著者
和田 誠 古賀 聖治 野村 大樹 小達 恒夫 福地 光男 Makoto Wada Seizi Koga Daiki Nomura Tsuneo Odate Mitsuo Fukuchi
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.271-278, 2011-11-30

2009年に就航した新「しらせ」には,改造した20 ftコンテナを船上実験室として搭載するスペースが確保された.第51次日本南極地域観測隊では,このコンテナ実験室の内部に大気中の硫化ジメチル濃度を測定するためのプロトン移動反応質量分析計を収納し,観測を実施した.本稿では,コンテナ実験室の概要と今後改良すべき点等について報告する.
著者
岩見 哲夫 谷村 篤 茂木 正人 小達 恒夫
巻号頁・発行日
2013-11-12

第4回極域科学シンポジウム個別セッション:[OB] 生物圏11月12日(火) 国立国語研究所 2階講堂
著者
工藤 栄 伊倉 千絵 高橋 晃周 西川 淳 石川 輝 鷲山 直樹 平譯 亨 小達 恒夫 渡辺 研太郎 福地 光男
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.279-296, 2002-03

第39次および第40次日本南極地域観測隊夏期行動期間中(それぞれ1997年12月4日∿12月13日及び, 1998年2月15日∿3月19日と1998年12月3日∿12月20日及び1999年2月24日∿3月19日), 南大洋インド洋区で南極観測船「しらせ」の航路に沿って表層海水をポンプ連続揚水し, プランクトンネットで3∿8時間濾過して動物プランクトン試料を得た。動物プランクトンの湿重量測定を行い, 航路に沿って現存量を整理した。連続試料採取したにもかかわらず, 隣接した試料間においても現存量の変動は大きく, 動物プランクトンの不均一分布が伺えた。動物プランクトン現存量は「しらせ」南下時に顕著に認められる海洋前線通過時にしばしばきわだって大きくなり, その前後の海域で得られた値との格差は際立っていた。これら海洋前線では水温・塩分変動が大きく, 南大洋インド洋海区を四つの海域(亜熱帯海域, 亜南極海域, 極前線海域, 南極海域)に区切っている。2回の航海で得た現存量の平均値を比較したところ, 高緯度海域ほど平均値が大きくなる傾向があり, 南極海域で最大となった。南極海域の内でもプリッツ湾沖から東方にかけての海域(東経70-110°)で現存量が大きく, これまでの停船観測結果で推察されていた同海域の生物生産性が高いことに呼応する現象と考えられた。また, リュツォ・ホルム湾沖からアムンゼン湾沖の大陸近くの航行時に得られた現存量は, より沖合部を航行する東経110-150°間に得られた値よりも1/2程小さなものであり, さらに, 東経110°以東において大陸沿岸よりを航行したJARE-39とやや沖合いを航行したJARE-40で得られたデータ間でも前者の現存量が小さく, これらから南極海域では表層水中の動物プランクトン量が生物生産期間がより短くなると考えられる沿岸部ほど小さいことが推察された。今回表層水中で連続試料採取して得られた動物プランクトン湿重量値は, 過去四半世紀間に停船観測において同海域で主にプランクトンネット採集によって得られた値と大きくは異なってはいなかった。動物プランクトン分布の正確な測定のためには動物プランクトンの鉛直分布特性など考慮する必要があるが, 海域ごとの空間分布特性や海域内での変動性などの研究には今回のようなポンプ揚水による試料採集でも適用可能な部分が多く, その研究実施方法の容易さを考慮すると今後の長期的な動物プランクトンモニタリングなどに適した手法と思われた。
著者
谷村 篤 岡 信和 川口 創 西川 淳 高橋 邦夫 真壁 竜介 Hosie Graham 小達 恒夫 Atsushi Tanimura Nobukazu Oka So Kawaguchi Jun Nishikawa Kunio T. Takahashi Ryusuke Makabe Graham Hosie Tsuneo Odate
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-8, 2008-03

