著者
稲野 利美 山口 貞子 千歳 はるか 梅沢 亜由子 長橋 拓 岡垣 雅美 青山 高 森 直治 東口 髙志 大前 勝弘 盛 啓太 内藤 立暁 高山 浩一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.71-80, 2020 (Released:2020-04-21)
参考文献数
56

【目的】本研究の目的は,進行がんを有する高齢者に対する集学的介入(NEXTAC-ONEプログラム)の栄養介入について詳細を示し,その忍容性を評価することである.【方法】初回化学療法を開始する70歳以上の進行非小細胞肺がんおよび膵がんを対象とし,8週間に3回の栄養介入を行った.標準的な栄養指導に加え,摂食に影響する症状,食に関する苦悩,食環境の問題への対処法を含めたカウンセリングを行い,分枝鎖アミノ酸含有の栄養補助食品を処方した.【結果】計30名の試験登録者のうち29名(96%)が予定されたすべての介入に参加し,遵守率については日記記載率90%,栄養補助食品摂取率99%であった.また治療期間中に栄養状態の悪化を認めなかった.【結論】悪液質リスクの高い高齢進行がん患者において,われわれの栄養介入プログラムは高い参加率と遵守率を有し,化学療法中の栄養状態の維持に寄与した可能性が示唆された.
著者
増本 幸二 中辻 隆徳 間野 洋平 和田 美香 竹野 みどり 都地 里美 浦部 由紀 山口 貞子 田口 智章
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.653-657, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
15

緑膿菌による創感染では感染創の改善に時間を要することがある。われわれは、頚部手術後の手術部位緑膿菌感染による創し開に対し、感染のコントロールができた状態で創洗浄とアルギニン滋養飲料(アルジネード®)投与を含めた栄養管理を行い、創の著しい改善をみた小児例を経験した。【症例】症例は2歳女児。基礎疾患は巨大臍帯ヘルニア(術後)、肺低形成。基礎疾患のため、1歳4ヶ月時に気管切開を施行した。その後CPAP(continuous positive airway pressure)管理で呼吸状態は安定したが、頻回の嚥下性肺炎を認めた。精査にて喉頭機能不全が存在し、2歳2ヶ月で喉頭気管分離術を行った。術後7日目に手術部位感染を認め、その後創し開となった。起因菌は気管孔からの緑膿菌であった。創に対して局所洗浄を行うとともに、経腸栄養にて適切な栄養管理を行い、アルギニン滋養飲料併用投与を行った。創部は順調に改善し、術後1ヶ月で気管孔の創し開部は深部が肉芽組織に置き換わり、上皮化が進み良好な状態となった。【まとめ】小児の手術部位感染に伴う創し開例にアルギニン滋養飲料を使用した。感染のコントロールができた状態で、創洗浄を行うとともに、適切な栄養管理に加えて、アルギニン滋養飲料を併用したことで、感染部位の早期の治癒を認め、本飲料の併用は創傷治癒促進効果が期待できる可能性があると考えられた。
著者
松山 美和 古谷野 潔 松下 恭之 山口 貞子
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

補綴治療効果を栄養学的見地から評価することを目的として、自記式3日間食事記録にスケール付きの摂取食品の写真撮影を加え、摂取食品と摂取量を推定する方法を次世代型栄養評価法とした。 本法を用いて栄養摂取に対する補綴治療効果および治療後の専門的栄養指導効果を検討したところ、補綴治療は短期間では栄養摂取に影響を及ぼさないものの、補綴治療後の専門的栄養指導は患者の質的栄養改善に有効であることが示唆された。