著者
岩見 哲夫 谷村 篤 茂木 正人 小達 恒夫
巻号頁・発行日
2013-11-12

第4回極域科学シンポジウム個別セッション:[OB] 生物圏11月12日(火) 国立国語研究所 2階講堂
著者
谷村 篤 岡 信和 川口 創 西川 淳 高橋 邦夫 真壁 竜介 Hosie Graham 小達 恒夫 Atsushi Tanimura Nobukazu Oka So Kawaguchi Jun Nishikawa Kunio T. Takahashi Ryusuke Makabe Graham Hosie Tsuneo Odate
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-8, 2008-03

2002年及び2003年の南極海の夏季,東部インド洋区のウイルクスランド沖の東経140度線上において,白鳳丸及びタンガロアによる3回の調査航海によって行われたRMT-8(目合: 4.5mm, 開口面積: 8m3)ネット採集によって得られた標本に基づいて,大型動物プランクトン群集構造を調べた.クラスター解析の結果,大型動物プランクトン群集は,南極周極流の南縁(SB-ACC: Southern Boundary of the Antarctic Circumpolar Current)で大きく二つの群集に分けられた.すなわち,SB-ACCの北方では大型動物プランクトン群集は,Salpa thompsoni, Euphausia frigida及びThemisto gaudichaudiiなどのoceanic communityが卓越していた.一方,SB-ACCの南方ではEuphausia superba及びEuphausia crystallorophiasなど大陸寄りに主分布域をもつ動物プランクトンが卓越していた.SB-ACCは,南極海の上記の主要な大型動物プランクトン種の出現の差によって特徴付けられることが示唆された.
著者
内藤 靖彦 ELVEBAKK Arv WIELGOLASKI フランスエミル 和田 直也 綿貫 豊 小泉 博 中坪 孝之 佐々木 洋 柏谷 博之 WASSMANN Pau BROCHMANN Ch 沖津 進 谷村 篤 伊野 良夫 小島 覚 吉田 勝一 増沢 武弘 工藤 栄 大山 佳邦 神田 啓史 福地 光男 WHARTON Robe MITCHELL Bra BROCHMANN Chirstian ARVE Elvebak WIELGOLASKI フランス.エミル 伊村 智
出版者
国立極地研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

北極の氷河末端域における生態系の変動は温暖化に強く関連するといわれているがあまり研究はなされていない。とくに今後、北極は4〜5℃の上昇が予測されているので調査の緊急性も高い。本研究では3年間にわたり(1)植生及び環境条件の解明、(2)繁殖過程の解明、(3)土壌呼吸と温度特性の解明、(4)土壌節足動物の分布の解明、(5)人工環境下での成長変化の解明を目的として調査、観測が実施された。とくに気候変動がツンドラの生態系に及ぼす影響を、遷移初期段階である氷河モレーン上に出現する動物、植物の分布、定着、生産、繁殖、移動について研究を行った。調査、観測は海洋性気候を持つスバールバル、ニーオルスンの氷河後退跡地で実施した。初年度は植生及び環境条件の解明を目的として6名の研究者を派遣した。氷河末端域のモレーン帯の植物の遷移過程の研究では、氷河末端域から約50メートル離れたモレーンに数種の蘚類が認められ、これらはパイオニア植物として考えられた。種子植物は100メートル過ぎると出現し、地衣類の出現はむしろ遅いことが明らかになった。また、遷移段階の古いチョウノスケソウ群落は立地、土壌中の窒素量の化学的特性の違いによって7個の小群落に区分された。2年度は植生と環境条件の解明を引き続き実施すると共に、遷移初期段階における植物の繁殖、土壌呼吸と温度特性、土壌節足動物の生態の解明を目的として実施された。現地に6名の研究者が派遣された。観測の成果としては昨年、予備的に実施したスゲ属の生活形と種子繁殖の観察を踏まえて、本年度はムカゴトラノオの無性繁殖過程が調査された。予測性の低い環境変動下での繁殖特性や繁殖戦略について、ムカゴの色、大きさ、冬芽の状態が環境の変化を予測できるという実装的なアプローチが試みられた。パイオニア植物といわれているムラサキユキノシタは生活型と繁殖様式について調査され、環境への適応が繁殖様式に関係しているなど新たな知見が加わった。また、氷河末端域の土壌呼吸速度は温帯域の10%、同時に測定した土壌微生物のバイオマスはアラスカの10%、日本の5%程度であることが始めて明らかにされた。土壌節足動物の分布の解明においては、一見肉眼的には裸地と見なされるモレーン帯にもダニ等の節足動物が出現し、しかも個体数においては北海道の森林よりもむしろ多いなど興味深い結果が得られた。最終年度は2年度の観測を継続する形で、6名の研究者を現地に派遣した。実施項目は氷河後退域における植生と環境調査、土壌と根茎の呼吸調査、および繁殖生態調査が実施された。観測の成果としては植生と環境調査および土壌と根茎の呼吸速度の観測では興味深い結果が得られ、すなわち、観測定点周辺のポリコンの調査では植物および土壌節足動物の多様性が大きいことと、凍上および地温に関する興味深いデータが取得された。また、土壌および根茎の呼吸速度の観測では、実験室内での制御された条件での測定を行い、温度上昇に伴って呼吸速度は指数関数的に上昇するが、5度以上の温度依存性が急に高くなり、これは温帯域のものより高かった。これらを更に検証するためにより長期的な実験が必要であるが、今後、計画を展開する上で重要なポイントとなるものと考えられる。さらに、チュウノスケソウの雪解け傾度に伴う開花フェノロジー、花の性表現、とくに高緯度地域での日光屈性、種子生産の制限要因についての調査では、生育期間の短い寒冷地での繁殖戦略の特性が明らかにされた。初年度および最終年度には、衛星による植物分布の解析し環境変動、北極植物の種多様性と種分化について、ノルウェー側の共同研究者と現地で研究打ち合わせを持った他に、日本に研究者を招聘して、情報交換を行った。最後に3年間の調査、観測の報告、成果の総とりまとめを目的として、平成9年2月27、28日に北極陸域環境についての研究小集会、北極における氷河末端域の生態系に関するワークショップが開催された。研究成果の報告、とりまとめに熱心な議論がなされた。