2002年及び2003年の南極海の夏季,東部インド洋区のウイルクスランド沖の東経140度線上において,白鳳丸及びタンガロアによる3回の調査航海によって行われたRMT-8(目合: 4.5mm, 開口面積: 8m3)ネット採集によって得られた標本に基づいて,大型動物プランクトン群集構造を調べた.クラスター解析の結果,大型動物プランクトン群集は,南極周極流の南縁(SB-ACC: Southern Boundary of the Antarctic Circumpolar Current)で大きく二つの群集に分けられた.すなわち,SB-ACCの北方では大型動物プランクトン群集は,Salpa thompsoni, Euphausia frigida及びThemisto gaudichaudiiなどのoceanic communityが卓越していた.一方,SB-ACCの南方ではEuphausia superba及びEuphausia crystallorophiasなど大陸寄りに主分布域をもつ動物プランクトンが卓越していた.SB-ACCは,南極海の上記の主要な大型動物プランクトン種の出現の差によって特徴付けられることが示唆された.
著者
小達 恒夫 野元掘 隆 宮岡 宏 Tsuneo Odate Takashi Nomotobori Hiroshi Miyaoka
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.251-290, 2008-07-30

第48次南極地域観測隊夏期行動の概要を報告する.第48次隊は総勢62名で構成され,このうち越冬隊は35名,夏隊は27名であった.他に同行者として,南極観測船「しらせ」で行動した4名,ドームふじ基地において行動した2名,日独共同航空機観測を行った11名,及び航空機により昭和基地へ入り湖沼生態調査を行った3名が参加した.「しらせ」は2006年11月14日に晴海を出港し,また,観測隊本隊は11月28日に航空機で出発し,西オーストラリアのフリーマントルで「しらせ」に乗船した.「しらせ」は12月3日に同地を出港し,海洋観測を実施しつつ12月16日に氷縁に到着した.12月19日に昭和基地第1便が飛び,2007年2月16日の最終便までの間に,第48次越冬隊成立に必要な物資約1000 tの輸送と越冬隊員の交代を滞りなく完遂した.沿岸露岩の湖沼域の生態学的調査,氷河地形調査,地震観測,氷・水・土壌・生物等の試料採集,内陸での気象,電波,GPS等の無人観測などの夏期観測調査はほぼ予定通り実施できた.設営系では,昭和基地夏作業として予定された基地建物,施設の新設や改修工事はすべて実施した.特に,昭和基地クリーンアップ4カ年計画の3年目として,主に第47次隊が用意した200 tを上回る廃棄物を持ち帰り,また島内一斉清掃によって飛散していた廃棄物の回収に努めた.往復の航路上では,海洋観測を実施し,シドニーに3月21日に到着,観測隊は航空機で3月28日に帰国した.一方,ドームふじ基地支隊は11月5日に成田を出発し,ケープタウンからDROMLANチャーター機により,ノボラザレフスカヤを経由して12月3日に「ARP2」地点で第47次隊と合流した.その後,雪上車でドームふじ基地に12月12日に到着した.ここで,第47次越冬隊と協力して,1月26日までに3025.22 mの掘削に成功したのち,航空機により2月20日に帰国した.また,日独共同航空機観測に参加した夏隊1名は,12月3日に成田空港から出国した.ケープタウンからDROMLANチャーター機により,ノボラザレフスカヤを経由して12月8日にノイマイヤ基地へ到着した.同基地付近での航空機観測を実施した後,1月6日にはS17航空拠点へ移動し,昭和基地付近での航空機観測を実施した.1月27日にS17を離れ,2月8日帰国した.
著者
櫻井 久惠 佐野 雅美 高橋 邦夫 真壁 竜介 小達 恒夫
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.19-23, 2020-02-25 (Released:2020-02-28)
参考文献数
9

Using plankton sampled from the Southern Ocean and archived at the National Institute of Polar Research (NIPR, Tokyo), we prepared resin-embedded plankton specimens as a marine education material. This form of preservation allows one to observe the specimens’ appearance in multiple aspects with the naked eye. In addition, resin-embedded specimens are solid, robust and lightweight, and so can be easily transported and handled. Moreover, such specimens can be used for observations of fine structure, which has various advantages as a learning material for graduate students and young scientists. As of October 2019, we produced 210 individual pieces, comprising 52 species of marine plankton in 12 major groups. The specimens have so far been used at various locations and events, such as the “Open House” and the “Polar Science Museum” of the NIPR, for display at the GRAntarctic booth of the JpGU, at junior high school classes, and in science cafes. Plankton are important organisms for understanding marine ecosystems, yet social awareness of this assemblage of organisms is often poor. Therefore, we intend to improve and increase our production of resin-embedded marine plankton specimens. Resin-embedded specimens are now registered in the ‘Database of Animal Specimens from Polar Regions’ of the NIPR. We expect that this type of preserved material will make a valuable contribution to marine education, at the primary- to graduate-school levels as well as for the general public.
著者
和田 誠 古賀 聖治 野村 大樹 小達 恒夫 福地 光男
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.271-278, 2011-11-30

