著者
江田 毅晴 吉川 正俊 山室 雅司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.65, pp.405-410, 2007-07-03

本研究では、Folksonomy データの分析に基づく、新しい分類体系構築方法について提案する。現在のソーシャルブックマークサービスでは、大量のブックマークエントリの中から有用なリソースを探すには、キーワードやタグを指定するか、興味の近いブックマーカを努力して探し出す必要がある。本研究では、タグの共起関係に基づく意味的な繋がりを利用して、タグの集合を分類構造として体系だてる。これにより、利用者にはタグの関連を認識した直観的な探索を通して、有用なリソースを探しだすことが可能となる。In this research, we propose a new classification system based on the analysis folksonomy data. In order to find valuable resources from current social bookmark services, users need to specify search terms or tags, or to discover people with the similar interests. Our proposal utilizes semantic relationships extracted from the cooccurrences folksonomy data and organizes a new classification system from tag sets. Users can find useful resources by navigating tag relationships intuitively.
著者
小杉 尚子 櫻井 保志 山室 雅司 串間 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.333-345, 2004-01-15
被引用文献数
6 7

本論文では,我々が研究開発しているハミングを用いた音楽検索システム"SoundCompass"を,カラオケの選曲システムとして実用化するために考案した技術について述べ,それらの有効性を定量的に評価する.このシステムを実用化するにあたって,一般ユーザの使用により,様々なハミングに柔軟に対応することが必要となった.データベース・サイズの増大に対応できるように,蓄積コストや検索速度の改善も必要となった.本論文では様々なハミングに対応するために,これまでの手法では検索できなかったハミングについてその原因を明らかにし,それらを解決するために部分特徴ベクトルの導入,部分ハミング片間OR検索方式の導入,半テンポ曲/倍テンポ曲の重複登録の導入を提案する.一方,検索対象曲数の増加にともなう音楽データベースの大規模化に対して,曲内での繰返しによる特徴ベクトルの冗長性を手がかりにしたデータベース・サイズの縮小を提案する.これらの技術を導入することで,新しいSoundCompassは実用範囲内の検索速度を保ちつつ,20 000曲を超えるデータベースに対して84.2%の検索精度を達成し,従来の我々のシステムと比較して,約20%の向上が可能となった.This paper describes techniques incorporated into SoundCompass, a query-by-humming system, to enable it to be put to practical use as a karaoke song selection system. Quantitative evaluations of the techniques are also provided. Solutions for variations in hummed tunes by general users are required to make the system practical. Moreover, improvements in both the cost of storing a large number of songs in a database and retrieval speed efficiency are also required to deal with database size expansion. In this paper, we analyze hummed tunes which cannot be retrieved by traditional techniques. According to the analysis, a partial feature vector, an OR retrieval among query keys, and double registration of songs whose tempo is doubled/halved are proposed to deal with the diversity among hummed tunes. We also propose a method to reduce database size based on the repetitive structure of songs to solve the problem of increasing database size as the number of songs stored in the database becomes larger. The new SoundCompass system achieves 84.2% retrieval accuracy, which is about 20% more than that of the previous system, for a database that stores over 20,000 songs, while maintaining the applicable retrieval time required for practical use.
著者
西原 祐一 小杉 尚子 紺谷 精一 山室 雅司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.51, pp.27-32, 1999-05-29
被引用文献数
7

ハミングを用いた音楽検索システムにおいて,従来は音符を単位としたマッチンダ方式が主に使われてきた.それに対し,われわれは時間を単位としたマッチング万式を開発した.この方式は,マッチングをする際にハミングおよびデータベース中のオリジナル曲の,時間の単位を正規化した上でマッチングを行なうものである.この方式は,音符抽出誤りに対する耐性が高く,また,データベースのインデックス化が可能なために,高速な検索が可能である.この方式を実装した実験システムを作成し,実験の結果について報告する.The traditional approach to music retrieval systems using humming as their query is 'note-based'; series of notes are extracted from the humming and either DP matching or its alternatives are performed. However, we have developed a new 'time-based' approach whose basic concept is to normalize the time scale of the humming and the music in the database. The new method has high robustness against note extraction erros, and also high retrieval speed is achieved since indexing of the database is possible. We have built an experimental system applying the new method and the result of the preliminary experiment is shown.
著者
阿部 剛仁 南 憲一 山室 雅司 曽根原 登
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.89, pp.41-47, 2004-09-02
被引用文献数
1

