著者
宇川 斉志 佐藤 三久 朴 泰祐 児玉 祐悦 山口 佳樹 山本 淳二
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2015-HPC-148, no.24, pp.1-8, 2015-02-23

エクサスケールの計算機の実現にあたって文部科学省の委託研究により大量の演算器を 1 つのマスタープロセッサで制御する Extreme SIMD アーキテクチャが提案された.本稿では Extreme SIMD アーキテクチャ上で実行できるバイナリを生成するためのプログラミングモデルの一つとして Extreme SIMD 向け拡張 C について述べ,それを用いて Extreme SIMD アーキテクチャのシミュレータによる評価を行う.Extreme SIMD 向け拡張 C は PE で実行される文を SIMD 制御文で囲むだけで簡単に指定することが可能で,メモリ操作などはライブラリ関数で提供されるという特徴を持つ.2 次元のラプラス方程式の差分法による計算を実行したところローカルメモリに入りきる 4096×4096 格子の問題サイズではピーク性能に対して最大 74%と高い実効効率を示すが,入りきらない問題サイズでは実効効率が 1 割未満になるという急激な性能低下を起こすことを確認した.
著者
矢野 博明 伊藤 誠 山口 佳樹 井上 和哉 北原 格 原田 悦子 澁谷 長史
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では歩車混在空間において人および移動体それぞれが安全かつ安心して移動するために、自身の情報を発信する外向きヒューマンマシンインタフェース(外向きHMI)の評価のために、人が歩行する空間と車両が走行する空間を物理的に別々に構築し、バーチャルリアリティ技術や拡張現実感技術を用いて両者を統合するシステムを開発する。このシステムを用いて、歩車混在空間での人と移動体の間の情報のやり取りの特徴や、機械学習による行動予測に基づく外向きHMIを人や移動体に重畳してバーチャルに実装する。その時の反応や通行リスクの変化を比較することで、外向きHMIの開発・評価システムや外向きHMIの必要要件を明らかにする。
著者
丸山 裕士 山口 佳樹 児玉 祐悦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J99-D, no.6, pp.594-606, 2016-06-01

本論文では,小型組み込み機器において利用される撮像システムの利便性を高めるために,撮影された動画に生じるブレを実時間で電子的に補正する演算方式の提案とその検証を行った.この提案の特徴は,撮像素子から入力される画素を滞りなくストリーム処理する演算パイプラインを設けることで,メモリアクセス回数及び必要メモリ容量を削減したことにある.また,入力から出力までの演算レイテンシを考えたとき,既存の電子式ブレ補正は一般に2フレーム以上要求するが,本論文ではこれを1フレームに抑えている.加えて,本論文では,提案手法を小規模FPGAであるXilinx社製XC6SLX45に実装し,その実性能を定量的に評価した.FPGA上の提案回路は80 MHzで動作し,画面サイズがSVGA (800×600画素)の場合,最大120 fpsでの実時間処理が可能であった.また,1フレームあたり最大17画素のブレが周期的に発生する撮影条件下で20秒間試験しても,本実装回路は1フレームあたりのブレ量を平均0.1画素未満まで抑制できることを確認した.本提案は,回路規模がコンパクトかつ演算遅延も小さいことから,様々な他の撮像モジュールの性能拡張に広く適用できると考えられる.
著者
山口 佳樹
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

モジュール毎に分割した回路を動的かつ部分的に書き換えることで、回路量の削減および耐故障性が実現できることを確認した。対象アプリケーションにもよるが、時間方向にモジュールを分割実装することで最大40%程度の回路の削減が可能であった。また、これを利用して回路冗長性を高効率に実現することも可能となった。アプリケーションに特化した構成だけでなく、組込み用マイコンなどの一般的な回路についてもFPGAを使用して検証を行いその有効性について実証した。
著者
新井 佑介 澤井 涼 山口 佳樹 丸山 勉 安永 守利
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.436, pp.81-86, 2006-12-08
被引用文献数
1

Cell Broadband Engine (CBE)は,マルチメディアデータの高速でリアルタイムな処理を目的として開発されたプロセッサである.CBEは,汎用プロセッサコアであるPowerPC Processor Element (PPE)と,高速演算に特化したSynergistic Processor Element (SPE)の2種類のプロセッサコアを持つ,非対称マルチコアプロセッサである.CBEは,マルチメディア系の処理を想定して設計されたプロセッサであるが,その高い演算性能は,科学技術計算にも応用できると考えられる.そこで本研究では,CBEを用いて流体シミュレーションなどに応用される格子ガスオートマトン法を実装し,検証を行った.実装して得られた速度向上は,1024×1024格子規模のFHP-IIIモデルにおいて,マイクロプロセッサ(Pentium4 3.4GHz)と比較し,約20倍であった.本論文で得られた結果は,CBEが浮動小数点演算などを一切用いない計算においても高性能を実現できることを示しており,より広いアプリケーションに対して適用できる可能性について示唆している.そこで,より汎用的な利用や高い性能の実現についても考察を行う.