著者
金 勝鎮 多田 伶 勝又 壮太郎
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.99-109, 2020 (Released:2021-04-21)
参考文献数
30
被引用文献数
2

This study proposes LDA with evaluation information. The authors focus on online consumer reviews with “helpfulness of review”. The purpose is to find specific topics that affect consumer's decision making from many consumer reviews. The authors exploit an evaluation score in addition to review text which is described in the natural language for simultaneously classifying topic model. The “helpfulness” scores are accessed by readers and are with integers of zero or more. The authors apply the suggested model in reviews for coffeemakers crawled from consumer's review website. The results show that the model distinguishes two topic groups with extremity which indicates that is helpful or not. Also, it shows that the two topic groups also have qualitative differences among firms (brands). The authors discuss the application of the model and findings for both review website managers and firm's marketers.
著者
西本 章宏 勝又 壮太郎
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.53-65, 2023-06-30 (Released:2023-06-30)
参考文献数
31

本研究の目的は,決済手段に対する消費者の心理的所有感が,決済手段の選択,支払意思額(willingness to pay: WTP),受取意思額(willingness to accept: WTA)に及ぼす影響について明らかにすることである。本研究では,2種類の決済手段(現金とスマートフォン決済)を対象として,2つの実験を行った。実験1では,参加者に架空の購買シナリオを読んでもらい,相対的に心理的所有感が低い決済手段が支払い時に選択されやすく,選択された決済手段による支払いの方がWTPは高くなることを明らかにした。実験2では,参加者に4種類の架空の売買シナリオのいずれか2つを読んでもらい,相対的に心理的所有感が高い決済手段が受け取り時には選択されやすく,選択された決済手段による受取の方がWTAは低くなることを明らかにした。
著者
多田 伶 勝又 壮太郎
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.111-121, 2020 (Released:2021-04-21)
参考文献数
44

In this study, the moderating effect of consumers' information processing on post-purchase evaluations in an environment characterized by information overload was examined. Although it is important to understand how information processing during decision-making affects post-purchase evaluations, which include satisfaction with one's decision and repurchase intention, the influence of information processing on evaluations after purchasing is not well understood. Based on the unconscious thought study, two modes of thinking were compared: conscious thought and unconscious thought. To examine purchasing behavior regarding DVD players and window curtains, we conducted an online survey and performed path analyses. The results indicated that conscious thought had a negative impact on satisfaction with decision when consumers were confused by information overload. Moreover, it was suggested that unconscious thought had a positive impact on repurchase intentions when consumers felt confused by information overload. Finally, some implications and future research issues were addressed.
著者
西本 章宏 勝又 壮太郎
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.15-25, 2018 (Released:2018-11-17)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

本研究の目的は,コンジョイントデザインを用いた消費者のWillingness to Pay(支払意向額)測定方法を比較し,予測精度が高いWTP測定方法を特定することである。本研究では,分析対象として,コンビニエンスストアでの昼食の購買状況を設定し,調査対象者に対して,コンジョイントデザインを用いた4つのWTP測定方法(自由回答方式,第一価格オークション,ヴィックリー・オークション,BDM方式)を試みている。その後,調査対象者には,実際にコンビニで昼食を購入してもらい,そのレシートデータを提供してもらっている。そして,本研究では,WTP測定方法において想定されるバイアスを考慮したモデルによって,各測定方法におけるWTPを算出し,最も予測精度が高いWTP測定方法は自由回答方式であることが明らかになった。
著者
西本 章宏 勝又 壮太郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.31-45, 2018-03-20 (Released:2018-06-18)
参考文献数
31

本研究は,着メロから着うた・着うたフルへと日本の有料音楽配信サービス市場が転換する局面に着目し,ネオ制度派組織論を起点とするメガマーケティング概念を活用して,組織フィールドにおける多主体の制度的実践について分析を行った.定性分析からは,複数の制度的実践による揺さぶりが明らかになり,得られた分析結果をもとに,定量分析によって市場の断絶と創造における制度的実践の成果について検証を行った.
著者
一小路 武安 勝又 壮太郎 中野 暁 山口 真一 生稲 史彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.34-48, 2022-03-20 (Released:2022-04-20)
参考文献数
53