2009年に就航した新「しらせ」には,改造した20 ftコンテナを船上実験室として搭載するスペースが確保された.第51次日本南極地域観測隊では,このコンテナ実験室の内部に大気中の硫化ジメチル濃度を測定するためのプロトン移動反応質量分析計を収納し,観測を実施した.本稿では,コンテナ実験室の概要と今後改良すべき点等について報告する.
著者
小達 恒夫 石沢 賢二
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.108-129, 2010-03-30

第50次南極地域観測隊夏期行動の概要を報告する.第50次隊は総勢46名で構成され,このうち越冬隊は28名,夏隊は18名であった.他に夏隊同行者として,1名が参加した.昭和基地方面で夏期行動を展開した第50次観測隊本隊は,オーストラリアの観測船「オーロラ・オーストラリス」を活用した.観測隊本隊は12月25日に航空機で出発し,西オーストラリアのフリーマントルで「オーロラ・オーストラリス」に乗船した.「オーロラ・オーストラリス」は12月30日に同地を出港し,海洋観測を実施しつつ1月12日に氷縁に到着した.1月13日に昭和基地第1便が飛び,2009年2月2日の最終便までの間に,第50次越冬隊成立に必要な物資(91.8トン)の輸送と越冬隊員の交代を完了した.この期間の観測計画では,「オーロラ・オーストラリス」船上において氷海内の海洋観測を実施した.昭和基地における設営計画では,「しらせ」後継船就航に伴う輸送システムの整備として,道路整備工事,ヘリポート待機小屋建設等を実施した.往復の航路上では,海洋観測を実施し,ホバートに2月20日に到着,観測隊は航空機で2月24日に帰国した.一方,航空機により南極へ入りセール・ロンダーネ山地へ向かった隊は11月16日に成田を出発し,DROMLANチャーター機により,11月23日,プリンセスエリザベス基地(ベルギー)に到着した.同隊は,セール・ロンダーネ山地の西部で野外調査を実施した後,2月11日にケープタウンに戻り,2月17日に成田空港へ到着した.
著者
小達 恒夫 野元掘 隆 宮岡 宏
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.251-290, 2008-07-30

第48次南極地域観測隊夏期行動の概要を報告する.第48次隊は総勢62名で構成され,このうち越冬隊は35名,夏隊は27名であった.他に同行者として,南極観測船「しらせ」で行動した4名,ドームふじ基地において行動した2名,日独共同航空機観測を行った11名,及び航空機により昭和基地へ入り湖沼生態調査を行った3名が参加した.「しらせ」は2006年11月14日に晴海を出港し,また,観測隊本隊は11月28日に航空機で出発し,西オーストラリアのフリーマントルで「しらせ」に乗船した.「しらせ」は12月3日に同地を出港し,海洋観測を実施しつつ12月16日に氷縁に到着した.12月19日に昭和基地第1便が飛び,2007年2月16日の最終便までの間に,第48次越冬隊成立に必要な物資約1000 tの輸送と越冬隊員の交代を滞りなく完遂した.沿岸露岩の湖沼域の生態学的調査,氷河地形調査,地震観測,氷・水・土壌・生物等の試料採集,内陸での気象,電波,GPS等の無人観測などの夏期観測調査はほぼ予定通り実施できた.設営系では,昭和基地夏作業として予定された基地建物,施設の新設や改修工事はすべて実施した.特に,昭和基地クリーンアップ4カ年計画の3年目として,主に第47次隊が用意した200 tを上回る廃棄物を持ち帰り,また島内一斉清掃によって飛散していた廃棄物の回収に努めた.往復の航路上では,海洋観測を実施し,シドニーに3月21日に到着,観測隊は航空機で3月28日に帰国した.一方,ドームふじ基地支隊は11月5日に成田を出発し,ケープタウンからDROMLANチャーター機により,ノボラザレフスカヤを経由して12月3日に「ARP2」地点で第47次隊と合流した.その後,雪上車でドームふじ基地に12月12日に到着した.ここで,第47次越冬隊と協力して,1月26日までに3025.22 mの掘削に成功したのち,航空機により2月20日に帰国した.また,日独共同航空機観測に参加した夏隊1名は,12月3日に成田空港から出国した.ケープタウンからDROMLANチャーター機により,ノボラザレフスカヤを経由して12月8日にノイマイヤ基地へ到着した.同基地付近での航空機観測を実施した後,1月6日にはS17航空拠点へ移動し,昭和基地付近での航空機観測を実施した.1月27日にS17を離れ,2月8日帰国した.