著者
山口 真一
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.53-65, 2015

本稿では、近年多く発生している炎上の実態と、炎上に加担している人の属性について、実証分析によって以下6つの仮説検証を行う。①炎上件数は近年増加している。②企業に関連する炎上が多く発生している。③炎上加担者は少ない。④炎上加担者はインターネットヘビーユーザである。⑤炎上加担者は年収が少ない。⑥炎上加担者はインターネット上で非難しあって良いと考えている。<br>まず、記述統計量分析の結果、仮説①-③はいずれも支持された。つまり、近年多く炎上が発生しており、心理的・金銭的被害が出ているが、実際に炎上に加担している人は非常に少なく、具体的には約1.5%であった。また、2011年-2014年にかけての炎上件数は、いずれも年間200件程度であった。次に、計量経済学的分析の結果、炎上加担行動に対して、「男性」「年収」「子持ち」「インターネット上でいやな思いをしたことがある」「インターネット上では非難しあって良いと思う」等の変数が有意に正の影響を与えていた一方、「学歴」や「インターネット利用時間」等の変数は有意な影響を与えていなかった。このことから、仮説⑥は支持された一方で、④、⑤は棄却され、炎上加担者は社会的弱者、バカ等としている先行研究と実態が乖離していることが確認された。
著者
山口 真一
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.53-65, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
30
被引用文献数
3

本稿では、近年多く発生している炎上の実態と、炎上に加担している人の属性について、実証分析によって以下6つの仮説検証を行う。①炎上件数は近年増加している。②企業に関連する炎上が多く発生している。③炎上加担者は少ない。④炎上加担者はインターネットヘビーユーザである。⑤炎上加担者は年収が少ない。⑥炎上加担者はインターネット上で非難しあって良いと考えている。まず、記述統計量分析の結果、仮説①-③はいずれも支持された。つまり、近年多く炎上が発生しており、心理的・金銭的被害が出ているが、実際に炎上に加担している人は非常に少なく、具体的には約1.5%であった。また、2011年-2014年にかけての炎上件数は、いずれも年間200件程度であった。次に、計量経済学的分析の結果、炎上加担行動に対して、「男性」「年収」「子持ち」「インターネット上でいやな思いをしたことがある」「インターネット上では非難しあって良いと思う」等の変数が有意に正の影響を与えていた一方、「学歴」や「インターネット利用時間」等の変数は有意な影響を与えていなかった。このことから、仮説⑥は支持された一方で、④、⑤は棄却され、炎上加担者は社会的弱者、バカ等としている先行研究と実態が乖離していることが確認された。
著者
山口 真一
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.23-34, 2017 (Released:2018-01-26)
参考文献数
25

近年におけるIT技術の急速な進歩によって、コンテンツ産業において、コンテンツそのもの(あるいは一部)をフリーで提供し、それに付加価値を加えたコンテンツを有料で販売するフリー型ビジネスモデルが普及してきている。しかしその一方で、フリーで提供された無料財が有料財の代替材となってしまうという、いわゆるカニバリゼーションの問題も指摘されている。そこで本研究では、そのようなフリー型ビジネスモデルの有効性を検証するため、音楽産業における無料ネット配信が、有料財であるCDの販売数にどのような影響を与えているか、内生性に配慮した実証分析によって明らかにする。分析の結果、無料ネット配信視聴者数はCD販売数に有意に正の影響を与えており、その弾力性は約0.19であった。また、動画時間によって区別した分析を行った結果、長時間無料ネット配信では有意に正の影響が見られた一方で、短時間無料ネット配信では有意な影響がなかった。さらに、無料ネット配信を行うコンテンツの方が、行わないコンテンツよりも約13%、CD販売数が多いことが分かった。以上のことから、曲の多くの部分を公開する長時間の無料ネット配信はCD販売数を増加させるため、企業はそのような販促型フリー戦略をとるべきといえる。
著者
山口 真一
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.15-27, 2015

本研究では、コンテンツ産業におけるインターネット配信について、それらがパッケージ製品販売数に与える影響を、補完効果と代替効果という観点から理論的に整理する。そして、深夜アニメ市場の需要モデルを用いた実証分析によって、定量的な検証を行う。<br>作品をグループ、エピソードを系列とした固定効果法推定の結果、無料配信の補完効果は代替効果より大きく、パッケージ製品販売数に対して有意に正の影響を与えていた。そして、その大きさは、無料配信動画再生回数が1%増えるとパッケージ製品販売数が約0.10%増加するというものであった。また、有料配信は有意な影響を与えていなかった。このことから、少なくとも深夜アニメ市場については、インターネット配信を積極的に行うことが、生産者余剰と社会的厚生の増加に繋がることが確認された。<br>さらに、詳細な分析の結果、男性向作品では無料配信、有料配信共に有意に正の影響を与えていた一方で、女性向では共に有意な影響がなかった。そして、オリジナル作品と人気作以外では無料配信が有意に正の影響を与えていた一方で、オリジナル作品以外と人気作では無料配信も有料配信も有意な影響を与えていなかった。
著者
山口 真一 彌永 浩太郎 坂口 洋英
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.37-46, 2019 (Released:2019-07-22)
参考文献数
27