本研究ではコミュニケーションプラットフォームアプリの製品段階ごとの戦略を検討した.Latent Dirichlet Allocationの併用状態を明らかにしたうえで,機能や用途のような属性も踏まえてアプリを整理し,同じバスケット内の補完関係を精緻化して議論を行った.結果として覇権アプリでは機能的・性質的な補完,成熟・成長アプリでは用途的補完に加えて成熟に至る過程における関係するアプリの切り替えの可能性が示された.
著者
西本 章宏 勝又 壮太郎 本橋 永至
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.44-57, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
27

本稿の目的は,COVID-19のアウトブレイクによって大きく市場環境が変化している今日のように,急激な環境変化による非連続な状況下において,次世代イノベーションの源泉として,創発的性質を有する消費者(ENCs)に着目する有用性を示すことである。本稿では,緊急事態宣言下を含むCOVID-19のアウトブレイク(第1波)を分析対象期間とし,消費者のスマートフォンのアプリ起動ログの収集と先端層調査を実施した。その結果,ENCsは同じ先端層であるリードユーザー(LUs)よりも環境変化に対して頑健であり,新しい生活様式に適応した消費者であることが明らかになった。また,ENCsのソーシャルメディアの利用動向はLUsや一般ユーザー(GUs)とは異なり,コロナ禍でも利用数は多いが,その変化量は少なった。このことから,ENCsは平常時からソーシャルメディアを他の消費者よりも広範かつ高頻度で利用している可能性が推察された。
著者
一小路 武安 勝又 壮太郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.33-46, 2016-03-20 (Released:2016-08-29)
参考文献数
60
被引用文献数
3

本研究ではまず,消費者の消費のほかに,(情報)伝達,創造,(創造)支援という3つの活動からなる発信行動に注目し,消費を含めた4つの活動を先行研究から整理する.そのうえで,インターネット上の投稿動画を中心にマンガも対象とした調査から,それぞれの活動の関係性を,分野横断性を確認する活動要因,当該分野における活動要因,より一般的な活動要因の異質性から明らかにした.
著者
西本 章宏 勝又 壮太郎 本橋 永至 石丸 小也香 高橋 一樹
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.29-54, 2016 (Released:2017-01-31)
参考文献数
75
被引用文献数
1

本研究の目的は、コンテクスト効果の一種であるプライミング効果の枠組みを用いて、ある製品に対する支払意向額の判断において、当該製品とは異なるカテゴリーの製品との接触が消費者の支払意向額に与える影響を検証することである。また、プライミング効果の影響を調整する要因として、「製品カテゴリーに対する消費者の事前知識」と「製品カテゴリー間の類似性」を考慮する。さらに、消費者行動研究の視点から、価格競争に巻き込まれないための脱コモディティ化戦略の一施策を提示する。
著者
勝又 壮太郎 西本 章宏 ウィラワン・ドニ・ダハナ 飯野 純彦 井上 哲浩
出版者
日本マーケティング・サイエンス学会
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.26-52, 2016 (Released:2017-03-06)

本稿では,イノベーション普及理論に関するマーケティング分野のこれまでの進展と今後の展望について論じていく。とくに本稿では以下の 2 点を考慮する。第 1 は,マーケティング周辺分野のイノベーション普及研究について客観的かつ包括的なレビューを行うことを目指す点である。これまでのレビュー手法だけでなく,計量書誌学アプローチを導入し,計量的に論文を分類・分析していく。ただし,分析結果から得られた研究動向については,個別の論文や雑誌を取り上げ,具体的な議論を行っていく。第 2 は,得られた分類の結果を活用し,本誌にこれまで掲載された論文との関係を検討する点である。そして,日本におけるイノベーション普及研究のこれまでの成果と,今後の展開について議論していく。
著者
多田 伶 勝又 壮太郎
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1_2, pp.1_2_23-1_2_48, 2020-03-31 (Released:2021-05-01)
参考文献数
50