自由な利用や配布,改変が可能な草の根的コンテンツ(トランスフォーマティブ・コンテンツ)に着目し,それらコンテンツの利便性,信頼性を高めて流通を活性化するとともに,従来の商用コンテンツとの連携により,商用コンテンツ市場を含めたコンテンツ流通全体の活性化を促し,皆がより多くの益を得ることを目指す新しいコンテンツ流通フレームワークを提供するTEAM Digital Commonsについて述べる.また,Creative Commons Public Licenseを利用したコンテンツのメタデータ管理システムについて紹介する.
著者
中村 高雄 片山 淳 山室 雅司 曽根原 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.2145-2155, 2004-12-01
被引用文献数
18

電子透かし技術の応用として,印刷物などのアナログ画像中に埋め込まれている透かし情報を読み取り,アナログ情報からディジタル情報に導くシステムが提案されている.本論文では,近年普及してきたカメラ付携帯電話機を上記システムの端末として適用する際に必要となる,高速処理可能な電子透かし検出方式を提案する.提案方式は棒線を利用した幾何ひずみ補正方法と,微少な幾何ひずみと雑音に対するロバスト性をもつ高速な電子透かしアルゴリズムにより構成される.また,サービス運用上必要となる検出透かし隋報の信頼性についても定量評価方法を示す.実験の結果から,比較的計算処理能力の低い携帯電話機上で動作するJava Applicationとして提案方式を実装した場合でも,1秒程度の処理時間で処理を行うことが可能であることを示し,提案方式の有効性を確認できた.
著者
鈴木 源吾 山室 雅司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

企業における情報基盤整備の一環である企業全体の情報モデル作成では,スキーマ統合が必要である.筆者らは,スキーマ統合に用いる共通データモデルとして概念グラフを用いて,スキーマ間の異種性解消を容易にする方法を提案した.本稿では,このアプローチではスキーマ要素間の類似度計算も容易になることを述べる.
著者
櫻井 保志 Christos Faloutsos 山室 雅司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J92-D, no.3, pp.338-350, 2009-03-01

近年,データストリーム処理に関する研究が盛んに行われている.本論文は,ダイナミックタイムワーピング(DTW:Dynamic Time Warping)に基づいて,与えられた問合せシーケンスと類似した部分シーケンスをデータストリームから検出することを目的とする.DTWは時間軸上でのスケーリングを考慮した距離尺度であり,様々な分野で広く使われているが,主として有限長の蓄積データに用いられてきた.しかし,ネットワーク分析,センサ監視など,データ量が多く,緊急性が要求されるような最近のアプリケーションでは,すべてのデータを蓄積してから処理することが困難である.本論文では,このような問題を解決する手法であるSPRINGを提案する.更に理論的な分析を行い,精度を犠牲にしないにもかかわらず計算コストがデータストリームの長さに依存せず一定であることを証明する.様々な実データと人工データを用いた実験を行い,SPRINGがデータストリームから正確に部分シーケンスを検出し,そしてナイーブな手法と比較して大幅な性能向上を達成していることを明らかにした.
著者
江田 毅晴 吉川 正俊 山室 雅司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.131, pp.405-410, 2007-06-25

本研究では,Folksonomyデータの分析に基づく,新しい分類体系構築方法について提案する.現在のソーシャルブックマークサービスでは,大量のブックマークエントリの中から有用なリソースを探すには,キーワードやタグを指定するか,興味の近いブックマーカを努力して探し出す必要がある.本研究では,タグの共起関係に基づく意味的な繋がりを利用して,タグの集合を分類構造として体系だてる.これにより,利用者にはタグの関連を認識した直観的な探索を通して,有用なリソースを探しだすことが可能となる.
著者
片山 淳 中村 高雄 山室 雅司 曽根原 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.1035-1046, 2005-06-01
被引用文献数
15

我々はカメラ付き携帯電話により種々の媒体から電子透かしをリアルタイムに検出し, 検出した情報に関連するWebページ, 動画, 音楽をユーザに提示するシステムを構築した. 撮影画像はオリジナル画像に回転, スケーリング, あおり変換を統合した平面射影変換が加わっているため, 電子透かし検出の前処理として逆変換を行いオリジナル画像と同じ幾何形状に戻す必要がある. 逆変換パラメータを求めるための特徴点として画像外形コーナを検出する場合, ハフ変換による外形直線検出やコーナパターンマッチングなどの一般的な画像処理アルゴリズム利用では携帯電話端末内のiアプリ処理系で数十秒〜数十分を要し実用的ではない. 本論文では, ハフ変換やパターンマッチングに比べてiアプリ上の処理時間が1/100以下で画像外形コーナを探索可能なSide Trace Algorithm(STA)を提案し, 携帯電話端末実機を用いた評価実験によりその性能を実証した.