著者
谷沢 智史 中川 晋吾 金指 文明 西村 一彦 長久 勝 横山 重俊 吉岡 信和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.492, pp.161-165, 2014-03-13

国立情報学研究所では仮想マシン貸し出し型のプライベートクラウドedubase Cloudや,物理マシン貸し出し型のプラィベートクラウドの開発,運用を行なっており,さらに,新たにインタークラウド基盤プロトタイプの開発を行い,試験運用を開始している.我々はクラウド運用を効率化するため,編集可能な広大な「マップ」アプローチを提案し,実運用に適用した.この適用事例について報告し,よりよいマップを作るための支援機構について提案する.
著者
吉岡 信和 田辺 良則 田原 康之 長谷川 哲夫 磯部 祥尚
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.4_40-4_65, 2014-10-24 (Released:2014-12-24)

機器の高速化やネットワークの発展に伴い,多数の機器やコンポーネントを連携させ,高度な機能を提供する並行分散システムが一般的になってきている.そのようなシステムでは,振舞いの可能性が膨大であり,従来のレビューやシミュレーションで設計の振舞いの正しさを保証することは困難である.それに対して,網羅的にかつ自動的に振舞いに関する性質を調べるモデル検査技術が注目されている.本稿では,モデル検査技術の背景と5つの代表的なモデル検査ツールを紹介し,その応用事例や最新の研究動向を解説する.
著者
吉岡 信和
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.1134-1139, 2011-08-15

セキュリティの考慮には専門的知識が必要であり,一般のエンジニアが安全なソフトウェアを開発するのは難しい.個々のセキュリティ機能がいかに安全に作られていても,その設定や使い方が間違っている場合,それがシステムの脆弱性になってしまう.そこを攻撃され,重要な情報が漏洩してしまう可能性があるため,セキュリティは注意深く開発する必要がある.そこで,セキュリティの専門知識を整理し,セキュリティの正しい再利用を促進するためのソフトウェアパターンとして,セキュリティパターンが注目されている.本稿では,セキュリティパターンの技術の研究動向と,今後のセキュリティパターンの展望を解説する.
著者
石川 冬樹 今井 健男 丸山 宏 吉岡 信和
雑誌
ウィンターワークショップ2018・イン・宮島 論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1-3, 2018-01-11

近年の深層学習を軸とした機械学習の発展に伴い,機械学習を利用するソフトウェアは急速に社会に浸透しつつある.しかしその一方で,従来型のソフトウェア工学は機械学習の前に全くと言っていいほど通用していない.機械学習ソフトウェアの開発 ・ テスト ・ 運用の方法論は未だに確立できておらず,開発現場では試行錯誤に依っている状況である.この現状を踏まえ,機械学習ソフトウェアに対しては 「機械学習工学」 ともいうべき,新たなパラダイムの確立 ・ 体系化が必要である.以上の認識に立って,本セッションでは,機械学習エンジニア,ソフトウェアエンジニア双方の立場から,機械学習システムに対する問題提起や研究報告,参加者からの取り組み,あるいはこれから取り組んでみたいという思いについて議論したい.
著者
中川 博之 吉岡 信和 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.2551-2565, 2007-08-15
参考文献数
27

