著者
小田晋 作田明責任編集
出版者
新書館
巻号頁・発行日
2005
著者
簑下 成子 佐藤 親次 森田 展彰 中村 俊規 松崎 一葉 菊地 正 小田 晋
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.79-86, 1997-04-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
41
被引用文献数
5 6

本研究は精神障害者の表情認知特性を明らかにするためのテストツールを開発することを目的とする. 対人感情を含んだ微妙な感情を表現し, 同時に信頼性のある実験モデルとして有効と思われる能面を表情刺激画像として用いた. まず, 31名の被験者に, いろいろな向きの能面画像18枚のスライド写真を呈示し, その表情が表していると思われる感情について自由記述させた. 得られた感情表現をもとにして, 39の感情表現を尺度として抽出した. 次に, 被験者26名に, 得られた感情表現を尺度として, 能面を上下方向に変化させた8枚のスライド写真について, 4段階評定させた. 因子分析の結果, 能面の角度を変化させることによって表情認知の測定ができることが明らかになり, 能面から知覚される感情は8因子からなることが明らかになつた.
著者
小田 晋
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.1083-1090, 1971-11
著者
小田 晋
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.145-152, 1964-02-15

I.はじめに 現代の日本での宗教と精神障害の病態との関係を考えてゆくこころみの一つとして仏教のなかで,日蓮宗の一分派に属するN-S宗派(仮称)の信者に属する精神障害者の病態について,宗教精神病理学的な考察を加えてみた。N-S宗派は仏教分派としては特殊の存在である。その信者が増大し,組織が拡大してきたのは近年であるが,実は日蓮以来の伝統をもち,日蓮宗系教団のなかで教義の正統性と純粋性をもつとも頑強に主張する宗派と結びついた一つの宗教団体なのであつて,現在の形態での団体として発足したのは1930年である。つまり,N-S宗派は大衆的な,新興の宗教団体ではあるが,一方,富士大石寺を本山とする日蓮宗の一派と相互に提携するという形をとつており,小口および佐木の記述をかりると,現代大衆社会における新興の,大衆的な宗教であるという意味では新興宗教であるが,既成教団と密接に結びつき,教学をおもんじて,教祖が生神様として扱われることがなく,神がかり(シャマニズム)の傾向がないという点では一般の新興宗教とは違つたものであるとされる。 本宗派はその信仰の組織,形態および教義のはつきりしていることによつて,戦後とくにいちじるしい発展をとげている。 現在,信者の数は約300万世帯と公称され,その社会的な活動力,政治的影響力で社会的な注目をあびているものである。ここでこの宗派をとりあげた一つの理由は,この宗派のもつ特殊な性格から伝統的宗教と,新興宗教の両者のもつ比較宗教心理学的な特徴に出会うことができるだろうということ,さらに最近2年間にこの宗派に属する患者で精神病院に入院するものが,その病態のもつ一種の特性とまとまりによつて,注目をひいたことがあげられる。 ここでは,最近2年間に東京,神奈川の5ヵ所の精神病院に入院した同宗派信者のうち宗教に関連した病態をもつもの2例について,病態と信仰のあいだの関連を考察したのである。