著者
堀洋平 斎藤尚徳 丸山勉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.1014-1031, 2004-03-15

将棋プログラムの棋力の向上のために,専用ハードウェアシステムの開発は必 要不可欠である.本研究ではシステム開発の第1段階として, Field-Programmable Gate Array(FPGA)を使用し詰 将棋の専用ハードウェアの作成を行った. FPGAはユーザ自らが回路構成を変更することのできるLSIであり,また内部に 大容量のRAMを有するため,きわめて並列度の高い演算をチップ内部で実現するこ とができる. この特長を活かし,詰将棋に適した並列・パイプラインアーキテクチャを開発 した.本研究で作成したハードウェアでは,局面情報データを複数のモジュー ルで並列に生成し,これらのデータをパイプライン処理によって指手データ へと変換することで高速な演算を可能にした.また,指手を複数のカテゴリに 分類し,これらを並列・パイプライン処理によって生成することによりさらな る高速化を実現した. 本論文では,詰将棋ハードウェアにおける指手生成の手法とアーキテクチャにつ いて述べた後,実際に問題局面を解いてハードウェアの性能について議論する.Developing dedicated hardware systems is an essential approach to improve play strength of shogi programs. To date, use of programmable devices for shogi hardware has been proposed as a feasible method to resolve the problems of high cost and long developing time of hardware implementation. To devise architecture of shogi hardware, we first implemented a tsume shogi solver on a Field-Programmable Gate Array (FPGA). With the ample hardware resource of an FPGA, we implemented highly parallelized architecture on a single chip and realized high-speed computation of tsume-shogi. In this paper, a procedure to generate moves in tsume shogi hardware and its architecture are described.
著者
小堀 大智 丸山 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.112, no.70, pp.1-6, 2012-05-22

画像セグメンテーションは画像処理において重要なステップの1つであり,グラフカットはその効果的な手法である.グラフカットを行うために,最大流計算が広く使われているが,リアルタイムで行うには計算量が非常に多い.そのため,リアルタイムでグラフカットを行うためには,ハードウェアによる最大流計算の高速化が必要である.本報告では,FPGAでの画像セグメンテーションのための最大流計算の実装手法を提案する.本システムでは,FPGA上で高性能を達成するためにpush-relabel法とgap relabelingを用いた.ベンチマークにおいて,20〜30fpsの性能を達成した.
著者
井田昌之 小方一郎 久門耕一 中島浩 日比野靖 丸山勉
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.78, pp.1-3, 1990-09-28

今回の討論会においては、討論に先だって、各パネラーの立場を明確にしていただいた。特に、「記号処理マシンは生き残れるか?」という間に対する回答を各パネラーに示していただき、それらを本討論会の基礎とすることにした。以下は、各パネラーから寄せられた回答をまとめたものである。この文章と同じ物は、討論会の10日ほど前に、あらかじめ各パネラーにお送りしてある。したがって、本討論会では相手の論点を踏まえた上での議論が展開されるであろう。また、自分の議論の弱点を補強したり相手の議論の欠点を突いたりして、さらに白熱した討論も期待できる。
著者
星野 力 丸山 勉 HUGO deGaris 徳永 幸彦 佐倉 統 池上 高志 葛岡 英明
出版者
筑波大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

本研究課題でなされた研究をいくつかのカテゴリーに分け、概要を記す。(1)自己複製・自己組織化○マシンによって書き換えられるテープと、テープによって書き換えられるマシンの共進化を研究した。(池上)○自己複製のモデルを観察し、その条件とクラス分けを行なった。(田中、津本)○生物(大腸菌、酵素)による無細胞自己増殖系を実験した。(2)群と生態、進化○魚相互間の運動が創発的に出現する観察を行ない魚群行動を調べた。(三宮、飯間、中峰)○自然界の進化の特徴である進化と共に丸くなる適応度地形を考察した。(徳永)○個体の繁殖と分散のみを仮定した人工生命的シミュレーションを行った(河田)○多重遺伝子族におけるコピー数の増加シミュレーションを行ない、種々の遺伝的冗長性を調べた。(館田)(3)中立進化と頑健性○8つの赤外近接センサーと2つの車輪からなるロボットの行動モデルにおける中立変異の爆発的発現を解析した。(星野)○ロボットの行動進化において、フラクタル性と頑健性との関係を明らかにした。未解決の難問(3階層以上の多段創発の困難)を指摘した。(佐倉)(4)その他○ニューライトネットの進化を10万ニューロンの回路を進化させることで研究した。(deGaris)○細菌の走行性を支える分子機構をシミュレーションによって再現した。(大竹、辻、加藤)○脊椎植物の力学対応進化学を確立した。(西原、松田、森沢)○所要時間最短という利己的な行動を行なうカ-ナビの設計を研究した。(星野、葛岡)○FPGA(適応的に構造を再構成するゲートアレイ)を多数並列に結合しテープとマシンの共進化モデルを長時間計算しようとしている。(丸山)
著者
田山 健一 村田 博幸 丸山 勉 宇野 浩司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム
巻号頁・発行日
vol.102, no.458, pp.21-26, 2002-11-14
被引用文献数
4

サービスを経済的に且つ迅速に提供するためには,設備を効率的に利用することと申込みからサービス提供時間の削減を可能とする業務支援システム(OSS : Operation Support System)が重要である.光アクセス設備は,光通信装置,所内光ファイバ,所外光ファイバなどの設備特性・管理形態の異なる設備から構成される.これら設備の選定・再選定の順番(プロセス)制御が必要である.本稿では,選定におけるアクセス設備の特徴を抽出し,さらにPDS(Passive Double Star)方式における多様化するスプリッタ設置形態を選定の観点から分析し,効率的な選定プロセスを導いた.また提案プロセスは,所外スプリッタ配下2回線目の選定における選定・再選定処理を大幅に削減可能であり,所外スプリッタ設置形態の設備モデルにおいて,選定処理量を30%削減できることを示した.
著者
新井 佑介 澤井 涼 山口 佳樹 丸山 勉 安永 守利
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.436, pp.81-86, 2006-12-08
被引用文献数
1

Cell Broadband Engine (CBE)は,マルチメディアデータの高速でリアルタイムな処理を目的として開発されたプロセッサである.CBEは,汎用プロセッサコアであるPowerPC Processor Element (PPE)と,高速演算に特化したSynergistic Processor Element (SPE)の2種類のプロセッサコアを持つ,非対称マルチコアプロセッサである.CBEは,マルチメディア系の処理を想定して設計されたプロセッサであるが,その高い演算性能は,科学技術計算にも応用できると考えられる.そこで本研究では,CBEを用いて流体シミュレーションなどに応用される格子ガスオートマトン法を実装し,検証を行った.実装して得られた速度向上は,1024×1024格子規模のFHP-IIIモデルにおいて,マイクロプロセッサ(Pentium4 3.4GHz)と比較し,約20倍であった.本論文で得られた結果は,CBEが浮動小数点演算などを一切用いない計算においても高性能を実現できることを示しており,より広いアプリケーションに対して適用できる可能性について示唆している.そこで,より汎用的な利用や高い性能の実現についても考察を行う.