本研究では、インターネット上の口コミ投稿行動の分析を行う。分析の結果、口コミ投稿経験者は約32%にとどまった。また、回帰分析による属性検証では、投稿経験に対し、年齢が有意に負で、大卒・新聞購読・インターネット利用時間が有意に正となった。また、動機としては利他的な動機が多いという結果となった。さらに、虚偽の口コミについては、口コミ投稿経験者の約5.7%が経験しており、属性分析では年齢が有意に負で、既婚、男性が有意に正となった。また、投稿動機が「投稿自体が楽しいから」「見返りがあるから」等の利己的な人は、虚偽の口コミを投稿しやすいことが分かった。以上のことから、口コミを投稿している人はインターネット利用者の約3分の1に過ぎず、その口コミも、ある特定の属性を持った人々が投稿しやすい傾向がある。そして、虚偽の口コミは少なからずあり、特に、若い人、既婚者、男性を対象とするような製品・サービスではその傾向が強まるといえる。
著者
山口 真一
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策レビュー (ISSN:24356921)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.178-201, 2014-11-19 (Released:2020-09-05)

本研究では、インターネット上の著作権侵害による経済効果について、ゲーム産業を対象に実証分析を行う。問題意識は、著作権法違反であるゲームプレイ動画について、ゲームソフト販売本数に与える影響を理論的に整理し、その効果を定量的に分析することにある。分析では、ゲームプレイ動画のゲームソフト販売本数に対する影響を明示的に組み込んだ、ゲームソフト需要モデルを用いた。また、推定においては、観察出来ないゲームソフトの質が高いためにゲームプレイ動画再生回数が多くなり、結果的にゲームプレイ動画再生回数とゲームソフト販売本数の間に正の相関がみられるといったような、いわゆる内生性問題に対処する必要がある。そのため、操作変数を用いた2段階GMMによって推定を行い、識別を行った。操作変数には、動画投稿者の人気を表す変数を用いた。まず、外生変数のみの誘導型モデルで推定を行った結果、動画投稿者の人気を表すお気に入り登録され数は、ゲームソフト販売本数に有意に正の影響を与えていた。このことから、より人気の高い動画投稿者がゲームプレイ動画を投稿し、消費者の視聴機会が増えることは、ゲームソフト販売本数を増加させる効果があることが確認された。次に、構造型モデルで推定を行った結果、ゲームプレイ動画の再生回数は、ゲームソフト販売本数に有意に正の影響を与えており、その大きさは、再生回数が1%増えると販売本数が約0.26%増加するというものだった。さらに、ジャンル別の推定では、ノベルゲームとレースゲームを除く5つのジャンルで有意に正の影響を与えており、それら2つについても有意に負の影響は見られなかった。このことから、ゲームプレイ動画は、消費者余剰を確実に増加させることと合わせると、社会的厚生に正の影響を与えていることが確認された。以上の結果を踏まえると、ゲームプレイ動画を違法としている現在の著作権法は、社会的最適点より過剰な規制であると判断される。また、目前に迫っているTPPによって著作権侵害の非親告罪化がなされれば、ゲームプレイ動画投稿のリスクの増加、投稿の委縮に伴い、ゲームプレイ動画の持つ経済効果を失って社会的厚生を低下させる可能性がある。そこで、日本版フェアユースの導入等、より柔軟な規制の在り方を考えていく必要があるだろう。
著者
山口 真一
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策レビュー (ISSN:24356921)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.52-74, 2015-11-30 (Released:2020-09-05)
被引用文献数
1

