著者
吉野 眞理子 山鳥 重 高岡 徹
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.136-145, 1999 (Released:2006-04-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1

単語レベルで逐字読みではなく単語を全体として読むことを促すことを目ざした訓練としてフラッシュカード法に改良を加え,軽症の純粋失読症例に適用して読みの回復過程を検討した。症例は 28歳右利き男性で,左後頭葉AVM 摘出術後 2ヵ月~1年7ヵ月。MRI にて左後頭葉切除および左脳梁膨大・頭頂葉後部・側頭葉内側面の梗塞巣を認めた。神経学的には右同名性半盲,神経心理学的には,軽度の失読 (純粋失読),ごく軽度の漢字の失書,失算,言語性短期記憶障害が認められた。この訓練の結果,単語の音読時間は仮名 2~3文字語では改善を示し音読時間の短縮が非訓練語へも般化したが,4~5文字語では訓練語は改善したものの非訓練語への般化が乏しかった。一方,MOR法導入後,文章レベルの音読・読解能力の改善がなお続いた。この結果をふまえ,訓練の意義と純粋失読の回復機序について考察した。
著者
上月 正博 椿原 彰夫 前田 真治 山口 昌夫 高岡 徹 永田 雅章 渡邉 修 田中 尚文 渡部 一郎
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.808-813, 2006-12-18

日本リハビリテーション医学会認定研修施設における心理関係業務の内容・臨床心理業務担当者の実態と望まれる資質に関するアンケート結果の報告と,それに基づく提言を行った.リハビリテーション(以下,リハ)診療において,臨床心理業務担当者のニーズは極めて高いことが確認された.対応疾患も脳血管障害,外傷性脳損傷,精神発達遅滞,自閉症のみならず,慢性疼痛,循環器・呼吸器疾患,骨・関節疾患,悪性腫瘍などにも及んでおり,臨床心理業務担当者がリハ関連医学(リハ概論,リハ医学など)をカリキュラムに組み込むことが必要であると考えられた.臨床心理業務担当者養成において診療現場のニーズにあったカリキュラムの導入と質の向上が,リハ診療の発展・質の向上のみならず,臨床心理業務担当者の国家資格の確立や心理関係業務に対する診療報酬のアップにもつながるものと期待される.