近年、無意識の認知プロセスを探究する手段として、無意識的思考理論が注目を集めている。本研究の目的は無意識的思考研究を消費者行動論に応用するため、2つのレビューを通して、研究の深化と課題を示すことである。定量的手法を用いたレビューでは、無意識的思考研究の領域を概観し、既存研究が2つのテーマに類型化できることを明らかにした。そのなかでも、判断・意思決定が重要な研究テーマであることを確認し、それらの研究がマーケティングや消費者行動の分野において展開されていることを示した。主要論文のレビューでは、既存研究を系統的に分類したうえで、思考モードの情報処理メカニズムに注目した研究と思考モードと判断・意思決定の調整変数に注目した研究を紹介した。最後に、無意識的思考研究の学術的、実務的意義を検討し、今後の研究課題を指摘する。
著者
勝又 壮太郎 金 勝鎮
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.62-76, 2020-12-20 (Released:2021-01-14)
参考文献数
31

本研究は,とくに技術面,コスト面の制約がない環境下での製品に関する段階的な機能の変化を対象に,その要因を検証し,実証分析を行った.スマートフォンの画面サイズの変化に注目した事例分析から,消費者は,自分の認知している機種よりも適度に大きな製品を最も選好するという結果が得られ,このような選好が継続した結果として,段階的な大型化が実現したことが示唆された.
著者
リュ ボスル 勝又 壮太郎
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.81-92, 2019 (Released:2019-10-29)
参考文献数
38

本稿は、電子漫画作品における作品創作者の宣言する作品アイデンティティと作品需要者が形成する作品イメージとの間の距離を定量的に検討し、その差異が形成される要因と電子漫画作品の人気との関係を検討するものである。実証分析においては、電子漫画サイトにおける大規模な読者調査のデータを用いる。電子漫画作品のアイデンティティとイメージをカテゴリー化理論の観点から推定した結果、作品のアイデンティティとイメージは一致するほど消費者から好まれることが確認された。しかし、最も高い人気度は適度に不一致する際に得られると想定した仮説は支持されなかった。
著者
勝又 壮太郎 西本 章宏
出版者
The Academic Association for Organizational Science
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.1-9, 2016 (Released:2016-12-14)
参考文献数
13

This study focuses on the process of market generation and diffusion. Especially, we examine the relationship between market attractiveness and legitimation of the product market. We conduct the study following two steps: First, we refer some previous work to analyze the transition of market such as socio-cognitive and institutional theories. Second, we propose a method to measure the legitimacy which change along with the market expansion from published newspaper articles. In general, it is difficult to observe the transition of the market change from behavioral outcome such as sale amount and diffusion rate, this study measures the latent market change from the change of the word. Third, we develop a quantitative model to examine the relationship between observed degree of legitimacy and marketing performances. Our empirical model is based on the bass diffusion model which enable us to estimate market diffusion rate and examine the impact of the legitimation on the diffusion rate and profitability. As a result, we find that market size and profitability increase at the formulation stage of the legitimacy, on the other hand, the market size and profitability decrease at the stabilized stage. Based on the findings, we also discuss the optimal market entry strategies and desirable new product development strategies. For example, we can obtain an implication to entry observing the change of the word.
著者
西本 章宏 勝又 壮太郎 石丸 小也香 高橋 一樹
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1_85-1_110, 2010 (Released:2018-08-31)
参考文献数
44

本研究は、カテゴリー不確実性における消費者の製品カテゴライゼーションに焦点を当てている。本研究の目的は、このような認知状況下においてファジー理論を適用させることで、新たな製品カテゴライゼーションのあり方を明らかにすることである。そこで、本分析では、カテゴリー・メンバーシップ関数を用い、カテゴリー不確実性における消費者の製品カテゴライゼーションのモデリングを試みている。その結果、カテゴリー不確実性における製品カテゴライゼーションは(1)消費者ごとに異質であり、(2)その認知的異質性が当該マルチプル・カテゴリー製品に対する評価に大きな影響を及ぼしていることを明らかにしている。