本稿では、近年多く発生しているネット炎上の特徴と実態を、先行研究や実証分析を基に整理したうえで、名誉毀損罪の非親告罪化、制限的本人確認制度、インターネットリテラシー教育、捜査機関における炎上への理解向上といった観点から、あるべき政策的対応を考察する。実証分析の結果、以下の5点が確認された。第一に、炎上は、2011 年以降、毎年 200 件程度発生し続けている。また、それは特に Twitter で多い。第二に、「炎上に加担したことがある」人はわずか1.5%しかいない一方で、「炎上を知っている」人 は90%以上存在する。第三に、インターネット上で「非難しあってよい」と考えている人は10%程度しかいない。さらに、「非難しあってよい」と感じている確率に有意に正なのは、「炎上に加担したことがある」人のみである。第四に、インターネットを「怖いところだ」「攻撃的な人が多い」と感じている人はそれぞれ70%以上存在する。特に、炎上を知っている人は「攻撃的な人が多い」と感じている確率が有意に正となっている。第五に、若い人ほどインターネットに対して「言いたいことが言えるのがよい」「非難しあってよい」と感じている。また、以上を踏まえた政策的対応の考察では、プロバイダ責任制限法の炎上負担軽減効果と限界に触れたうえで、「①名誉棄損罪の非親告罪化」「②制限的本人確認制度の導入」「③誹謗中傷(炎上)に関するインターネットリテラシー教育の充実」「④捜査機関における炎上への理解向上」の4つを挙げた。そして、①には slippery slope の問題が、②には違憲である可能性とそもそも効果が薄いという問題があることを述べ、③と④に積極的に取り組むことを提案した。
著者
一小路 武安 勝又 壮太郎 中野 暁 山口 真一 生稲 史彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.34-48, 2022-03-20 (Released:2022-04-20)
参考文献数
53

本研究ではコミュニケーションプラットフォームアプリの製品段階ごとの戦略を検討した.Latent Dirichlet Allocationの併用状態を明らかにしたうえで,機能や用途のような属性も踏まえてアプリを整理し,同じバスケット内の補完関係を精緻化して議論を行った.結果として覇権アプリでは機能的・性質的な補完,成熟・成長アプリでは用途的補完に加えて成熟に至る過程における関係するアプリの切り替えの可能性が示された.
著者
山口 真一
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策レビュー (ISSN:24356921)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.E1-E23, 2013-10-29 (Released:2020-09-05)

本研究では、モバイルコンテンツの中でも特に、市場規模が急速に拡大しているソーシャルゲームについて、指摘されることの多い以下の4つの仮説を問題意識とし、実証分析によって定量的・定性的な検証を行う。第一に、射幸心を過度に煽り、リスク選好者を集めてそこから収益をあげている可能性。第二に、過度の依存性が課金額を高めており、そこから収益をあげている可能性。第三に、他の娯楽に比べ依存性が高く、ユーザの生活に支障をきたしている可能性。第四に、低年齢層の依存度が高く、課金額も高まっている可能性。これらを確かめるため、まず、課金額、依存度、リスク選好度、年齢を明示的に組み込んだ同時決定モデルを構築して推定を行った後、依存度とリスク選好度についてはさらに、他の娯楽との違いを記述統計によって比較調査した。実証分析の結果、ソーシャルゲームへの依存度と月次課金額の間に双方向因果関係は確認されなかった。また、年齢についても、年齢は依存度には影響を与えておらず、課金額においては可処分小遣いの要素を排除してもなお、年齢の高いユーザの方が高かった。また、リスク選好度は月次課金額と依存度に有意に正の影響を与えていたものの、比較調査においては、ソーシャルゲーム・ユーザの依存度とリスク選好度が他の娯楽と比べて特別高いということはなく、リスク選好度はむしろ低いという結果になった。以上の事から、ソーシャルゲームについて過度の政策的規制は必要がなく、むしろ社会的厚生を下げる懸念がある。また、社会通念的に問題ない産業であるならば、日本発の一大デジタルコンテンツ・情報通信産業としてビジネスモデルを考察・確立し、より一層の発展を促すと同時に、他産業にも生かしていくのが望ましいと考えられる。その一方で、少なからず存在するトラブルを減少させるためにも、モバイルコンテンツに対する教育を、幅広い年齢層に充実させる必要があると思われる。
著者
山口 真一
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.15-27, 2015 (Released:2015-07-30)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本研究では、コンテンツ産業におけるインターネット配信について、それらがパッケージ製品販売数に与える影響を、補完効果と代替効果という観点から理論的に整理する。そして、深夜アニメ市場の需要モデルを用いた実証分析によって、定量的な検証を行う。作品をグループ、エピソードを系列とした固定効果法推定の結果、無料配信の補完効果は代替効果より大きく、パッケージ製品販売数に対して有意に正の影響を与えていた。そして、その大きさは、無料配信動画再生回数が1%増えるとパッケージ製品販売数が約0.10%増加するというものであった。また、有料配信は有意な影響を与えていなかった。このことから、少なくとも深夜アニメ市場については、インターネット配信を積極的に行うことが、生産者余剰と社会的厚生の増加に繋がることが確認された。さらに、詳細な分析の結果、男性向作品では無料配信、有料配信共に有意に正の影響を与えていた一方で、女性向では共に有意な影響がなかった。そして、オリジナル作品と人気作以外では無料配信が有意に正の影響を与えていた一方で、オリジナル作品以外と人気作では無料配信も有料配信も有意な影響を与えていなかった。
著者
山口 真一 坂口 洋英 彌永 浩太郎 田中 辰雄
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.69-79, 2016 (Released:2017-02-06)
参考文献数
13

