著者
毛利 有希子 渡辺 美智子 山内 慶太
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.19-31, 2017 (Released:2017-04-13)
参考文献数
16

医師・薬剤師がMRにどのような点を期待しているのか,またMR自身は,どのように期待されていると認識しているのか,公益財団法人MR認定センターの「MR実態調査」の回答データから潜在クラス分析を用いて双方の意識構造を抽出した。その結果,医師は,「自社医薬品の知識と人柄・マナー重視」「重視している項目なし」「全要素を幅広く重視」「人柄・マナー重視」「中立的情報提供と他施設・医療経済・症例ベースの情報重視」「自社医薬品・関連領域の中立的知識重視」に,薬剤師は,「自社医薬品の知識と迅速対応重視」「全要素を幅広く重視」「自社医薬品の中立的情報提供と人柄・マナー,迅速対応重視」「重視している項目なし」「中立的情報提供と症例ベースの情報重視」「訪問のタイミング重視」に,MRは,「全要素を幅広く重視」「人柄・マナーと迅速対応重視」「自社医薬品・関連領域の中立的知識重視」「重視されている項目なし」に大別され,各職種における意識構造の構成比も明らかになった。また,各グループを規定する要因について考察した。
著者
竹井 よう子 渡辺 美智子 福田 恭子 加納 孝恵
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.174-178, 1984-09-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
6
被引用文献数
1

鶏卵割合多く且つ口ざわりの良いクッキー調製のため,クッキーに及ぼす鶏卵の影響を卵白と卵黄に分けて,又,食塩の影響もあわせて検討した. 卵白,卵黄,無塩卵黄クッキーを,鶏卵の入らない標準クッキーと比較した. ダイナグラフによる硬さ,もろさの測定,ガスクロマトグラフによる香気濃縮物の分析及び官能検査による食味の検定から,卵白は口ざわり,香りを悪くし,好ましくないクッキーを与え,卵黄は食塩を加えなければ,口ざわり,香りを良くし,好ましいクッキーを与えるという結果が得られた.
著者
神谷 昌子 渡辺 美智子 山内 慶太
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.75-87, 2018-09-20 (Released:2018-11-05)
参考文献数
17
被引用文献数
1

目的:日本の公開医薬品副作用データベースの活用として,PMDA の医薬品副作用データベース(JADER)を使って,総合感冒剤(一般薬)の服用により有害事象を発生した症例の集団的背景とその特性を統計的分析により明らかにすることを本研究の目的とする.方法:2004 年 4 月から 2015 年 6 月までに報告された対象症例 990 例について潜在クラス分析を実施する.対象集団は複数のクラスに分類され,それぞれの集団の特性を明示する.さらに,有害事象の報告件数と薬剤別の有害事象報告件数をクラス別に集計して各々の特化係数を算出し,高い数値を示すクラスの背景と有害事象との関係性を調べる.また,同じデータでシグナル検出を実施し,特化係数から得られた結果との関連性について検討する.結果:潜在クラス分析を行った結果,集団は 3 つのクラスに分けられた.クラス 1 は全体の 53.7%を占める原疾患や服用薬を持たない人々の集まりであり, ⌈ 健康群⌋とした.このクラスに特化した有害事象はアナフィラキシー反応などの免疫系疾患であった.クラス2 は全体の 33.2%を占める自己治療に積極的な集団であり, ⌈ 自己治療志向群⌋とした.特化した有害事象は重篤な皮膚障害であった.クラス 3 は全体の 13.1%で,クラス内の 90%が 60 歳以上であり,ほぼ全員が原疾患を持ち医療用薬を服用しているため ⌈ 高年齢通院治療群⌋とした.主な有害事象は間質性肺疾患と神経系障害であった.シグナル検出でシグナルが検出された特定薬剤は,その薬剤の有害事象が最も特化して発生しているクラスに属しており,その集団の特性を特定有害事象発生の背景要因として関連付けることができた.結論:医薬品有害事象報告データベースに潜在クラス分析を適用することで,有害事象の発生とその集団的背景の関係性を明らかにすることができた.本研究は,総合感冒剤以外の医薬品についても応用が可能であり,JADER の新たな活用方法として寄与することが期待される.
著者
渡辺 美智子 山内 慶太 中島 孝 丹野 清美
出版者
特定非営利活動法人 横断型基幹科学技術研究団体連合
雑誌
横幹 (ISSN:18817610)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.4-14, 2019 (Released:2019-04-12)
参考文献数
14

