著者
田村 司
出版者
群馬大学教育学部附属学校教育臨床総合センター
雑誌
群馬大学教育実践研究 (ISSN:09123911)
巻号頁・発行日
no.28, pp.21-30, 2011-03

新学習指導要領において重要視されているものの1つとして、思考力の育成が挙げられる。その思考力の根底にあるものは、数学に関する知識や技能、数学的な見方や考え方であるといえる。それらを豊かにするためには、生徒自らが何かしらの意図をもって数学の対象に働きかけることを通して、身に付けていく必要がある。本研究では思考力を育てるための1つの切り口として類比を用いることを提案している。類比の定義についてはPolya, G.の定義を用いた。その定義をもとに類比である例を提示し、そこに表れる数学的な見方や考え方、学校での数学教育との関連を考察した。その結果として、類比を用いることで理解を促進させたり、思考の経済化が期待できたりすることが分かった。また、類比を用いた思考は、学習者が既存のことをより深く見つめなおすことや、自分の知らない新しいことを見出す際に役立つことが示唆された。