近年,高度で複雑化するソフトウェアを実現する手段としてマルチエージェントシステムが注目されている.マルチエージェントシステムは複数のエージェントを構成要素として持つことから,一般のソフトウェアと比較してシステム分析・設計も難しく,多くのモデル構築方法論が提案されている.しかしながら,いずれの既存方法論も要求モデルとの乖離が大きいために分析モデルの構築が困難であり,結果,システム構築の大きな障壁となっている.そこで本論文では,要求工学の分野で成果をあげているゴール指向要求分析法KAOS を拡張利用した分析モデル構築法IMPULSE を提案する.IMPULSE を用いることで,要求モデルを利用した分析モデル構築プロセスが明確化され,分析モデル構築の難しさが解消される.Agent technology offers a solution for producing complex software systems characterized by autonomous behavior and a high degree of distribution, however, development of multi-agent systems (MAS) needs a more feasible methodology for requirements analysis because of the difficulty in generating an analysis model. The purpose of this study is to reduce the gap between the requirement analysis and analysis phases of developing multi-agent systems. This paper describes the IMPULSE methodology, which utilizes the KAOS, goal-oriented analysis method as a requirement analysis method, and provides developers with a tool for model translation into an analysis model of multi-agent systems. This paper also shows the result of evaluating IMPULSE through analysis experiments. IMPULSE enables simple and effective development of multi-agent systems.
著者
NancyR.Mead 吉岡 信和
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.193-197, 2009-03-15

会社などの組織の中で,セキュリティ要求を効率よく獲得し,規定するためには,一般の要求工学の場合と同様,そのための手順(プロセス)を定め,それに従って進めることが有効である.特にセキュリティの場合,システムを利用する直接的なユーザのみならず,システムの運用者や,システムを導入する企業のビジネス戦略や扱う顧客情報の取り扱いを決定する経営陣など,非常に多くの利害関係者(ステークホルダ)が存在し,それぞれの権限,文化を考慮して進める必要があり,特にプロセスが重要になる.SQUARE(Security Quality Requirements Engineering:セキュリティ品質要求工学)は,セキュリティに関するシステムの品質を高めるために定められたプロセスモデルである.本稿では,そのプロセスの詳細とSQUAREに関する活動に関して解説する.
著者
吉岡 信和 大久保 隆夫 宗藤 誠治
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.3_43-3_60, 2011-07-26 (Released:2011-09-26)

不特定多数が接続するインターネットが普及し,その上でのサービスが企業や個人にとって非常に重要な位置を占めるようになってきている.社会から見てサービスの利便性が向上している反面,悪意のある攻撃による社会への被害も増えてきており,サービスをセキュアに提供することが必須になってきている.しかし,セキュリティに関して考慮すべきことは多く,サービスをセキュアに提供することは容易ではない.本論文では,セキュリティの課題を整理し,その課題が,ソフトウェア技術によってどのように解決できるかを紹介する.そして,未解決な課題がどこにあるかを整理し,今後の研究の方向性を考察する.
著者
谷村 篤 岡 信和 川口 創 西川 淳 高橋 邦夫 真壁 竜介 Hosie Graham 小達 恒夫 Atsushi Tanimura Nobukazu Oka So Kawaguchi Jun Nishikawa Kunio T. Takahashi Ryusuke Makabe Graham Hosie Tsuneo Odate
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-8, 2008-03

2002年及び2003年の南極海の夏季,東部インド洋区のウイルクスランド沖の東経140度線上において,白鳳丸及びタンガロアによる3回の調査航海によって行われたRMT-8(目合: 4.5mm, 開口面積: 8m3)ネット採集によって得られた標本に基づいて,大型動物プランクトン群集構造を調べた.クラスター解析の結果,大型動物プランクトン群集は,南極周極流の南縁(SB-ACC: Southern Boundary of the Antarctic Circumpolar Current)で大きく二つの群集に分けられた.すなわち,SB-ACCの北方では大型動物プランクトン群集は,Salpa thompsoni, Euphausia frigida及びThemisto gaudichaudiiなどのoceanic communityが卓越していた.一方,SB-ACCの南方ではEuphausia superba及びEuphausia crystallorophiasなど大陸寄りに主分布域をもつ動物プランクトンが卓越していた.SB-ACCは,南極海の上記の主要な大型動物プランクトン種の出現の差によって特徴付けられることが示唆された.
著者
末永 俊一郎 馬場 雪乃 土肥 拓生 吉岡 信和
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.3K4OS20b5, 2015

