-19 (Released:2023-11-24)

IRにおける分析技能を習得するための教務サンプルデータを紹介する。サンプルデータは、学科マスタ、コースマスタ、科目マスタ、国名マスタ、教員情報、授業主担当、授業分担率、学籍情報、成績情報の9つのテーブルからなり、授業分担率の設定や、成績情報の分布は自然なものとなるように配慮して作成している。smallセットとlargeセットに分けており、largeセットは1460名の学生、smallセットはその10分の1の規模のものとしている。本稿では、これらのデータテーブルから成績情報ビューを再構成する方法を解説する。
著者
高田 英一 大石 哲也 森 雅生 関 隆宏 小柏 香穂理 劉 沙紀
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.87-93, 2020 (Released:2021-01-31)
参考文献数
7

大学が近年の厳しい経営環境に対応するためには,ステークホルダーの支持を得る必要があり,そのためには,ステークホルダーによる認知の集積である「レピュテーション」を高め管理する取組である「レピュテーション・マネジメント」(reputation management)の取組を進める必要がある.また,その際には,大学のデータマネジメントを担当するIRの活用の取組が有効と考えられるが,いずれの取組の状況も明らかでない.このため,国立大学に対してこれらの取組の現状に関するアンケート調査を実施した.調査の結果から,レピュテーション・マネジメントの重要性が多くの大学で認識されるとともに,レピュテーション・マネジメントに関する取組が実施されていること,また,レピュテーション・マネジメントへのIRの活用の必要性が認識されている状況が明らかとなった.
著者
小野 真由美 井上 創造 星子 奈美 森 雅生
出版者
九州大学附属図書館研究開発室
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.1-9, 2006

九州大学学術情報リポジトリ(略称QIR)とは、学内で生産された知的生産物を収集・蓄積・保存し、インターネットを通じて無償で配布するシステムである。QIRと研究者情報の連携は、各システムのユーザビリティの向上を目指すものであり、連携により、研究者情報の業績一覧からワンクリックで対応する文献の閲覧を可能にし、さらに研究者情報のデータを流用したQIRのデータ登録も実現している。本論文では、システム連携に関する課題から設計・実装方法を説明し、最後にデータの解析について述べる。
著者
今井 匠太朗 淺田 義和 伊藤 彰 片野坂 俊樹 白鳥 成彦 高松 邦彦 松本 清 森 雅生
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 第12回大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.66-71, 2023-11-19 (Released:2023-11-24)

データの可視化や分析の知識はIR担当者に必要な素養の1つである。効果的な意思決定のためには適切に処理されたデータ分析が重要であるが、このような能力に長けた人材は不足しており、IRの普及を困難にしている。この状況を踏まえ、IRで実践的に利用するデータサンプルを提供し、IRスキルの涵養や質向上を目指すプラットフォームを立ち上げる。データサンプルは合成データを配布し利用可能とする。この合成データに基づいたデータ分析のサンプルや教材の配布、またデータそのものの改善等を集約し、 IR人材の育成とその質向上を目指す。本稿では、プラットフォーム立ち上げの背景からコンセプト、将来構想について論述する。
著者
高松 邦彦 大石 哲也 松本 清 西山 慶太 野田 育宏 今井 匠太朗 伴仲 謙欣 村上 勝彦 岸田 あおい 中田 康夫 森 雅生
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 第11回大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.12-17, 2022-11-11 (Released:2022-12-20)

我々は、 “Education”と“Informatics”を結合させた Eduinformatics という学際・融合領域を提唱してきた。また近年、Eduinformatics にもとづいた高等教育における Institutional Research(IR)、Digital transformation(DX)、Information and Communication Technology(ICT)の持続可能性(Sustainability)について、Feasibility-Sustainability Matrix(FS マトリクス)を使用した Feasibility-Sustainability Analytics(FS 分析)を提唱している。本研究においては、神戸常盤大学と東京工業大学の 2 大学における FS 分析の実践を報告し、さらに、IR 業務の持続可能性を向上させる方法を提案する。
著者
森 雅生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.86-91, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

近年,高等教育機関や研究機関における関係者の間でよく話題にされるIR(Institutional Research)について,その意義や定義,国内および海外の主要な動向と実務における考え方について,IRに専任従事する立場から解説する。そもそもIRは,教育成果を測定し高等教育機関への投資が妥当なものかどうかをチェックする機能として米国の大学で行われた活動であった。しかし,2000年代に日本に導入されてから,大学のガバナンスのための強力なツールとして大きな期待が寄せられている。本稿は,教育と研究という2つの側面から,日本におけるIRが置かれた状況と,これからの役割を考察する。
著者
森 雅生
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.323-328, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
6

本稿では, Institutional Researchの実務的見地に立ち,オープンサイエンスがどのような観点で大学経営に資することができるか,その期待について述べる.まず,Institutional Researchの意義と目的を示し,最近のIRの動向について簡単に紹介する.次に,大学が研究機関として何をするべきかを検討するため,研究機関に対する評価(経営判断)のフレームについて私見を述べる.それに沿って,オープンサイエンスの取り組みがどのように大学経営と関わるかを述べる.
著者
森 雅生 馬場 謙介
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
pp.11-13, 2012
被引用文献数
1

本稿は研究者データベースと機関リポジトリの連携を紹介する.研究者データベースに研究業績として登録された学術論文の書誌情報から,機関リポジトリに蓄積されるその論文の本文ファイルへのハイパーリンクの作成を考える.通常,こういったハイパーリンクは,バックグラウンドでの書誌情報の照合により実現される.本稿では,バックグラウンドでの書誌情報の照合を行わない方法を提案している.
著者
森 雅生
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は次の3点であり、それぞれ以下のような研究結果となった。●プロトコルの数理モデル化攻撃可能なプロトコルを経験的に補完する例は知られているが、それをプロトコルすべてのセキュリティホールに適用すると冗長性を生じる。このことに注意して、まず暗号化関数と補助的な情報をメッセージに挿入するだけの数理モデルを考察した。これは数理的なモデルでありモノイドとなる。●正規の通信と攻撃的通信の分類一般にプロトコルは公開されており、これを悪用した攻撃は正規の通信との分別が困難である。上述したモノイドモデルでの攻撃的通信を分別することは可能である。●効率に関する考察冗長性はプロトコルの効率性と反比例する。このことについては上述のモデルだけでは議論が不十分であることが分かった。さらに一般的なモデルを構築することが必要となるが、メッセージ集合を文字列とし、プロトコルの実行はメッセージ間の通信と時系列関係によるグラフ(通信グラフ)と考え、文字列としたメッセージが通信グラフの頂点に割り当てられるような構造を考えた。しかしながら、予想していたよりも複雑な構造を持つことがわかり、この一般的なグラフモデルでのプロトコルの安全性と冗長性に関する理論的な結果を得るにはいたらなかった。さらなる研究が必要である。
著者
森 雅生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.12, pp.211-216, 2002-02-14

安全な暗号プロトコルの十分条件について、Dolevら[4]が提唱したピンポンプロトコルをモデルとして考察する。この条件は暗号化する前のメッセージに送り手の名前を挿入するものであり、本論文では、これが一般のピンポンプロトコルで安全であること十分性の証明を与える。A sufficient condition for secure protocols is studied adopting the model proposed by Dolev et al. This condition, called name-suffixing, is essentially to insert identities of participants in messages. We prove its sufficiency and discuss the feature of security in terms of name-suffixing.