著者
松野 栄雄 王 秀霞 宛 文涵 松井 健一郎 大川 尚子 杉山 徹 甲野 裕之 清水 昌寿 頼 精二 山口 昌夫 山口 宣夫
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.135-140, 1999 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9
被引用文献数
2

We have simultaneously proved that cell populations taking charge of immunity in human peripheral blood can be regulated quantitatively by hot spring bathing. Now, we investigated the effect of hot spring bathing qualitatively on cytokine production by lymphocyte cell in human peripheral blood estimating by cytokine containing cell by FACScan. We found a significant increase in IFN-γ containing cells after hot spring bathing and an increase in IL-4 with no statistical significance after hot spring bathing. In addition, we found significant negative relationship between the level of IFN-γ, IL-4 and IL-1β before hot spring bathing and the ratio of cytokine that increased in variation after hot spring bathing. Namely, after hot spring bathing, there was a decrease of cytokine producing cells in subjects who had higher level before hot spring bathing. But an increase in subjects who had lower level before hot spring bathing, the trend was concentrated toward average levels in the cytokine production by lymphocyte in peripheral blood. So we suggest that hot spring bathing can promote acquired immunity to make it possible more suitable as immune reaction.
著者
河﨑 寛孝 本村 千春 山田 理恵子 藤田 聡美 飯田 英子 坪川 操 山口 昌夫
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.223-232, 2008-12-31 (Released:2021-01-23)
参考文献数
15

【目的】摂食・嚥下障害患者の咽頭残留に対しては,窒息・肺炎等のリスクを軽減する為,さまざまな除去法を用いるがその効果を確認した報告は少ない.今回,市販の嚥下困難者用ゼリー(エンゲリード®アップルゼリー)を用いた交互嚥下を嚥下造影検査時に実施し,咽頭残留の除去効果について検討した.【対象と方法】対象は,粘度の異なる3種類の模擬食品(ハチミツ状,ヨーグルト状.液状)のうち,1種類以上で咽頭残留を認め,本ゼリーを摂取し交互嚥下を行った摂食・嚥下障害患者とした.咽頭残留除去効果は,模擬食品毎に,本ゼリー摂取前後の喉頭蓋谷,梨状窩残留の程度を,4段階スコア(多量残留,少量残留,付着残留,なし)にて,評価した.【結果】試験を実施した症例は28例であった(平均年齢:73.2歳,原因疾患:脳梗塞15例,脳出血7例,誤嚥性肺炎4例,その他2例). 模擬食品が大量残留し,梨状窩からの誤嚥が続いたため,試験を中止した症例が1例あった.本ゼリー摂取後,全ての模擬食品にて,喉頭蓋谷残留に対しては,60%~72%,梨状窩残留に対しては,75%~100%の症例で残留スコアの改善が得られ,統計学的有意差が認められた(Wilcoxon signed-rank test). 本ゼリーが原因と考えられる,むせ・湿性嗄声・酸素飽和度低下・発熱などの有害事象は発現せず,臨床上問題となる事例はなかった.【考察】本ゼリーを用いた交互嚥下は,粘度の異なる3種の模擬食品すべてにおいて,喉頭蓋谷および梨状窩残留の除去に高い効果を示した.このことから,本ゼリーを用いた交互嚥下は,多様な粘度をもつ嚥下調整食品の経口摂取によって生じる,咽頭残留の危険性を軽減する方法として有用であることが示唆された.
著者
上月 正博 椿原 彰夫 前田 真治 山口 昌夫 高岡 徹 永田 雅章 渡邉 修 田中 尚文 渡部 一郎
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.808-813, 2006-12-18

日本リハビリテーション医学会認定研修施設における心理関係業務の内容・臨床心理業務担当者の実態と望まれる資質に関するアンケート結果の報告と,それに基づく提言を行った.リハビリテーション(以下,リハ)診療において,臨床心理業務担当者のニーズは極めて高いことが確認された.対応疾患も脳血管障害,外傷性脳損傷,精神発達遅滞,自閉症のみならず,慢性疼痛,循環器・呼吸器疾患,骨・関節疾患,悪性腫瘍などにも及んでおり,臨床心理業務担当者がリハ関連医学(リハ概論,リハ医学など)をカリキュラムに組み込むことが必要であると考えられた.臨床心理業務担当者養成において診療現場のニーズにあったカリキュラムの導入と質の向上が,リハ診療の発展・質の向上のみならず,臨床心理業務担当者の国家資格の確立や心理関係業務に対する診療報酬のアップにもつながるものと期待される.
著者
南塚 正光 神戸 晃男 石田 睦美 清井 順子 栗岩 和彦 橋本 亮二 山口 昌夫
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20

【目的】<BR> 片脚立位は簡便なバランス指標として理学療法の評価に用いられている。また、変形性股関節症 (以下OA) 患者においてはトレンデレンブルグ現象等の異常姿勢改善の理学療法として用いられている。<BR> 今回、我々はOA患者の人工股関節全置換術(以下THA)前後における片脚立位時の重心動揺と足部の感覚や筋力との関係について調査し、若干の知見を得たので報告する。<BR>【対象と方法】<BR> 被検者は研究内容を説明し同意を得た末期OA患者、女性10名で、THAを施行し、当院クリニカルパスを適用したものとした。手術前・退院前に重心動揺計(アニマ社製G-7100)を用い、片脚立位30秒間における総軌跡長と外周面積を測定した。また、足底の二点識別覚、足趾把持筋力、足部の内側アーチ高率も測定した。二点識別覚ではノギスを用い、二点として識別できる最小距離を、踵部、小指球部、母指球部、母指部で測定した。足趾把持筋力については、(株)アイテムの協力のもと先行研究に準じて測定器を作成し、膝関節90°足関節0°位の椅子座位にて2回測定した。内側アーチ高率では、片脚立位を内側よりデジタルカメラにて撮影し、Scion Imageで解析した。また、股関節外転筋力として、ハンドヘルドダイナモメーター(アニマ社製μTasMF-01)を用いて大腿骨顆部に抵抗を加え、股関節中間位で、外転の最大随意等尺性収縮を5秒間2回測定した。統計処理ではt検定とピアソンの相関係数を用い、有意水準を5%未満とした。<BR>【結果】<BR> 重心動揺では術前より術後の方が総軌跡長は長く、外周面積は大きくなったが有意差は認められなかった。二点識別覚は術前より術後の方が踵部、母指球部、母指部では最小距離は小さく、小指球部では大きい値となったが有意差は認められなかった。足趾把持筋力、内側アーチ高率は術前より術後の方が小さい値を示したが有意差は認められなかった。股関節外転筋力については術前より術後の方が有意に増大した(p<0.05)。また、二点識別覚と総軌跡長には相関はなく、足趾把持筋力と総軌跡長では術前で負の相関を認め、術後では相関は認められなかった。<BR>【考察】<BR> 健常人を対象に行った先行研究では足趾把持筋力と片脚立位保持時間や重心動揺との相関関係が認められている。今回、術前に足趾把持筋力と総軌跡長で負の相関を認め、術後において足趾把持筋力が低下し、片脚立位時の重心動揺が増大する傾向を示したことは、前述した結果と一致した。また、術後に股関節外転筋力が有意に増大したにもかかわらず重心動揺が増大する傾向を示したのは、股関節外転筋力は片脚立位の安定に寄与しているが、足趾把持筋力も片脚立位の安定に重要な因子の一つであるということが示唆された。<BR> 今後は、さらに症例を増やし、基礎データとして検討することや片脚立位、足趾把持筋力などの評価・治療効果判定に臨床応用していきたいと考える。<BR><BR>