We are now in a new age of improving continuously the quality and efficiency of our social living and industrial styles by new technologies such as Big Data, IoT, AI, Robotics and so on. In particular, the construction of the next generation of healthcare system towards Society 5.0 is one of the reforms which is strongly promoted by the government and the Business Federation in Japan. In this paper we give a brief introduction on features of "Data Health Reform Plans" by the Ministry of Health, Labor andWelfare, first, and we point out urgent need for developing human resources called as health data scientists who have health data analytic talents and recognize the backgrounds of health data which they treat with, for the realization of "Data Health Reform Plans". In the second half of the paper, we introduce the Health Data Scientists (HDS) Association which has newly established for the purpose of development and certification of HDS.
著者
酒折 文武 山口 和範 渡辺 美智子 田村 義保 竹内 光悦
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

サッカーや野球などのスポーツでは選手やボールのトラッキングデータが収集され、選手の走行距離やスピード、ボールに関しない選手の動きなどを評価するようになってきた。スポーツ分野におけるデータ活用の重要性は高まってきている。本研究では、こうしたデータを活用し、プレイデータや統計情報、トラッキングデータ、さらには試合映像のようなスポーツ非構造化データを用いた統計分析法の確立と実践を目指した。その結果、スパースモデリング等を用いて野球の投手の肘故障の危険やその要因をトラッキングデータから明らかにする方法、サッカーのトラッキングデータからその時に起きているアクションの自動タグ付けの方法などを提案した。
著者
酒折 文武 西村 圭一 竹内 光悦 田村 義保 深澤 弘美 渡辺 美智子 長崎 栄三
出版者
日本数学教育学会
雑誌
日本数学教育学会誌 (ISSN:0021471X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.20-28, 2010-01-01
参考文献数
15
被引用文献数
2

学習指導要領の改訂が告示され,中学校数学科に「資料の活用」領域が設けられるなど,中高において統計の内容が充実されたことで,数学教育における統計の学習のあり方に注目が集まっている.しかし同時に,新しく「活用」という視点が入った統計の学習の実践を効果的に展開するための教材および授業モデルの開発研究が喫緊の課題である.本研究では,科学技術振興機構(JST)の「初等中等教育における統計的能力の育成を目的としたデジタル教材」により,「算数・数学における資料の活用とデータ分析のための複合デジタル教材『科学の道具箱』」を開発した.その背景や概要,授業での活用方法について述べた.
著者
渡辺 美智子 北 博正 万木 良平 向笠 由美 鈴木 久乃 金子 佳代子 小池 五郎 桜間 幸次 藤本 英男 井川 正治 笹渕 五夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.40-51, 1984

体重階級制スポーツ選手の試合前の急速減量は, 体力・生理学的および栄養学的に適正な方法によって生体の諸機能の低下を防ぎながら行われるべきであり, 同時に試合後の回復期においても適正な方法によって回復させることが大切であると思われる。<BR>これらの方法を見出すことを目的として, レスリングの新人選手を対象とし, 急速減量における体重調整期, 試合期および回復期の各期間にわたり, 諸調査を実施した。その結果は次のとおりであった。<BR>各栄養素の平均摂取量の概量は, 体重調整2期では, エネルギーが20kcal/kg, たんぱく質1.7g/kg, 水分20g/kg, ナトリウム2g/日, カリウム1g/日であったが, 回復期に入ると急増し, エネルギーは60kcal/kg, たんぱく質2g/kg, 水分46~73g/kg, ナトリウム5g/日, カリウム3g/日となった。<BR>試合直前に体重の10%前後を減少させた各選手は, 試合終了から翌日までにほとんど平常体重の水準まで回復したが, その後増加しすぎるものもあり, 平常体重におちつくまでに約7日間を要した。<BR>この減量に伴って, 体内窒素代謝の亢進と, それに伴う筋力などの若干の低下, 体水分脱出による血液濃縮の影響と考えられる血液性状の変化が認められた。<BR>回復期には, 体重は速やかに平常時に復したが, 窒素, カリウムの摂取量が増加したにも拘らず尿中排泄量は増加せず, 出納はかなり大幅な正に転じた。またナトリウムは, 回復期に塩分の摂取量が多くなるに伴い尿中排泄量も増加したが, 出納は正であった。しかし, 回復期1週間後においても血液性状の一部などに充分に平常値までもどっていないのではないかと思われる徴候もあった。<BR>同復期に摂った飲食物の食品構成と各栄養素の平均摂取量については大きな欠陥は見当らなかったが, 偏差が大きく, 各個人の摂り方の内容は必ずしも充分ではなかった。<BR>被検者となった選手たちは新人ではあるがいずれもかなり高い体力水準を有していることを考え合わせると, これらの結果から, 今後スポーツ選手の急速減量にあたって, 単に減量方法だけでなく, 試合終了後における体力回復の適正な方法についても検討の余地が残されているものと考える。