<p>クラウドソーシングには,ソフトウェア開発の短期化・低コスト化を実現する可能性がある.一方,ケーススタディにおいて様々な課題が指摘されている.既存研究の適用では解決が困難な課題がある.本発表では,課題をプロジェクトマネジメントで要求される技術に基づき整理し,クラウドソーシングを利用したソフトウェア開発に向けたリサーチクエスチョンを抽出する.</p>
著者
横山 重俊 桑田 喜隆 吉岡 信和
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.688-698, 2013-02-15

クラウドコンピューティング技術は運用性,高信頼性,計算効率,柔軟性の高さにより,大学や研究機関など学術界でも活用が期待されている.本稿では教育および研究用途に特化したアカデミッククラウドのアーキテクチャについて提案する.従来技術と異なり,この研究の新規性である提案アーキテクチャの特徴は,研究グループや教育プログラムごとに,オンデマンドで物理マシンクラスタのセキュアに分離した形で構築し,その上にそれぞれの目的に合ったクラウド基盤(IaaS/PaaS/SaaS)を高速自動構築できるクラスタ提供をサービス化したCluster as a Service(CaaS)と,地理的に分散するそれらクラスタから統一的に利用可能なインタークラウドストレージサービスを学認認証により統合し,今後の地域分散型のアカデミックコミュニティクラウド構築に活用することを考慮したことである.本アーキテクチャの適用により,地域分散型のアカデミックコミュニティクラウドがヘテロなクラウド基盤で構成された場合でも物理マシンレベルから動的にクラウド基盤を構成することで,たとえば,災害時にはCaaSを用い,迅速に非常用クラスタを用意し,その上に通常時に使っているクラウド基盤を構築した後,インタークラウドストレージサービス内に保存している管理情報やマシンイメージをリストアすることで教育および研究活動の継続が可能となる.また,平常時においても,不足しているコンピュートリソースをCaaSによりオンデマンドで既存のクラスタに組み込むことができる.このことで,アカデミックコミュニティ全体でのリソース使用効率の向上に寄与する.
著者
吉岡 信和
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.1134-1139, 2011-08-15
被引用文献数
1

セキュリティの考慮には専門的知識が必要であり,一般のエンジニアが安全なソフトウェアを開発するのは難しい.個々のセキュリティ機能がいかに安全に作られていても,その設定や使い方が間違っている場合,それがシステムの脆弱性になってしまう.そこを攻撃され,重要な情報が漏洩してしまう可能性があるため,セキュリティは注意深く開発する必要がある.そこで,セキュリティの専門知識を整理し,セキュリティの正しい再利用を促進するためのソフトウェアパターンとして,セキュリティパターンが注目されている.本稿では,セキュリティパターンの技術の研究動向と,今後のセキュリティパターンの展望を解説する.
著者
鷲崎 弘宜 夏 天 鎌田 夏実 大久保 隆夫 小形 真平 海谷 治彦 加藤 岳久 鹿糠 秀行 田中 昂文 櫨山 淳雄 山本 暖 吉岡 信和 吉野 雅之
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2018-SE-198, no.25, pp.1-7, 2018-03-02

セキュリティパターンとは,セキュアなソフトウェアシステムの開発運用における特定の文脈上で繰り返されるセキュリティに関する問題と解決を一定の抽象度でまとめたものである.1990 年代後半からこれまでに 500 近くのセキュリティパターンの特定と蓄積,共有がなされている.それに伴い,それらの適用や抽出といった技術研究も進められているが,その傾向や全体像,技術的課題および展望は明らかではない.そこで我々は最初に,セキュリティパターン研究を分類整理する際の基本的な用語間の関係を整理した概念モデルを提案する.さらに我々は同モデルに基づいた研究の分類体系 (タクソノミ) を提案し,同分類体系に基づき 200 を超える文献の内容を分類した結果を報告する.
著者
鄭 顕志 中川 博之 川俣 洋次郎 吉岡 信和 深澤 良彰 本位田 真一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.4_121-4_132, 2008-10-28 (Released:2008-11-30)
被引用文献数
1

