著者
小池 五郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.410-413, 1976-06-15 (Released:2011-11-04)

食品の酸性, アルカリ性が話題になることが多いが, それは生理的にどのような意義があるのだろうか, 今回は栄養学の権威である著者に, この点をわかりやすく解説していただいた。結論として, 食品の酸性, アルカリ性と摂取後の体液のpH等との間には直接的な関係はなく, 栄養学上, 食品の酸, アルカリ性はほとんど問題にされていない。ただ食品の「酸とアルカリのバランスをとる」ことを強調することによって「栄養的バランス」が「自然にとれるようになる」ことに重要な意義があると著者はのべている。
著者
香川 綾 小池 五郎 木村 広子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.216-219, 1963

Main protein source of Japanese breakfast is rice and soybean, sometimes with fish, andth at of Western countries bread and milk, sometimes with meat.<BR>To compare the nutritive value of these mixed proteins, forty-eight male albino rats weredi vided into six groups and fed the following diets as protein source;<BR>Group A, rice protein; Group B, rice and soybean protein; Group C, rice, bean andf ish protein; Group D, wheat protein; Group E, wheat and milk protein; Group F, wheat, milk and meat protein.<BR>After 5 weeks-feeding following results were obtained:<BR>1) An effect on growth (increase of weight) was in the order of group F, E, C and B, butthe differe nces were not statistically significant. Group A and D showed significantly lower results.<BR>2) The weights of liver of groups A and D were lower than those of the other four groups, and among latters there were no differences. The activity of liver xanthine oxidase wash ighest in group F, followed by E, C and B. Group A and D showed lowest activity. Theactivity of liver transaminase was highest in group F, followed by C, and that of group Aand D was the lowest.<BR>3) There were no differences in hemogl obin content of blood among five groups except group D, which showed an anemic state.
著者
渡辺 美智子 北 博正 万木 良平 向笠 由美 鈴木 久乃 金子 佳代子 小池 五郎 桜間 幸次 藤本 英男 井川 正治 笹渕 五夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.40-51, 1984

体重階級制スポーツ選手の試合前の急速減量は, 体力・生理学的および栄養学的に適正な方法によって生体の諸機能の低下を防ぎながら行われるべきであり, 同時に試合後の回復期においても適正な方法によって回復させることが大切であると思われる。<BR>これらの方法を見出すことを目的として, レスリングの新人選手を対象とし, 急速減量における体重調整期, 試合期および回復期の各期間にわたり, 諸調査を実施した。その結果は次のとおりであった。<BR>各栄養素の平均摂取量の概量は, 体重調整2期では, エネルギーが20kcal/kg, たんぱく質1.7g/kg, 水分20g/kg, ナトリウム2g/日, カリウム1g/日であったが, 回復期に入ると急増し, エネルギーは60kcal/kg, たんぱく質2g/kg, 水分46~73g/kg, ナトリウム5g/日, カリウム3g/日となった。<BR>試合直前に体重の10%前後を減少させた各選手は, 試合終了から翌日までにほとんど平常体重の水準まで回復したが, その後増加しすぎるものもあり, 平常体重におちつくまでに約7日間を要した。<BR>この減量に伴って, 体内窒素代謝の亢進と, それに伴う筋力などの若干の低下, 体水分脱出による血液濃縮の影響と考えられる血液性状の変化が認められた。<BR>回復期には, 体重は速やかに平常時に復したが, 窒素, カリウムの摂取量が増加したにも拘らず尿中排泄量は増加せず, 出納はかなり大幅な正に転じた。またナトリウムは, 回復期に塩分の摂取量が多くなるに伴い尿中排泄量も増加したが, 出納は正であった。しかし, 回復期1週間後においても血液性状の一部などに充分に平常値までもどっていないのではないかと思われる徴候もあった。<BR>同復期に摂った飲食物の食品構成と各栄養素の平均摂取量については大きな欠陥は見当らなかったが, 偏差が大きく, 各個人の摂り方の内容は必ずしも充分ではなかった。<BR>被検者となった選手たちは新人ではあるがいずれもかなり高い体力水準を有していることを考え合わせると, これらの結果から, 今後スポーツ選手の急速減量にあたって, 単に減量方法だけでなく, 試合終了後における体力回復の適正な方法についても検討の余地が残されているものと考える。