- 著者
-
廣田 衛久
下瀬川 徹
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.117, no.6, pp.494-503, 2020-06-20 (Released:2020-06-20)
- 参考文献数
- 63
蛋白分解酵素阻害薬膵局所持続動注療法(動注療法)は,重症急性膵炎に対する特殊治療として1990年代より全国で実施されてきた.最近になり,その有効性を疑問視する臨床研究の報告が相次ぎ,さらに動注療法が保険未収載であるため,急性膵炎診療ガイドライン2015[第4版]では推奨されなくなった.そのため,動注療法の有用性を検証し保険収載を見据えた多施設共同ランダム化比較試験が計画され,医師主導治験として実施された.その結果,動注療法の静注療法に対する優越性は証明されず,むしろ安全面の問題が指摘された.現在の重症急性膵炎診療の中で,侵襲的な動注療法を行うメリットはないと考えるべきであろう.