ユビキタスコンピューティングにおけるアプリケーションは,実世界の状態を把握し,ユーザに対してより積極的なサポートを行わなければならない.このようなアプリケーションを効率良く開発するためには,従来とは異なる新たなアプリケーション開発手法が必要となり,数多くの研究が行われている.本論文では,ユビキタスコンピューティングにおける,アプリケーション開発手法に関する研究動向を調査し,傾向と問題点を整理する.
著者
本位田 真一 深澤 良彰 吉岡 信和 石川 冬樹 鄭 顕志
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

次世代のソフトウェアであるユビキタスサービスの基盤インフラとなる,オープン無線センサーネットワーク構築のためのミドルウェアを研究開発し,公開した.本ミドルウェアを利用することで,長期にわたって安定運用が可能な無線センサーネットワークを構築することが可能となる.
著者
石川 冬樹 田原 康之 吉岡 信和 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.1614-1629, 2004-06-15

連携プロセスを手軽に,プラットフォームに依存しない形で記述するBPEL(Business Process Execution Language for Web Services)のように,分散コンポーネントの動的な連携のためのWebサービス技術への取り組みがさかんに行われている.Webサービス連携は今後,無線接続されたモバイルデバイスで構成されるようなパーベイシブネットワーク等様々な環境に適用されていくと考えられる.しかしそのような環境においては,比較的低速で不安定な無線通信路等の資源制約の問題に対処する必要がある.本研究ではこの問題に対しモバイルエージェント技術を適用し,Webサービス連携を行うモバイルエージェントの動作記述のための枠組みを提案する.この枠組みでは,連携ロジックをBPELを用いて記述し,それに対し移動およびクローニングというモバイルエージェントの物理的なビヘイビアをルール記述として付加する.この分離により,BPEL記述を変更することなしに環境条件に応じて物理的な振舞いを追加したり変更したりすることができる.本論文では特に,形式言語Mobile Ambientsを用いてこの枠組みの意味定義を行い,またBPELの意味論が保存されていることを示す.Research on the Web Service technologies for dynamic integration of distributed components has recently commenced, including BPEL (Business Process Execution Language for Web Services) for specifying an integration process easily and platform-independently. Web Services integration is to be applied in various environments, for example, pervasive networks with wireless mobile devices. However, in such environments it is necessary to deal with constraints in resources, such as the relative narrowness and instability of wireless connections. This work adopts the mobile agent technology in response to this problem and presents a framework for description of agents' behaviors for integration. In this framework, the integration logic is described using BPEL, and physical behaviors of mobile agents, including migration and cloning, are added to the BPEL description as simple rules. This separation makes it possible to add or change physical behaviors according to environmental conditions without modification of the BPEL description. This paper especially concentrates on formal definition of the semantics of our framework using a formal language, Mobile Ambients, and proves preservation of the BPEL semantics.
著者
土肥 拓生 吉岡 信和 田原 康之 本位田 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.1299-1311, 2005-09-01

近年, ネットワークの拡大に伴い情報の流通速度の高速化が進んでいる. それに伴いソフトウェアが扱うべきデータも大量・複雑になり, 環境の変化に対する変更も頻繁に生じるようになってきている. そのため, すべてを人間が把握した上で処理することは難しくなり, それを補うために自律性・協調性などの人間的な要素がソフトウェアにも求められるようになる. そして, マルチエージェントシステムはこのようなソフトウェアに対する解決策の一つとなる. マルチエージェントシステムにおいて重要な要素の一つは協調性, すなわち, インタラクションである. しかしながら, 既存の実装言語では表現力が不足しており, インタラクションの設計と実装の隔たりが大きい. そこで, 本論文では, インタラクションを実装するために必要な要素を検証するとともに, その理念に基づいて設計したインタラクション記述言語IOM/Tを提案する. IOM/Tを用いることにより, 設計をもとにインタラクションを開発することが容易になる.