情報通信産業の新しいビジネスモデルとして、基本機能を無料で提供し、付加機能を有料で提供する、いわゆるフリーミアムがある。フリーミアムを採用しているサービスは急増しているが、特にその中でも、非定額型のデジタル財課金のビジネスモデルであるモバイルゲームは、高収益・高成長率を達成している。しかしその一方で、実証研究は少なく、ビジネスモデルの確立途上にある部分も多い。そこで本研究では、モバイルゲームのパネルデータを用いて実証分析を行い、消費者の支払行動と長期売上高の関係を統計的に検証する。推定の結果、前期の有料ユーザ 1 人当たりの平均支払額(ARPPU)は、今期の売上高に非線形で有意な影響を与えていた。また、その極大値は約 11,754 円であった。このことから、長期売上高最大化という観点からは、ARPPU が約 11,754 円になるようにイベントやガチャの頻度、アイテムの価格を調整することが最適であることが示唆された。また、フリーミアムを採用しているサービスの大半がマネタイズに失敗し、サービス終了となっている現在、非定額型フリーミアムは成功手法として着目されている。本研究の結果はモバイルゲーム以外にもいえる可能性がある。
著者
田中 辰雄 山口 真一 彌永 浩太郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.47-56, 2019-03-20 (Released:2019-06-16)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本研究ではフリーミアム型コンテンツ産業の例としてモバイルゲームをとりあげ,そこでは多数の製品を出す分散型と,一つの製品に集中する集中型の二つの戦略が存在することを示した.当たり外れの多いコンテンツ産業において一つの製品に集中する戦略は異例であり,ネットワーク効果が働くフリーミアムならではの新しい戦略と考えられる.
著者
山口 真一
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策レビュー
巻号頁・発行日
vol.11, pp.52-74, 2015

<p>本稿では、近年多く発生しているネット炎上の特徴と実態を、先行研究や実証分析を基に整理したうえで、名誉毀損罪の非親告罪化、制限的本人確認制度、インターネットリテラシー教育、捜査機関における炎上への理解向上といった観点から、あるべき政策的対応を考察する。</p><p>実証分析の結果、以下の5点が確認された。第一に、炎上は、2011 年以降、毎年 200 件程度発生し続けている。また、それは特に Twitter で多い。第二に、「炎上に加担したことがある」人はわずか1.5%しかいない一方で、「炎上を知っている」人 は90%以上存在する。第三に、インターネット上で「非難しあってよい」と考えている人は10%程度しかいない。さらに、「非難しあってよい」と感じている確率に有意に正なのは、「炎上に加担したことがある」人のみである。第四に、インターネットを「怖いところだ」「攻撃的な人が多い」と感じている人はそれぞれ70%以上存在する。特に、炎上を知っている人は「攻撃的な人が多い」と感じている確率が有意に正となっている。第五に、若い人ほどインターネットに対して「言いたいことが言えるのがよい」「非難しあってよい」と感じている。</p><p>また、以上を踏まえた政策的対応の考察では、プロバイダ責任制限法の炎上負担軽減効果と限界に触れたうえで、「①名誉棄損罪の非親告罪化」「②制限的本人確認制度の導入」「③誹謗中傷(炎上)に関するインターネットリテラシー教育の充実」「④捜査機関における炎上への理解向上」の4つを挙げた。そして、①には slippery slope の問題が、②には違憲である可能性とそもそも効果が薄いという問題があることを述べ、③と④に積極的に取り組むことを提案した。</p>
著者
山口 真一
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.4-15, 2021-09-20 (Released:2021-10-15)
参考文献数
40

本稿の目的は,企業現場で急速に発展している組織・消費者間コミュニケーションについて,近年の学術研究ではどのようなデータが収集・分析されているのか紹介することである.分析を①テキスト分析,②行動データ分析,③アンケート調査分析の3つに整理したうえで,それぞれの分析における「具体的なデータ収集・分析方法」「分析で明らかにできること」「適しているテーマ」を述べる.
著者
山口 真一
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.24-32, 2018-06-20 (Released:2018-08-24)
参考文献数
21

本研究では,組織内外データ活用について実証分析を行う.分析の結果,自社データ活用率は36%,他社データ活用率は19%に留まることが分かった.さらに,「経営者がデータ活用を学ぶ」,「代表者を若い人とする」,「企業規模を大きくする」,「社員の自発的参加を促し,合理的管理をする」,「強制的,命令的な組織とし,データ活用をトップダウンで実行する」等の要素が,データ活用促進戦略として有効であることが明らかになった.